費用・相場

アスベスト除去費用の目安 - レベル1・2・3別の平米単価と高額になるケース

更新: 2025-01-1822分で読める2026年1月確認済み

除去費用は「レベル」で桁が違う

アスベスト除去工事は、危険度(発じん性)に応じたレベル1〜3の作業基準でおこなわれます。レベルによって対策の手厚さが違うため、費用も大きく異なります。

発じん性とは、アスベスト繊維が空気中に飛散しやすい程度を指します。レベル1が最も危険で、工事中にわずかな振動や風でも大量のアスベスト繊維が空気中に舞い上がる可能性があります。一方、レベル3は固く成形されているため、適切に扱えば飛散リスクは低いです。

レベル別の費用相場と工法の詳細

レベル1:著しく発じん量が多い(吹付けアスベストなど)

最も危険。作業場所を完全に密閉・負圧隔離し、防護服を着て作業するため高額です。

該当する建材

  • 吹付けアスベスト(石綿含有率が高いもの)
  • 吹付けロックウール(石綿含有のもの)
  • 吹付けバーミキュライト(石綿含有のもの)
  • 吹付けパーライト(石綿含有のもの)

主な使用箇所

  • 鉄骨造建築物の柱・梁の耐火被覆
  • 機械室、ボイラー室の天井・壁
  • 立体駐車場の天井
  • 体育館、講堂などの天井

費用相場

工法 費用(㎡あたり) 特徴
除去工法 1.5万円〜8.5万円 最も確実だが高額。完全に撤去する
封じ込め工法 1.0万円〜3.5万円 薬剤で固めて飛散を防ぐ。建材は残る
囲い込み工法 0.8万円〜2.5万円 板材で覆って封じ込める。建材は残る

作業に必要な設備と対策

  • 前室の設置:作業エリアと外部を隔離する二重の前室
  • 負圧集じん・排気装置:HEPAフィルター付きの機械で常に負圧を維持
  • 隔離シート:天井・壁・床を完全にシートで覆う
  • セキュリティゾーン:作業員の入退室管理と除染エリア
  • 防護服・呼吸用保護具:全面マスクまたは電動ファン付き呼吸用保護具
  • 作業環境測定:工事中と完了後の空気中濃度測定

レベル2:発じん量が多い(耐火被覆材・断熱材など)

ボイラー室や配管の保温材などが該当します。レベル1ほどではありませんが、厳重な飛散防止対策が必要です。

該当する建材

  • 石綿保温材(配管、ダクト、ボイラーなどの保温材)
  • 石綿耐火被覆板(ケイ酸カルシウム板第2種)
  • 石綿断熱材
  • 石綿含有耐火被覆材

主な使用箇所

  • 冷暖房設備の配管
  • 給排水管の保温材
  • ボイラー、焼却炉の断熱材
  • 煙突の断熱材

費用相場

建材種類 費用(㎡あたり) 備考
配管保温材 2.0万円〜6.0万円 配管の長さや直径により変動
耐火被覆板 1.0万円〜4.0万円 撤去の難易度により変動
ボイラー・炉の断熱材 3.0万円〜8.0万円 設備の大きさと複雑さによる

作業に必要な対策

  • 隔離養生:作業エリアをシートで隔離
  • 負圧管理:負圧集じん・排気装置の設置
  • 湿潤化:建材を水で湿らせて飛散を抑制
  • 防護服:全身を覆う使い捨て防護服
  • 呼吸用保護具:防じんマスク(RL3またはRS3)
  • 廃棄物処理:特別管理産業廃棄物として適切に処理

レベル3:発じん性が比較的低い(成形板・スレートなど)

屋根材や床タイルなど、固められているもの。手作業で剝がすことで飛散を防ぎます。

該当する建材

  • スレート波板(屋根材、外壁材)
  • 石綿含有窯業系サイディング
  • 石綿含有ビニール床タイル(Pタイル)
  • 石綿含有押出成形セメント板
  • 石綿含有けい酸カルシウム板第1種
  • 石綿含有スレートボード
  • 石綿含有フレキシブル板

主な使用箇所

  • 屋根(スレート瓦、コロニアル)
  • 外壁(サイディング、スレート板)
  • 軒天(ケイカル板、スレートボード)
  • 内壁・天井(フレキシブル板、けい酸カルシウム板)
  • 床(ビニール床タイル、フロア材)

費用相場

建材種類 費用(㎡あたり) 備考
屋根スレート 5,000円〜1.5万円 足場設置費用が別途必要
外壁サイディング 4,000円〜1.2万円 足場設置費用が別途必要
軒天ボード 3,000円〜8,000円 高所作業車が必要な場合は追加費用
内装ボード 2,000円〜6,000円 撤去後の内装復旧費用は別途
床タイル 2,500円〜7,000円 接着剤にもアスベストの可能性

作業に必要な対策

  • 事前散水:建材を水で湿らせる
  • 手作業での解体:破砕しないように丁寧に取り外す
  • 飛散防止シート:周囲をシートで養生
  • 保護具:防じんマスク、保護メガネ、手袋
  • 廃棄物の梱包:破れない二重の袋に密閉

除去工法の比較表

比較項目 除去工法 封じ込め工法 囲い込み工法
費用 高い 中程度 比較的安い
工期 長い(1〜3ヶ月) 短い(1〜2週間) 短い(1〜2週間)
確実性 最も確実 定期点検が必要 定期点検が必要
適用建材 全レベル レベル1のみ レベル1のみ
将来の解体 問題なし 解体時に対策必要 解体時に対策必要
廃棄物 多い ほぼなし 囲い込み材のみ

費用内訳の詳細

レベル1除去工事の費用内訳例(500㎡の場合)

項目 費用 備考
仮設工事(隔離養生) 200万円〜300万円 前室、隔離シート、負圧機など
除去作業費 500万円〜1,000万円 人件費、機材費含む
廃棄物処理費 150万円〜250万円 特別管理産業廃棄物として処理
作業環境測定 50万円〜100万円 工事中・完了後の濃度測定
監理・報告費用 50万円〜100万円 施工管理、行政報告など
合計 950万円〜1,750万円 約2万円〜3.5万円/㎡

レベル3除去工事の費用内訳例(戸建て住宅、屋根100㎡の場合)

項目 費用 備考
足場設置・撤去 15万円〜25万円 飛散防止シート付き
スレート撤去作業 50万円〜80万円 手作業での慎重な撤去
廃棄物処理費 20万円〜35万円 アスベスト含有廃棄物として処理
養生・清掃費 5万円〜10万円 周辺の養生と作業後の清掃
合計 90万円〜150万円 約9,000円〜1.5万円/㎡

※新しい屋根材の設置費用は別途必要です(さらに80万円〜150万円程度)。

費用が高くなる要因

作業環境による要因

  • 狭小な作業スペース:機材の搬入が困難、作業効率が低下(費用20〜40%増)
  • 高所作業:高層ビルや特殊な足場が必要(費用30〜50%増)
  • 残置物が多い:荷物や設備の移動が必要(追加費用20〜50万円)
  • 稼働中の建物:営業を続けながらの工事(費用20〜30%増)
  • 住宅密集地:近隣への配慮、作業時間の制限(費用10〜20%増)

建材の状態による要因

  • 劣化が激しい:破損しやすく、より慎重な作業が必要(費用20〜40%増)
  • 複数の建材が混在:建材ごとに対策が異なる(費用15〜30%増)
  • 隠蔽部分が多い:天井裏、壁内など確認が困難(費用20〜35%増)
  • 接着剤の除去が困難:床タイルなど、接着が強固(費用10〜25%増)

その他の要因

  • 急ぎの工事:短納期の場合は割増料金(費用10〜30%増)
  • 遠隔地:専門業者が少ない地域(費用10〜20%増、交通費別途)
  • 特殊な建物構造:文化財、歴史的建造物など(費用50〜100%増)

実際の施工事例

事例1:築40年の鉄骨造オフィスビル(レベル1)

  • 建物規模:地上5階建て、延べ床面積3,000㎡
  • 建材:鉄骨柱・梁の吹付けアスベスト(面積1,200㎡)
  • 工法:除去工法
  • 工期:3ヶ月
  • 費用:3,600万円(3万円/㎡)
  • 特記事項:テナントが入居中のため、フロアごとに分割して工事。負圧管理を徹底し、週末を中心に作業を実施。

事例2:築35年の戸建て住宅(レベル3)

  • 建物規模:木造2階建て、延べ床面積120㎡
  • 建材
    • 屋根スレート(80㎡)
    • 軒天ケイカル板(25㎡)
    • 外壁サイディング(150㎡)
  • 工法:除去工法(手作業)
  • 工期:3週間
  • 費用内訳
    • 屋根スレート撤去:90万円
    • 軒天撤去:20万円
    • 外壁サイディング撤去:130万円
    • 足場・養生:40万円
    • 廃棄物処理:60万円
    • 合計:340万円
  • 特記事項:全面リフォームに合わせて実施。新しい屋根・外壁の設置費用は別途200万円。

事例3:築30年のマンション共用部(レベル2)

  • 建物規模:RC造10階建て、50世帯
  • 建材:機械室・配管の石綿保温材(延長200m)
  • 工法:除去工法
  • 工期:1.5ヶ月
  • 費用:450万円
  • 特記事項:給湯設備の更新工事と同時施工。居住者への事前説明会を実施し、工事中の一時的な給湯停止について了承を得た。

事例4:体育館の吹付けアスベスト(レベル1、囲い込み工法)

  • 建物規模:鉄骨造平屋建て、体育館800㎡
  • 建材:天井の吹付けアスベスト(800㎡)
  • 工法:囲い込み工法(天井に板を張って封じ込め)
  • 工期:1ヶ月
  • 費用:1,200万円(1.5万円/㎡)
  • 特記事項:除去工法だと2,400万円の見積もりだったが、予算の都合で囲い込み工法を選択。将来的に解体する際は、アスベスト対策が必要になることを承知の上で実施。

見積もりのチェックポイント

必ず確認すべき項目

  • □ アスベストのレベルが正しく判断されているか
  • □ 除去面積・数量が調査結果と一致しているか
  • □ 工法(除去・封じ込め・囲い込み)が明記されているか
  • □ 仮設工事(隔離養生、負圧機など)の内容が具体的か
  • □ 廃棄物処理費が含まれているか(マニフェスト発行含む)
  • □ 作業環境測定費用が含まれているか(レベル1・2の場合)
  • □ 行政への届出・報告費用が含まれているか
  • □ 工期が現実的か(極端に短い場合は要注意)
  • □ 追加費用が発生する条件が明記されているか

業者選定のポイント

  • 許可・資格の確認
    • 解体工事業の許可または建設業許可(とび・土工工事業)
    • 石綿作業主任者の資格者が在籍しているか
    • 特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可(または委託先が明確か)
  • 実績の確認:同レベルの工事実績が豊富にあるか
  • 保険の加入:工事保険、損害賠償保険に加入しているか
  • 施工計画書:詳細な施工計画書を提示してくれるか
  • 近隣対策:近隣への説明や事前通知をどう行うか

補助金・助成金の活用

アスベスト除去工事には、国や自治体の補助金制度があります。特にレベル1の吹付けアスベストの除去には、手厚い補助が期待できます。

補助金の種類

補助金名 対象 補助額の目安
住宅・建築物アスベスト改修事業 吹付けアスベストの除去等 費用の2/3(上限あり)
自治体独自の補助金 レベル1〜3まで対象の場合も 数十万円〜数百万円

※補助金は自治体によって内容が大きく異なります。また、工事契約前に申請が必要な場合がほとんどです。必ず事前に自治体の担当窓口に確認してください。

よくある質問

Q除去せずにそのまま解体したらどうなる?
A

大気汚染防止法違反として処罰(3ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金)の対象となります。何より、近隣住民や作業員の健康に重大な被害を及ぼすため、絶対に行ってはいけません。また、近隣住民から損害賠償請求を受けるリスクもあります。適切な対策を行わずにアスベストを飛散させた事例では、数千万円の賠償を命じられたケースもあります。

Q見積もりが安すぎる業者は危険?
A

危険です。適切な飛散防止対策(隔離シートや負圧機など)のコストを削っている可能性があります。安さだけで選ぶと、ずさんな工事でアスベストを飛散させ、施主の責任を問われるリスクがあります。特にレベル1・2の工事では、負圧機のレンタルだけで1ヶ月数十万円かかるため、極端に安い見積もりは対策が不十分である証拠です。必ず複数社から見積もりを取り、内訳を詳しく確認してください。

Qレベル3なら自分で除去できますか?
A

法律上は禁止されていませんが、絶対におすすめしません。レベル3でも適切な飛散防止対策なしに作業すると、自分自身と家族、近隣住民の健康を危険にさらします。また、アスベスト含有廃棄物は特別な処理が必要で、一般ごみとして出すことはできません。不法投棄として罰せられる可能性もあります。必ず専門業者に依頼してください。

Q封じ込めや囲い込みのデメリットは?
A

封じ込めや囲い込みは費用を抑えられますが、建材自体は残るため、将来的に建物を解体する際には改めてアスベスト対策が必要になります。また、定期的な点検(3年に1回程度)が推奨され、封じ込め材や囲い込み材の劣化が見られた場合は補修が必要です。長期的には除去工法の方が安心で、資産価値の面でも有利な場合があります。

Qアスベスト除去工事の工期はどれくらい?
A

レベル1の場合は準備期間を含めて1〜3ヶ月、レベル2で2週間〜1ヶ月、レベル3で1〜3週間が目安です。ただし、建物の規模や作業環境、稼働中の建物かどうかによって大きく変わります。また、行政への届出(レベル1・2は14日前まで)が必要なため、余裕を持ったスケジュールを組むことが重要です。

Q工事中は建物を使用できますか?
A

レベル1・2の場合、工事エリアは完全に隔離されるため、他のエリアは通常通り使用できることが多いです。ただし、振動や騒音が発生するため、オフィスや店舗では営業に影響が出る可能性があります。レベル3の屋根や外壁工事では、足場が組まれ、部分的に生活に制限が出ます。詳細は業者と事前に相談し、工程表を確認してください。

Q廃棄物の処理はどうなりますか?
A

アスベスト含有廃棄物は「特別管理産業廃棄物」として、一般の建設廃棄物とは別に処理されます。除去業者は、廃棄物を二重の袋に密閉し、マニフェスト(産業廃棄物管理票)を発行して、許可を受けた処分場に搬入します。施主にはマニフェストの写しが交付されるので、適切に保管してください。不適切な処理が発覚した場合、施主も責任を問われる可能性があります。

Qアスベスト除去で建物の価値は上がりますか?
A

はい、特に売却や賃貸を考えている場合、アスベストを除去しておくことは資産価値の向上につながります。アスベストが残っている建物は、購入者や借主が敬遠する傾向があり、価格交渉でも不利になります。また、将来の解体・改修時にアスベスト対策費用がかからないことも、買主にとっての安心材料になります。補助金を活用すれば、費用負担を抑えながら資産価値を高めることができます。

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この記事を書いた人

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現場の窓口 編集部

運営: 合同会社Radineer

解体工事・アスベスト調査・土壌汚染調査・産業廃棄物処理の一括見積もりサービスを運営。 全国2,500社以上の審査済み業者と提携し、累計15万件以上の見積もり実績があります。

提携業者

2,500社以上

見積もり実績

15万件以上

満足度

97.8%

参照・引用元

  • 厚生労働省-石綿障害予防規則
  • 環境省-大気汚染防止法(アスベスト規制)
  • 国土交通省-建築物石綿含有建材調査者制度

※ 各省庁の公開情報および当サイト提携業者からの提供データに基づき作成しています

更新履歴

  • 20261最新情報を確認・更新
  • 2025-01-18記事作成