基礎知識

住まいのどこにアスベスト? - 築年数・建材(スレート・吹付け)から見るリスク診断

最終更新: 2025年1月20日21分で読める2026年1月確認済み

自宅にアスベストがあるかどうか、どう判断すればいい?

築年数が2006年以前の場合、アスベスト含有建材の使用可能性があります。特に1970〜90年代の建物は要注意。屋根材(スレート)、外壁(サイディング)、天井材、断熱材が主な使用箇所です。正確な判断には専門業者による調査が必要です。

この記事の結論

住宅のアスベストリスクは築年数と建材の種類で判断できます。1960〜80年代に多用された吹付けアスベスト(レベル1)が最も危険で、スレート屋根・外壁サイディング(レベル3)は破損しなければリスクは低いです。築年数別の使用部位と建材ごとのリスクレベルを把握し、必要に応じて専門業者に調査を依頼しましょう。

この記事でわかること

  • 2006年以前の建物にはアスベスト含有建材が使われている可能性あり
  • レベル1(吹付け材)は劣化すると繊維が飛散し最もリスクが高い
  • スレート屋根・サイディングは破損しない限り飛散リスクは低い
  • マンションの共用部(機械室・駐車場)にも注意が必要
  • 短期間の軽微な曝露で健康被害が出る可能性は低い
  • リフォーム・解体前には必ず専門業者による調査を実施

住まいのどこにアスベスト? - 築年数・建材(スレート・吹付け)から見るリスク診断とは

住まいのアスベストリスク診断とは、建物の築年数・構造・使用建材をもとに、アスベスト含有建材が使われている可能性と健康リスクのレベルを評価することです。2006年以前の建物には注意が必要で、特に1970〜90年代の建物はリスクが高いとされています。

2006年(平成18年)が境界線

現在、アスベスト(石綿)の製造・使用は全面的に禁止されていますが、2006年8月31日以前に着工された建物には、アスベストが使用されている可能性があります。特に1975年(昭和50年)以前は、毒性の強いアスベストが多く使われていました。

アスベストは「奇跡の鉱物」と呼ばれ、断熱性、耐火性、耐久性に優れているため、高度経済成長期を中心に大量に使用されました。しかし、1970年代から健康被害が明らかになり、段階的に規制が強化されてきました。

築年数別のアスベスト使用リスク

築年数 建築年代 リスクレベル 主な使用建材
築50年以上 1975年以前 非常に高い 吹付けアスベスト、保温材、ほぼ全ての建材に含有の可能性
築30〜50年 1976〜1995年 高い スレート屋根、外壁サイディング、床タイル、軒天ボード
築19〜30年 1996〜2006年 中程度 一部の屋根材、外壁材に含有の可能性あり
築19年未満 2007年以降 ほぼなし アスベスト全面禁止後の建築(使用禁止)

戸建て住宅の要注意スポット

1. 屋根(スレート・コロニアル)

戸建て住宅で最も多く使用されているのがスレート屋根です。「カラーベスト」「コロニアル」などの商品名で知られています。

見分け方

  • 薄い板状の屋根材が重なっている
  • 色は黒、グレー、茶色、緑などさまざま
  • 表面がザラザラした質感
  • 厚さは5〜6mm程度

リスク

劣化して割れたり、リフォームで撤去する際に破砕すると、アスベスト繊維が飛散します。塗装だけのリフォームであれば、通常は問題ありません。

対処法

  • 葺き替え(全面交換):撤去時にアスベスト対策が必要
  • カバー工法:既存の屋根の上に新しい屋根を重ねる(アスベストは残る)
  • 塗装:アスベストを封じ込める効果もある

2. 外壁(サイディング)

窯業系サイディングの一部にアスベストが含まれています。1990年代に多く使用されました。

見分け方

  • 板状のパネルが縦または横に並んでいる
  • 目地(つなぎ目)にシーリング材が充填されている
  • 表面に木目調やタイル調の模様がある
  • 厚さは12〜16mm程度

リスク

外壁を撤去する際、切断や破砕によってアスベストが飛散する可能性があります。塗装や部分補修程度であれば、通常は問題ありません。

3. 軒天(のきてん)

軒天とは、屋根の裏側(軒下)の天井部分です。ケイカル板やスレートボードが使われており、高い確率でアスベストが含まれています。

見分け方

  • 屋根の下、外壁の上部にある水平な板
  • 白やクリーム色が多い
  • 換気口が設けられていることが多い
  • 表面が平滑または小さな穴が開いている

リスク

雨漏りなどで劣化しやすい箇所です。ボロボロになって剥がれ落ちると、アスベストが飛散するリスクがあります。

4. 内装(天井・壁)

防音・断熱・耐火目的で、さまざまなボード材が使用されています。

該当する建材

  • パーライト板:軽石のような質感、音がよく響く部屋に使用
  • フレキシブル板:薄く柔軟性があるボード
  • スレートボード:硬質のボード、キッチンの壁などに使用
  • けい酸カルシウム板:耐火性が高い、浴室や台所に使用

見分け方

見た目だけでの判断は困難です。リフォーム時に業者に確認してもらうか、建築時の図面で確認する必要があります。

5. 床(Pタイル)

ビニール床タイル(通称:Pタイル)は、学校や店舗だけでなく、一般家庭の水回りにも使用されています。

見分け方

  • 30cm×30cm程度の正方形のタイル
  • 色は茶色、グレー、ベージュなど
  • 表面が硬くツルツルしている
  • 石目調や無地のデザイン

リスク

タイル自体だけでなく、接着剤にもアスベストが含まれている可能性があります。剥がす際は専門業者に依頼してください。

マンション・鉄骨造のリスク

吹付けアスベスト(レベル1)

鉄骨の柱や梁に耐火被覆として吹き付けられている「吹付けアスベスト(綿のようなもの)」は、経年劣化で剥がれ落ちると非常に危険です。駐車場や機械室の天井をチェックしてください。

見分け方

  • 鉄骨の梁や柱に綿のようなものが吹き付けられている
  • 色は白、グレー、茶色など
  • 触るとポロポロと崩れる(触らないでください!)
  • 表面がザラザラ、フワフワした質感

チェックすべき場所

  • 地下駐車場の天井:最も多く使用されている
  • 機械室:エレベーター機械室、電気室など
  • 階段室の天井:避難階段の鉄骨部分
  • エントランスホール:鉄骨造の場合、天井裏に使用されていることも

対処法

劣化が見られる場合は、管理組合または管理会社に速やかに報告してください。専門業者による調査と対策が必要です。絶対に自分で触ったり、掃除したりしないでください。

配管の保温材(レベル2)

給排水管、空調ダクト、ボイラー配管などに巻かれている保温材にもアスベストが含まれている可能性があります。

見分け方

  • 配管に白や灰色の布のようなものが巻かれている
  • 厚さ2〜5cm程度
  • 継ぎ目がテープで固定されている

リスク

配管の更新工事の際に撤去が必要になります。劣化してボロボロになっている場合は、飛散のリスクがあります。

住宅のアスベストリスク箇所マップ

場所 建材 リスク チェックポイント
屋根 スレート瓦、コロニアル 高い ひび割れ、欠け、色あせ
外壁 窯業系サイディング 中〜高 クラック、剥離、シーリングの劣化
軒天 ケイカル板、スレートボード 高い 雨染み、剥がれ、穴
外壁下地 スレートボード 中程度 外壁をめくらないと見えない
内壁・天井 パーライト板、フレキシブル板 中程度 劣化、破損
ビニール床タイル(Pタイル) 中程度 ひび割れ、剥がれ
浴室 けい酸カルシウム板 中程度 天井・壁の劣化
キッチン スレートボード、けい酸カルシウム板 中程度 壁・天井の劣化
煙突 石綿セメント管 中程度 ひび割れ、破損
ベランダ スレート板 中程度 手すり壁、床の劣化

セルフチェック方法

準備するもの

  • 懐中電灯
  • カメラ(スマートフォンでOK)
  • 建築図面(あれば)
  • 建築確認済証(建築年月日の確認用)
  • チェックリスト(下記参照)

セルフチェックの手順

  1. 建築年月日の確認:2006年9月1日以降であれば、基本的に心配なし
  2. 外観のチェック:屋根、外壁、軒天を外から確認
  3. 内部のチェック:各部屋の天井、壁、床を確認
  4. 共用部のチェック(マンションの場合):駐車場、機械室、階段室
  5. 写真撮影:気になる箇所の写真を撮影
  6. 記録:チェックリストに記入

セルフチェックリスト

戸建て住宅用

  • □ 建築年月日:____年____月(2006年8月31日以前か?)
  • □ 屋根材の種類:スレート / 瓦 / 金属 / その他(____)
  • □ 屋根の状態:良好 / ひび割れあり / 欠けあり / 色あせ
  • □ 外壁材の種類:サイディング / モルタル / タイル / その他(____)
  • □ 外壁の状態:良好 / クラックあり / 剥離あり
  • □ 軒天の状態:良好 / 雨染みあり / 剥がれあり / 穴あり
  • □ 内壁・天井の材質:不明 / ボード / クロス / 塗装
  • □ 床材の種類:フローリング / タイル / カーペット / その他(____)
  • □ 浴室の天井・壁:ユニットバス / タイル / ボード
  • □ キッチンの壁・天井:タイル / ボード / その他(____)

マンション用

  • □ 建築年月日:____年____月
  • □ 構造:RC造 / SRC造 / 鉄骨造 / その他(____)
  • □ 駐車場天井の吹付け材:あり / なし / 不明
  • □ 機械室の吹付け材:あり / なし / 確認できず
  • □ 階段室天井の吹付け材:あり / なし / 不明
  • □ 配管の保温材:あり / なし / 不明
  • □ 専有部の内装材:不明 / ボード / クロス
  • □ 専有部の床材:フローリング / タイル / カーペット

専門調査の必要性判断

すぐに専門調査が必要なケース

  • 吹付けアスベストが劣化してポロポロ落ちている
  • 解体・リフォーム工事を予定している
  • 屋根や外壁が著しく劣化している
  • 1975年以前に建てられた建物
  • 健康に不安がある(咳、息切れなどの症状)

専門調査を検討すべきケース

  • 1976〜2006年に建てられた建物
  • 近い将来、リフォームを予定している
  • 建物の売却を検討している
  • マンションの大規模修繕が近い
  • アスベスト含有の可能性がある建材が使用されている

専門調査の種類と費用

調査種類 内容 費用
書面調査 設計図書から判断 1〜3万円
目視調査 有資格者が現地で確認 3〜5万円
建材分析(定性) 含有の有無を判定 3〜5万円/検体
建材分析(定量) 含有率まで測定 5〜8万円/検体
空気中濃度測定 室内の飛散状況を測定 5〜10万円/地点

対処フロー

ステップ1:建築年月日の確認

建築確認済証または登記簿謄本で建築年月日を確認します。2006年9月1日以降であれば、基本的にアスベストの心配はありません(証明書類があることが前提)。

ステップ2:セルフチェックの実施

上記のチェックリストを使って、自分で確認できる範囲をチェックします。気になる箇所は写真を撮っておきましょう。

ステップ3:専門家への相談

以下の場合は、専門家(建築物石綿含有建材調査者)に相談します:

  • 2006年8月31日以前の建物
  • セルフチェックで気になる箇所がある
  • リフォーム・解体工事を予定している

ステップ4:調査の実施

専門家による調査を実施します。必要に応じて建材の分析も行います。

ステップ5:結果に基づく対策

調査結果に基づいて、以下のいずれかの対策を実施します:

アスベストが見つかった場合

  • 緊急性が高い(劣化が激しい、吹付けアスベスト):除去、封じ込め、または囲い込み
  • 緊急性が低い(成形板、劣化なし):定期点検、将来のリフォーム時に対策
  • リフォーム・解体予定:工事前に適切な対策を実施

アスベストが見つからなかった場合

  • 調査結果を保管(3年間)
  • 安心してリフォーム・解体工事を進める

アスベストが見つかった場合の対策比較

対策 メリット デメリット 適用場面
除去 完全に撤去できる、将来的にも安心 高額、工期が長い 全面リフォーム、解体時
封じ込め 比較的安価、工期が短い 定期点検が必要、将来の解体時に対策必要 吹付けアスベストで劣化が少ない場合
囲い込み 安価、工期が短い 天井が低くなる、定期点検が必要 天井の吹付けアスベスト
経過観察 費用がかからない 定期的なチェックが必要 劣化がなく、当面工事の予定がない場合

よくある誤解と正しい知識

誤解1:2006年以降の建物は絶対に安全

正しい知識:2006年9月1日以降に「着工」された建物であれば、原則としてアスベストは使用されていません。ただし、中古建材を使用している場合や、着工日が証明できない場合は注意が必要です。

誤解2:アスベストがあれば必ず健康被害が出る

正しい知識:建材として固められている状態(非飛散性)であれば、通常の生活で健康被害が出ることはほとんどありません。問題になるのは、解体・リフォームで破砕した時や、劣化して飛散した時です。

誤解3:目視でアスベストの有無がわかる

正しい知識:最終的な判断には、専門機関による分析が必要です。見た目だけでは判断できません。

誤解4:アスベストは黒や灰色

正しい知識:アスベスト含有建材は、白、グレー、茶色、緑など、さまざまな色があります。色だけでは判断できません。

誤解5:少しくらい吸っても大丈夫

正しい知識:アスベストに安全な量はありません。わずかな量でも、長期間経過後に肺がんや中皮腫を発症するリスクがあります。

現場の窓口 編集部

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全国2,500社以上の提携業者ネットワークと、年間15万件以上の見積もり実績に基づく情報をお届けします。

よくある質問

Q住んでいるだけで健康被害はありますか?
A

建材として固められている状態(非飛散性アスベスト)であれば、通常の生活で空気中に飛び散ることはほとんどなく、直ちに健康被害が出ることはありません。問題になるのは、解体やリフォームで「壊す」時、あるいは劣化してボロボロになった時です。ただし、吹付けアスベストが劣化して剥がれ落ちている場合は、速やかに専門家に相談してください。

Q自分で見分ける方法はありますか?
A

国土交通省や建材メーカーのデータベースで、品番や施工年からある程度特定することは可能です(例:「石綿(アスベスト)含有建材データベース」)。しかし、最終的な判断は専門家による分析が必要です。見た目や触感だけでは、アスベストの有無を正確に判断することはできません。特に、リフォームや解体工事を予定している場合は、必ず有資格者による調査を受けてください。

Q築30年の家ですが、調査は必須ですか?
A

今すぐリフォームや解体の予定がなく、建材の劣化も見られない場合は、調査は必須ではありません。ただし、将来的にリフォームを検討しているのであれば、早めに調査しておくことで、工事計画を立てやすくなります。特に屋根や外壁が劣化している場合は、補修・交換のタイミングで調査を行うことをお勧めします。

Qマンションの場合、専有部だけ調査すればいい?
A

いいえ、共用部(駐車場、機械室、階段室など)にもアスベストが使用されている可能性があります。専有部のリフォームを行う場合は専有部の調査が必要ですが、建物全体のリスクを把握するには、管理組合として共用部の調査も実施することが望ましいです。特に大規模修繕を控えている場合は、事前に調査を行い、適切に予算を確保しておく必要があります。

Qアスベストを吸ってしまったかもしれません。どうすればいい?
A

まず落ち着いてください。短期間の軽微な曝露であれば、健康被害が出る可能性は低いです。ただし、長期間にわたって大量のアスベストを吸入した場合(職業曝露など)は、定期的な健康診断を受けることをお勧めします。アスベスト関連疾患は、曝露から20〜50年後に発症することが多いため、長期的なフォローアップが重要です。心配な場合は、呼吸器内科やアスベスト外来のある医療機関に相談してください。

Qアスベスト調査の結果、見つからなかった場合、本当に安心?
A

調査方法が適切であれば、基本的には安心できます。ただし、調査は「調査した範囲」についてのみ有効です。例えば、目視調査だけで分析を行っていない場合や、一部の部屋しか調査していない場合は、見落としの可能性があります。信頼できる業者に依頼し、必要に応じて分析まで行うことで、より確実な結果が得られます。また、調査結果の報告書は3年間保管し、将来のリフォームや売却時に活用してください。

Q隣の家を解体していますが、アスベストが飛んでこないか心配です
A

解体業者は、アスベスト含有建材がある場合、法律に基づいて適切な飛散防止対策を講じる義務があります。具体的には、養生シートの設置、散水、手作業での解体などです。もし、防塵シートが設置されていない、粉じんが大量に舞っているなど、不適切な工事が行われていると感じた場合は、自治体の環境部署または労働基準監督署に相談してください。また、解体工事の現場には、アスベスト調査結果の掲示が義務付けられているので、確認することもできます。

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この記事のまとめ

住宅のアスベストリスクは築年数と建材の種類で判断できます。1960〜80年代に多用された吹付けアスベスト(レベル1)が最も危険で、スレート屋根・外壁サイディング(レベル3)は破損しなければリスクは低いです。築年数別の使用部位と建材ごとのリスクレベルを把握し、必要に応じて専門業者に調査を依頼しましょう。

この記事の監修者

Y

吉田 雄一

アスベスト調査・環境コンサルタント

建築物石綿含有建材調査者石綿作業主任者環境計量士

2023年の事前調査義務化に伴い、全国の調査業者との連携体制を構築。アスベスト調査から除去工事まで一貫したサポート体制を提供。

この記事を書いた人

R

現場の窓口 編集部

運営: 合同会社Radineer

解体工事・アスベスト調査・土壌汚染調査・産業廃棄物処理の一括見積もりサービスを運営。 全国2,500社以上の審査済み業者と提携し、累計15万件以上の見積もり実績があります。

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更新履歴

  • 20263最新情報を確認・更新
  • 2025-01-20記事作成