建築物石綿含有建材調査者とは
2023年10月以降、アスベスト事前調査を実施できるのは、厚生労働大臣または国土交通大臣が登録した講習を修了した有資格者のみです。この資格制度により、調査の質が標準化され、見落としのリスクが大幅に低減されました。
資格の種類と取得要件
| 資格名 | 調査可能な建築物 | 講習期間 | 受講資格 | 取得者数(推定) |
|---|---|---|---|---|
| 特定建築物石綿含有建材調査者 | すべての建築物(最上位資格) | 5日間(40時間) | 建築関連の実務経験または学歴が必要 | 約3,000人 |
| 一般建築物石綿含有建材調査者 | すべての建築物 | 3日間(21時間) | 制限なし | 約15,000人 |
| 一戸建て等石綿含有建材調査者 | 木造・鉄骨造平屋建て・2階建て住宅のみ | 2日間(14時間) | 制限なし | 約8,000人 |
重要:あなたの建物に適した資格者を選びましょう。3階建て以上のマンションや鉄筋コンクリート造の建物には、一般または特定建築物石綿含有建材調査者の資格が必要です。
調査機関の種類と特徴
アスベスト調査を行う機関は、大きく分けて以下の4種類があります:
| 調査機関の種類 | 特徴 | 費用相場 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|---|
| 大手環境調査会社 | 全国展開、実績豊富 | やや高め(20〜50万円) | 信頼性が高い、報告書が詳細、ISO認定分析機関を保有 | 費用が高い、小規模案件は断られる場合あり |
| 地域密着型調査会社 | 地元で実績、対応が早い | 標準(10〜30万円) | 地域の建物に詳しい、柔軟な対応、費用が適正 | 実績にばらつき、資格者の数が少ない場合あり |
| 建築コンサルタント | 建築全般に精通 | 標準〜やや高め(15〜40万円) | 建物全体のアドバイスが受けられる、リフォーム計画と連携可能 | アスベスト専門でない場合あり |
| 個人事業主 | フリーランスの有資格者 | 安め(5〜15万円) | 費用が安い、小回りが利く | 倒産リスク、保険未加入の場合あり、分析機関との連携が弱い |
優良調査機関の見分け方チェックリスト
1. 有資格者の在籍確認(必須)
以下を必ず確認してください:
- 資格証の提示:契約前に資格証のコピーを取得し、登録番号を記録
- 資格の種類:あなたの建物に適した資格(一般または特定)か確認
- 実務経験:調査実績件数、建物種別の経験(最低でも50件以上が望ましい)
- 継続教育:最新の法令改正に対応しているか(講習会参加歴など)
資格確認の方法
| 確認項目 | 確認方法 | チェックポイント |
|---|---|---|
| 資格証のコピー | 契約前に提示を依頼 | 氏名、登録番号、有効期限(5年ごとの更新) |
| 登録番号の照会 | 厚生労働省または国土交通省のウェブサイトで検索 | 登録が有効か、資格者本人か |
| 調査実績 | ホームページまたは直接問い合わせ | 類似建物の調査経験、実績件数 |
2. 分析機関との連携(重要)
信頼できる調査機関は、ISO/IEC 17025認定を受けた分析機関と提携しています:
- 分析機関の名称と認定番号:見積書に明記されているか
- 分析方法:JIS A 1481に準拠した分析か
- 分析のターンアラウンドタイム:検体提出から結果報告までの期間(通常7〜14日)
- 再分析の対応:結果が不明確な場合の再分析体制
主な認定分析機関(例):
- 日本環境分析センター
- 環境管理センター
- いであ株式会社
- 各都道府県の環境科学研究所
3. 実績と信頼性の確認
| 確認項目 | 優良機関の基準 | 確認方法 |
|---|---|---|
| 調査実績 | 年間50件以上、累計200件以上 | ホームページの実績紹介、問い合わせ |
| 業界団体への加盟 | JATI協会(日本アスベスト調査診断協会)会員 | 協会のウェブサイトで会員検索 |
| 賠償責任保険 | 調査ミスに備えた保険に加入 | 保険証券のコピーを依頼 |
| 会社の設立年数 | 5年以上の実績(倒産リスク低減) | 会社登記情報、ホームページ |
| 口コミ・評判 | Googleレビュー4.0以上 | Googleマップ、口コミサイト |
4. 調査範囲の明確化
見積もり時に以下が具体的に記載されているか確認してください:
書面調査:
- 調査対象書類(設計図書、竣工図、改修履歴、建築確認申請書など)
- 書類が不足している場合の対応(追加調査の費用)
現地調査:
- 調査対象箇所が具体的に記載(天井裏、床下、外壁、配管、屋根など)
- サンプリング地点数(建材の種類×箇所数)
- 調査日時と所要時間
- 立会いの必要性
分析:
| 項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 分析費用 | 定性分析・定量分析の単価、検体数ごとの費用 |
| 分析機関 | ISO/IEC 17025認定機関の名称と認定番号 |
| 分析期間 | 検体提出から結果報告までの日数 |
| 緊急対応 | 納期短縮の可否と追加費用 |
5. 報告書の品質
優良な調査機関の報告書には以下が含まれます:
- 調査概要:調査日時、調査者名、資格番号
- 建築物情報:所在地、構造、築年数、用途
- 調査箇所の写真:現場の状況が分かる高解像度の写真(20〜50枚)
- 使用建材のリスト:建材名、使用箇所、メーカー、製造年
- サンプリング地点図:図面上にサンプリング箇所を記載
- 分析結果:アスベストの種類、含有率、判定基準
- 対応方針:除去、封じ込め、囲い込みの推奨と理由
- 見積もり:除去工事が必要な場合の概算費用
サンプル報告書を依頼:契約前に過去の調査報告書のサンプル(個人情報を伏せたもの)を見せてもらい、品質を確認しましょう。
要注意!こんな調査機関は避けましょう
1. 資格未保持者が調査を行う
リスク:法令違反であり、罰則対象。調査結果が無効になる可能性
見分け方:
- 資格証の提示を拒む、または「後日送ります」と言って送らない
- 「実務経験があるので資格は不要」と主張する(誤り)
- 登録番号が厚生労働省または国土交通省のサイトで検索できない
2. 極端に安い見積もり
リスク:サンプリング数が少ない、分析が省略されている、現地調査が不十分
見分け方:
- 相場の半額以下(例:木造一戸建てで3万円以下)
- 「分析不要」と言われる(書面調査のみで「アスベストなし」と断定)
- サンプリング数が1〜2検体のみ(通常は3〜5検体以上)
3. 書面調査のみで完結しようとする
リスク:現地調査なしで「アスベストなし」と判定するのは違法(2006年以降の建物で図面が完備されている場合を除く)
見分け方:
- 「図面があるから現地調査は不要」と言われる(1990年代以前の建物の場合は要注意)
- 現地調査の費用が見積もりに含まれていない
4. 除去業者との癒着が疑われる
リスク:不要な除去工事を提案される、除去費用が高額
見分け方:
- 調査前から「おそらくアスベストが含まれているので除去が必要」と断定的に言う
- 調査結果の説明よりも除去工事の営業が中心
- 除去業者とセットでの契約を強く勧める
- 「封じ込め」や「囲い込み」の選択肢を説明しない
5. 契約内容が不透明
リスク:追加費用が発生する、報告書の品質が低い
見分け方:
- 見積書に「一式」と書かれ、内訳が不明
- 追加費用の発生条件が明記されていない
- キャンセル料の規定がない(または不当に高い)
- 報告書の納期が曖昧(「できるだけ早く」など)
6. コミュニケーションが不十分
リスク:調査漏れ、トラブル発生時の対応が遅い
見分け方:
- 問い合わせへの返信が遅い(3営業日以上)
- 専門用語ばかりで説明が分かりにくい
- 質問に対して明確な回答がない
- 契約を急がせる(「今日中に決めてください」など)
費用相場表(調査機関の種類別)
| 調査機関の種類 | 木造一戸建て(100m²) | RC造マンション(500m²) | 中規模ビル(1,000m²) |
|---|---|---|---|
| 大手環境調査会社 | 10〜15万円 | 30〜50万円 | 70〜120万円 |
| 地域密着型調査会社 | 7〜12万円 | 20〜40万円 | 50〜100万円 |
| 建築コンサルタント | 8〜13万円 | 25〜45万円 | 60〜110万円 |
| 個人事業主 | 5〜8万円 | 15〜30万円 | 40〜80万円 |
注意:極端に安い見積もり(相場の半額以下)は、調査の質に問題がある可能性が高いです。
契約時の注意点(詳細)
1. 契約書に明記すべき内容
- 調査範囲:調査対象箇所、サンプリング地点数を具体的に記載
- 調査費用:書面調査、現地調査、分析費用の内訳
- 追加費用:追加調査が必要になった場合の費用負担ルール
- 報告書の納期:通常1〜2週間、遅延時の対応
- キャンセル料:キャンセルできる期限と料金(着手前は無料が一般的)
- 秘密保持:調査結果の取り扱い(NDAの締結)
- 保険:賠償責任保険の加入状況
2. 支払い条件
| 支払い方法 | タイミング | 割合 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|---|
| 一括払い | 報告書受領後 | 100% | 報告書の品質を確認してから支払える | 調査機関が受け入れない場合あり |
| 2回払い | 着手時・報告書受領後 | 50%・50% | バランスが良い、一般的 | 着手金の返金が困難な場合あり |
| 3回払い | 着手時・現地調査後・報告書受領後 | 30%・30%・40% | 進捗に応じた支払いで安心 | 事務手続きが煩雑 |
3. トラブル時の対応
契約書に以下を明記しておきましょう:
- 調査ミスが発覚した場合の再調査費用(無償)
- 報告書の修正・追記の対応(初回は無償)
- 紛争解決の方法(話し合い、調停、裁判など)
調査機関を探す方法
1. 業界団体のウェブサイト
JATI協会(日本アスベスト調査診断協会)
- ウェブサイト:https://www.jati.or.jp/
- 会員検索機能で地域・資格で絞り込み可能
- 会員は一定の基準を満たした調査機関
2. 都道府県の建築関連団体
- 各都道府県の建築士会
- 地方自治体の環境部局(相談窓口がある場合)
- 建築業協会
3. インターネット検索
検索キーワード:「アスベスト調査 [都道府県名]」「建築物石綿含有建材調査者 [地域名]」
- Googleマップで地域検索
- 口コミ・評価を確認(4.0以上が望ましい)
- ホームページの充実度をチェック(実績、資格者情報、料金表)
4. 建設業者からの紹介
- 解体業者・リフォーム業者に問い合わせ
- 複数の業者から紹介を受け、相見積もりを取る
- 注意:業者との癒着がないか確認(紹介料が上乗せされていないか)
相見積もりの取り方と比較ポイント
相見積もりの手順
- 3社以上に依頼:価格だけでなく、調査内容・対応を比較
- 同一条件で依頼:建物情報、調査範囲を同じにする
- 見積書の受領:メールまたは郵送で受け取り、記録に残す
- 比較表を作成:費用、調査範囲、資格者、納期を一覧化
比較のポイント
| 比較項目 | チェック内容 |
|---|---|
| 費用 | 内訳が明確か、追加費用の条件は妥当か |
| 調査範囲 | サンプリング地点数、調査箇所が同一か |
| 資格者 | 資格の種類(一般・特定)、実務経験 |
| 分析機関 | ISO認定を受けているか |
| 納期 | 報告書の提出期限が明確か |
| 対応 | 問い合わせへの返信速度、説明の分かりやすさ |
注意:最も安い見積もりを選ぶのではなく、費用と品質のバランスを総合的に判断してください。
よくある質問
Q調査機関を探す方法は?
一般社団法人JATI協会(日本アスベスト調査診断協会)や、各都道府県の建築関連団体のウェブサイトで、有資格者の検索が可能です。また、建設業者からの紹介も一般的です。ただし、業者との癒着がないか注意が必要です。
Q相見積もりは取るべきですか?
はい。必ず3社以上から見積もりを取ることをお勧めします。複数社から見積もりを取ることで、適正価格の把握と調査内容の比較ができます。ただし、安さだけで選ばず、資格・実績・報告書の品質も総合的に判断してください。
Q調査機関が倒産した場合のリスクは?
調査途中で倒産した場合、報告書が完成せず、再調査が必要になります。事前に会社の設立年数(5年以上が望ましい)、実績、財務状況を確認し、信頼性の高い機関を選ぶことでリスクを低減できます。賠償責任保険に加入しているかも確認しましょう。
Q調査者の資格証明はどのように確認しますか?
契約前に資格証のコピーを提示してもらい、厚生労働省または国土交通省の登録番号を確認してください。登録番号は各省庁のウェブサイトで照会可能です。資格の有効期限(5年ごとの更新)も確認しましょう。
Q調査報告書の保管期間は?
法律上、調査結果は工事完了後3年間保管する義務があります。将来の改修工事や売却時に必要になるため、原本とデータの両方を大切に保管してください。クラウドストレージへのバックアップも推奨します。
Q分析機関のISO認定はなぜ重要ですか?
ISO/IEC 17025認定を受けた分析機関は、国際基準に基づく精度の高い分析を行っています。認定されていない機関の分析結果は、行政や裁判で証拠として認められない場合があります。必ずISO認定を受けた分析機関を使用している調査機関を選びましょう。
Q個人事業主の調査者に依頼しても大丈夫ですか?
有資格者であれば法的には問題ありませんが、以下を確認してください:賠償責任保険の加入、ISO認定分析機関との提携、調査実績(最低50件以上)。個人事業主は費用が安い反面、倒産リスクや保険未加入のリスクがあります。
Q調査機関の変更は可能ですか?
契約前であれば自由に変更できます。契約後の変更は、キャンセル料が発生する場合があります。契約書のキャンセル条項を必ず確認してください。一般的には、着手前(現地調査前)であればキャンセル無料、着手後は着手金の返金なしが多いです。
QJATI協会の会員でない調査機関は避けるべきですか?
JATI協会の会員であることは信頼性の目安の一つですが、必須ではありません。非会員でも優良な調査機関は多数あります。重要なのは、有資格者の在籍、ISO認定分析機関との提携、調査実績の3点です。
Q調査報告書のサンプルを見せてもらえますか?
はい。優良な調査機関であれば、過去の調査報告書のサンプル(個人情報を伏せたもの)を見せてくれます。報告書の品質を事前に確認することで、調査機関の信頼性を判断できます。サンプル提供を拒む場合は要注意です。
Q調査費用の支払いはいつですか?
一般的には、着手金50%・報告書受領後50%の2回払いが多いです。報告書の品質を確認してから全額支払いたい場合は、事前に交渉してください。ただし、小規模な調査機関は一括前払いを求める場合もあります。
Q調査機関が除去業者を紹介してくれた場合、依頼すべきですか?
紹介自体は問題ありませんが、必ず他の除去業者からも相見積もりを取ってください。調査機関と除去業者が癒着している場合、費用が高額になるリスクがあります。複数の業者を比較し、適正価格を確認しましょう。