安全対策

アスベスト作業用マスクの選び方|防じんマスクの規格と使用方法

更新: 2025-01-1518分で読める2026年1月確認済み

防じんマスクの重要性

アスベスト繊維は直径0.02〜0.3μm(マイクロメートル)と非常に微細で、肉眼では見えません。一度吸い込むと肺に刺さり、数十年後に深刻な健康被害を引き起こす可能性があります。そのため、アスベスト作業では国家検定に合格した防じんマスクの着用が法律で義務付けられています(石綿障害予防規則第14条)。

⚠️ 市販の一般マスクでは防げない

医療用マスクやN95マスク、布マスクなどでは、アスベスト繊維を十分に防ぐことはできません。アスベスト作業には、必ず国家検定合格の防じんマスクを使用してください。誤ったマスクの使用は、曝露リスクを高め、将来の健康被害につながります。

防じんマスクの種類と規格

厚生労働省の国家検定に合格した防じんマスクは、使い捨て式と取替式の2種類に分類されます。さらに、捕集効率と使用条件により複数のクラスに分かれています。

防じんマスクの規格体系

タイプ 規格記号 捕集効率 使用区分 適用
使い捨て式 DS1 80.0%以上 固体粉じん用 一般粉じん作業
DS2 95.0%以上 固体粉じん用 アスベスト調査・レベル3除去
DS3 99.9%以上 固体粉じん用 高濃度粉じん作業
取替式 RS1/RL1 80.0%以上 固体粉じん用 一般粉じん作業
RS2/RL2 95.0%以上 固体粉じん用 レベル3除去
RS3/RL3 99.9%以上 固体粉じん用 レベル2除去
RD1 80.0%以上 液体・固体粉じん用 オイルミスト含む作業
RD2 95.0%以上 液体・固体粉じん用 オイルミスト含む作業
RD3 99.9%以上 液体・固体粉じん用 オイルミスト含む作業

※RS(Regular Size):通常サイズ、RL(Large Size):大型サイズ

作業レベル別のマスク要件

アスベストの飛散リスクに応じて、使用すべきマスクの種類が法令で定められています。

作業内容 必要なマスク 理由
レベル1除去
(吹付けアスベスト)
電動ファン付き呼吸用保護具(PAPR)
または
送気マスク(エアラインマスク)
最も飛散リスクが高いため、より高性能な保護具が必要
レベル2除去
(保温材・断熱材)
取替式防じんマスク
RS3またはRL3以上
高い捕集効率(99.9%)が求められる
レベル3除去
(成形板)
取替式防じんマスク
RS2またはRL2以上
(DS2も可)
非飛散性だが、作業により粉じんが発生
事前調査・点検 使い捨て式防じんマスク
DS2以上
試料採取や目視調査時の予防的措置

💡 電動ファン付き呼吸用保護具(PAPR)とは

電動ファンで空気を吸引し、HEPAフィルターでろ過した清浄な空気をマスク内に送り込む装置です。呼吸抵抗が少なく、長時間作業でも快適です。レベル1除去作業では、PAPRまたは送気マスクの使用が推奨されています。価格は5〜15万円程度と高額ですが、作業者の健康を守る重要な投資です。

防じんマスクの選び方

1. 顔のサイズに合ったものを選ぶ

マスクと顔の間に隙間があると、そこからアスベスト繊維が侵入します。自分の顔のサイズに合ったマスクを選ぶことが最も重要です。

サイズ 対象 確認方法
S(Small) 顔が小さい方、女性 試着して密着性を確認
M(Medium) 標準的な顔サイズの方 最も一般的なサイズ
L(Large) 顔が大きい方 Mサイズで隙間ができる場合

2. 国家検定合格品であることを確認

マスク本体または包装に「国家検定合格」の表示と検定番号が記載されていることを確認してください。検定に合格していないマスクは、性能が保証されません。

3. 使い捨て式 vs 取替式の選択

項目 使い捨て式(DS2等) 取替式(RS/RL等)
価格 安い(100〜500円/枚) 本体は高い(3,000〜15,000円)
フィルター:500〜2,000円/組
使用期間 1日使い捨て 本体は繰り返し使用可能
メンテナンス 不要 本体の洗浄・消毒が必要
適用作業 短時間作業、調査 長時間作業、レベル1・2除去
快適性 息苦しくなりやすい 呼吸抵抗が低く快適

フィットテストの重要性

どんなに高性能なマスクでも、顔とマスクの間に隙間があれば意味がありません。フィットテスト(密着性確認)を行い、適切に装着されているか確認することが重要です。

フィットテストの方法

1. 定性的フィットテスト(簡易法)

作業現場で誰でも実施できる簡単な方法です。

  • 陽圧法:マスクを装着し、吸気口を手で塞いで息を吐く。マスクの周囲から空気が漏れなければ合格
  • 陰圧法:マスクを装着し、排気弁を手で塞いで息を吸う。マスクが顔に吸い付けば合格
  • フィッティングテスター使用:専用の苦味または甘味のスプレーを使用し、味を感じなければ合格

2. 定量的フィットテスト(精密法)

専用の測定機器を使用し、マスク内外の粒子濃度を測定して漏れ率を定量的に評価します。より正確ですが、機器と専門知識が必要です。

⚠️ フィットテストは毎回実施

マスクの装着状態は、装着のたびに変わります。作業開始前に必ずフィットテストを行い、密着性を確認してください。ひげや髪がマスクと顔の間に挟まっていないかも確認しましょう。

正しい装着方法

取替式防じんマスクの装着手順

  1. マスク本体とフィルターが正しく装着されているか確認
  2. 頭ひもを緩め、マスクを顔に当てる
  3. 上部の頭ひもを頭頂部に、下部の頭ひもを首の後ろにかける
  4. マスクの位置を調整し、鼻と口をしっかり覆う
  5. 頭ひもを適度に締める(きつすぎず、緩すぎず)
  6. フィットテスト(陽圧法・陰圧法)を実施
  7. 合格したら作業開始

装着時の注意点

  • ひげがあると密着性が損なわれるため、作業前に剃ることが推奨される
  • 眼鏡を着用する場合は、マスク装着後に眼鏡をかける
  • 髪がマスクと顔の間に挟まらないよう注意
  • マスクの排気弁が正常に動作するか確認

フィルターの交換時期

フィルターが目詰まりすると、呼吸抵抗が増加し、作業効率が低下するだけでなく、隙間からの漏れ込みリスクも高まります。

交換が必要なタイミング

マスクの種類 交換タイミング 備考
使い捨て式(DS2等) 1日使用後に廃棄 再使用禁止
取替式フィルター(RS/RL等) 息苦しくなったら交換
(目安:1日〜数日)
粉じん濃度により異なる
PAPRフィルター メーカー指定時間経過後
または風量低下時
使用時間を記録

💡 フィルターの保管方法

使用済みフィルターは特別管理産業廃棄物(廃石綿等)として処分します。ビニール袋に密閉し、他の廃棄物と区分して保管してください。

マスク本体のメンテナンス

取替式防じんマスクの本体は繰り返し使用できますが、適切なメンテナンスが必要です。

日常のお手入れ

  1. 使用後:フィルターを取り外す
  2. 洗浄:中性洗剤を溶かしたぬるま湯で本体を洗う
  3. すすぎ:水でよくすすぐ
  4. 消毒:アルコールまたは次亜塩素酸ナトリウム溶液で消毒
  5. 乾燥:清潔な場所で自然乾燥
  6. 保管:直射日光を避け、清潔な袋に入れて保管

定期点検項目

  • ☑ 面体に亀裂・変形がないか
  • ☑ 排気弁が正常に動作するか
  • ☑ 頭ひもが劣化していないか
  • ☑ フィルター取付部に損傷がないか
  • ☑ ゴムパッキンが劣化していないか

異常が見つかった場合は、直ちに使用を中止し、新しいマスクに交換してください。

マスクの購入方法と価格

購入先

  • 安全用品専門店
  • ホームセンター(一部店舗)
  • オンラインショップ(Amazon、楽天、MonotaRO等)
  • 産業資材卸売業者

価格の目安

商品 価格 ランニングコスト
使い捨て式マスク(DS2) 100〜500円/枚 1日あたり100〜500円
取替式マスク本体(RS2/RL2) 3,000〜8,000円 初期投資のみ
取替式マスク本体(RS3/RL3) 5,000〜15,000円 初期投資のみ
取替式フィルター(1組2個) 500〜2,000円 1〜数日ごとに交換
電動ファン付き呼吸用保護具(PAPR) 5〜15万円 フィルター・バッテリー交換費用

事業者の義務と罰則

労働安全衛生法および石綿障害予防規則により、事業者には以下の義務が課されています。

  • 作業内容に適した防じんマスクの支給(労働者に費用負担させることは禁止
  • 防じんマスクの正しい使用方法の教育
  • フィットテストの実施
  • マスクの点検・整備
  • 適切な保管場所の提供

違反した場合、50万円以下の罰金が科される可能性があります。

まとめ:正しいマスクで健康を守る

防じんマスクは、アスベスト作業者の命を守る最後の砦です。作業内容に適した規格のマスクを選び、フィットテストで密着性を確認し、適切に使用・管理することで、アスベスト曝露のリスクを最小限に抑えることができます。マスクの選択や使用方法に不安がある場合は、メーカーや安全用品専門店に相談し、確実な保護対策を講じましょう。

よくある質問

Q市販のマスクでは代用できませんか?
A

一般的なマスクではアスベスト繊維を防げません。必ず国家検定に合格した防じんマスクを使用してください。

Qマスクはどこで購入できますか?
A

安全用品専門店、ホームセンター、オンラインショップで購入できます。価格は使い捨て式で100〜500円/枚、取替式本体で3,000〜15,000円程度です。

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この記事を書いた人

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現場の窓口 編集部

運営: 合同会社Radineer

解体工事・アスベスト調査・土壌汚染調査・産業廃棄物処理の一括見積もりサービスを運営。 全国2,500社以上の審査済み業者と提携し、累計15万件以上の見積もり実績があります。

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2,500社以上

見積もり実績

15万件以上

満足度

97.8%

参照・引用元

  • 厚生労働省-石綿障害予防規則
  • 環境省-大気汚染防止法(アスベスト規制)
  • 国土交通省-建築物石綿含有建材調査者制度

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更新履歴

  • 20261最新情報を確認・更新
  • 2025-01-15記事作成