アスベスト(石綿)の基本知識
アスベストは、1970年代〜2000年代にかけて建材として広く使用された繊維状の天然鉱物です。耐熱性・耐薬品性に優れているため、建物の至る所に使われていました。しかし、発がん性が確認され、2006年9月に全面使用禁止となりました。
築年数で見るアスベスト使用リスク
建物の築年数から、アスベスト使用の可能性をある程度推測できます。
- 2006年9月以降着工: 使用禁止後のため、原則なし(在庫建材使用の例外あり)
- 1995年〜2006年8月: 吹付けアスベストは禁止されているが、建材(スレート、Pタイルなど)には使用の可能性
- 1975年〜1995年: 高リスク。吹付け材、スレート、保温材など広範囲に使用
- 1975年以前: 最高リスク。ほぼすべての建材に使用の可能性
アスベストが使われやすい建材と場所
戸建て住宅
- 屋根材: スレート(コロニアル、カラーベスト) - 最も一般的。割ると飛散するリスク。
- 外壁: 窯業系サイディング、スレートボード
- 軒天(のきてん): ケイカル板(ケイ酸カルシウム板)
- 内装: 天井・壁のパーライト板、石膏ボード(一部)
- 床材: Pタイル(ビニール床タイル) - 学校や店舗だけでなく一般家庭の水回りにも使用
マンション・ビル
- 鉄骨の耐火被覆: 吹付けアスベスト(綿のようなもの) - 駐車場や機械室の天井
- 配管の保温材: ボイラー室、給湯室など
- エレベーターシャフト: 内壁の耐火材
自分でできる簡易チェック方法
以下の方法で、アスベスト使用の可能性を推測できます。ただし、最終的な判断は専門家による調査が必要です。
1. 築年数を確認
登記簿謄本や建築確認済証で着工年月日を確認します。2006年9月1日以前であれば要注意です。
2. 屋根材をチェック
屋根がスレート(波型や平板)の場合、アスベスト含有の可能性が高いです。「割れやすい」「軽く叩くと乾いた音がする」などの特徴があります。
3. 建材メーカーのデータベースで調べる
国土交通省の「石綿(アスベスト)含有建材データベース」で、品番や施工年から建材の情報を検索できます。ただし、品番が分からない場合は難しいです。
4. 設計図書・竣工図を確認
新築時の設計図書や竣工図に、使用建材のリストが記載されていることがあります。ハウスメーカーや工務店に問い合わせてみましょう。
専門家による確定調査の流れ
アスベスト使用の有無を確定させるには、建築物石綿含有建材調査者などの有資格者による調査が必要です。
- 書面調査: 設計図書、竣工図などの確認(費用: 2〜3万円)
- 現地調査: 目視確認、検体採取(費用: 3〜5万円)
- 分析調査: 検体を分析機関で分析(1検体あたり3〜5万円)
住んでいるだけで健康被害はある?
建材として固められている状態(非飛散性アスベスト)であれば、通常の生活で空気中に飛び散ることはほとんどなく、直ちに健康被害が出ることはありません。問題になるのは、解体やリフォームで「壊す」時、あるいは劣化してボロボロになった時です。
見つかった場合の対処法
アスベストが見つかった場合、以下の対応が必要です。
- 除去: 最も確実だが、費用が高額(レベル1・2の場合は数百万円〜)
- 封じ込め: 薬剤で固めて飛散を防ぐ(除去より安価)
- 囲い込み: 板などで覆って飛散を防ぐ
対策の選択は、建物の用途、今後の使用予定、予算などを総合的に判断して決めます。
よくある質問
Q外観からアスベストの有無を判断できますか?
完全には判断できません。ただし、屋根がスレート(波型や平板)、外壁がサイディングやスレートボードの場合、軒天がケイカル板の場合は、アスベスト含有の可能性が高いと考えられます。最終的には専門家の調査が必要です。
Qスレート屋根は全てアスベスト含有ですか?
いいえ。2006年9月以降に製造された「ノンアスベスト」のスレート屋根もあります。ただし、2006年以前に施工された場合は、ほぼ確実にアスベストが含まれていると考えてよいでしょう。
Q自分でアスベストの検体を採取して調べることはできますか?
法律上は可能ですが、お勧めしません。検体採取時に繊維を吸い込むリスクがあり、また、2023年10月以降は解体・改修工事前の調査は有資格者が行うことが義務付けられています。必ず専門家に依頼してください。
Qアスベスト調査の結果、「含有なし」と判定されれば安心ですか?
はい、安心です。調査報告書は不動産取引の資料としても活用でき、資産価値の証明にもなります。ただし、調査範囲に含まれていない部分(例:天井裏の配管など)がある場合は、そこにアスベストが使用されている可能性は残ります。
Qリフォームでアスベスト建材を一部だけ撤去する場合も調査は必要ですか?
はい、必要です。2023年10月以降、規模にかかわらず、建物の解体・改修工事を行う際はアスベスト事前調査が義務付けられています。壁に穴を開ける程度の軽微な工事でも、原則として調査が必要です。