法律・手続き

アスベスト廃棄物の処分方法|マニフェスト管理と最終処分

更新: 2025-01-1519分で読める2026年1月確認済み

アスベスト廃棄物処理の重要性

アスベスト除去工事で発生した廃棄物は、適切な処理と厳格な管理が法律で義務付けられています。不適切な処理は環境汚染や健康被害を引き起こすだけでなく、廃棄物処理法違反として重い罰則(5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金)が科される可能性があります。

アスベスト廃棄物は、飛散リスクに応じて廃石綿等(特別管理産業廃棄物)石綿含有産業廃棄物に分類され、それぞれ異なる処理基準が適用されます。産業廃棄物管理票(マニフェスト)による追跡管理を徹底し、最終処分まで責任を持って管理することが求められます。

アスベスト廃棄物の分類

アスベスト廃棄物は、飛散性の有無により2つのカテゴリーに分類されます。

分類 対象建材 廃棄物の区分 処理の特徴
廃石綿等
(飛散性)
レベル1:吹付けアスベスト
レベル2:保温材・断熱材・耐火被覆材
特別管理産業廃棄物 二重梱包、特別な収集運搬基準、溶融処理または管理型処分場での厳重な埋立て
石綿含有産業廃棄物
(非飛散性)
レベル3:成形板(スレート板、ケイ酸カルシウム板等) 産業廃棄物(がれき類) 分別保管、専用袋での梱包、安定型または管理型処分場での埋立て

⚠️ 廃石綿等に該当するもの

  • 石綿建材除去作業で発生した吹付けアスベストや保温材
  • 石綿の粉じんが付着した防じんマスクや保護衣
  • 作業で使用したプラスチックシート(養生シート)
  • 集じん装置で回収したアスベスト粉じん
  • 作業場所の清掃で発生した廃液やウエス

これらは全て特別管理産業廃棄物として扱い、厳重な管理が必要です。

アスベスト廃棄物処分の全体フロー

アスベスト廃棄物は、排出から最終処分まで、法令に基づいた厳格な手順で処理されます。

STEP1:排出・梱包

除去作業現場で発生したアスベスト廃棄物を、飛散防止措置を施して梱包します。

飛散性アスベスト(廃石綿等)の梱包方法

梱包手順 使用資材 注意点
1. 湿潤化 水または薬剤(固化剤・浸透剤) 粉じんの飛散を防ぐため、十分に湿らせる
2. 一次梱包 厚さ0.15mm以上のプラスチック袋 破れないよう慎重に袋に入れ、密閉する
3. 二次梱包 フレコンバッグ(耐貫通性のある袋) 二重梱包が義務。「廃石綿等」と明記
4. 表示 廃石綿等シール・ラベル 廃棄物の種類、数量、排出者名を記載

非飛散性アスベスト(石綿含有産業廃棄物)の梱包方法

  • 破損しないよう丁寧に取り扱い、破砕・切断は避ける
  • 専用の袋またはフレコンバッグに入れる(一重でも可)
  • 「石綿含有産業廃棄物」と明記したラベルを貼付
  • 他の廃棄物と混載しない(分別保管)

STEP2:収集運搬

アスベスト廃棄物の収集運搬は、特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可(廃石綿等の場合)または産業廃棄物収集運搬業の許可を持つ業者が行います。

収集運搬の基準

項目 廃石綿等(飛散性) 石綿含有産業廃棄物(非飛散性)
積載方法 荷台に固定し、シートで覆う 荷台に固定(シート不要だが推奨)
運搬車両 密閉式または防じん対策を施した車両 通常の産廃運搬車両
他廃棄物との混載 厳禁 原則禁止(分別して積載)
保管 他の廃棄物と区分し、密閉した容器で保管 分別保管

💡 運搬業者の選定ポイント

  • 必要な許可(特別管理産業廃棄物収集運搬業)を持っているか確認
  • アスベスト廃棄物の運搬実績があるか
  • 適切な車両・設備を保有しているか
  • 運搬ルートや時間帯の配慮があるか
  • マニフェストの取扱いが適切か

STEP3:中間処理

アスベスト廃棄物を無害化または減量化するための処理です。

中間処理の方法

処理方法 処理温度・条件 処理後の状態 メリット・デメリット
溶融処理 1,500℃以上の高温で溶融 アスベストが分解され、無害なガラス状物質に変化 ◎ 完全無害化
△ 処理費用が高い
無害化処理 1,300℃程度で加熱または化学処理 結晶構造が変化し、無害化 ◎ 無害化
○ 溶融より費用が安い
固化処理 セメント等で固化 固化されるが、アスベストは残存 △ 飛散防止のみ
× 無害化されない
直接埋立て 中間処理なし 梱包したまま埋立て ○ 費用が安い
△ 長期管理が必要

溶融処理または無害化処理を行うことで、廃棄物を完全に無害化できるため、環境負荷が最小化されます。ただし、処理費用は高額になる傾向があります。

STEP4:最終処分

中間処理を経たもの、または直接埋立てが許可されたものを、最終処分場で埋立て処分します。

最終処分場の種類と受入基準

処分場の種類 受入可能な廃棄物 アスベスト廃棄物の取扱い
安定型処分場 安定5品目(廃プラ、金属くず等) 石綿含有産業廃棄物は埋立不可
管理型処分場 産業廃棄物全般 廃石綿等・石綿含有産業廃棄物の埋立可能(専用区画あり)
遮断型処分場 有害な産業廃棄物 特殊なケースでのみ使用

埋立て時の基準

  • 廃石綿等は他の廃棄物と区分して埋立て
  • 梱包した状態のまま埋立て(開封厳禁)
  • 埋立て後は速やかに覆土(50cm以上)
  • 埋立て場所を記録し、図面で管理
  • 処分場閉鎖後も長期的な管理が必要

マニフェスト制度による追跡管理

産業廃棄物管理票(マニフェスト)は、排出から最終処分まで廃棄物の流れを追跡し、不法投棄を防止するための制度です。アスベスト廃棄物の排出者は、必ずマニフェストを交付し、適切に管理しなければなりません。

マニフェストの種類

種類 特徴 メリット デメリット
紙マニフェスト 7枚複写の伝票を使用 システム導入不要、シンプル 保管・管理の手間、紛失リスク
電子マニフェスト 情報処理センター(JWNET)のシステムを利用 入力・管理が簡単、紛失リスクなし、報告義務が免除 加入費用・利用料が必要

💡 電子マニフェストのメリット

2020年4月より、前年度の特別管理産業廃棄物排出量が年間50トン以上の事業場では、電子マニフェストの使用が義務化されています。電子マニフェストを使用すると、都道府県知事への報告義務が免除され、管理が大幅に効率化されます。

マニフェストの流れ(紙マニフェストの場合)

  1. 排出者:マニフェスト(7枚複写)を交付。A票を保管
  2. 収集運搬業者:運搬終了後、B1票を保管、B2票を排出者に返送
  3. 処分業者:処分終了後、D票を保管、E票を排出者に返送
  4. 排出者:B2票・E票を受領し、適正処理を確認
  5. 期限内に返送がない場合:排出者は都道府県に報告義務

マニフェストの記載事項

  • 廃棄物の種類:「廃石綿等」または「石綿含有産業廃棄物」と明記
  • 数量:重量(kg)または容積(㎥)
  • 排出事業場の名称・所在地
  • 運搬業者・処分業者の名称・許可番号
  • 交付年月日・交付番号

マニフェストの保管期間

マニフェスト(A票、B2票、D票、E票)は、5年間保管することが義務付けられています。保管期間中は、いつでも行政の確認に対応できるよう、適切に管理してください。

⚠️ マニフェスト違反の罰則

  • マニフェスト不交付:1年以下の懲役または100万円以下の罰金
  • 虚偽記載:1年以下の懲役または100万円以下の罰金
  • 報告義務違反:6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金

アスベスト廃棄物処分の費用

処分費用は、廃棄物の種類、数量、処理方法、地域により大きく異なります。

廃棄物の種類 処理方法 費用目安(1㎥あたり) 備考
廃石綿等(飛散性) 溶融処理 + 処分 8〜15万円 完全無害化。最も高額
直接埋立て 5〜10万円 管理型処分場での埋立て
石綿含有産業廃棄物(非飛散性) 溶融処理 + 処分 5〜8万円 無害化処理
直接埋立て 3〜5万円 管理型処分場での埋立て

※上記は処分費用の目安であり、収集運搬費用は別途必要です。収集運搬費用は距離や車両により異なりますが、3〜10万円程度が一般的です。

排出事業者の責任

廃棄物処理法では、排出事業者責任の原則が定められています。アスベスト廃棄物を排出した事業者(発注者または元請業者)は、最終処分まで責任を負います。

排出事業者の主な義務

  • 適正な処理業者への委託(許可の確認)
  • 委託契約書の締結(処理内容、費用等を明記)
  • マニフェストの交付と管理
  • 最終処分の確認(E票の返送確認)
  • 処分場の実地確認(現地視察)
  • 都道府県への報告(年1回)

⚠️ 不法投棄があった場合

処理業者が不法投棄をした場合でも、排出事業者に原状回復の措置命令が出されることがあります(廃棄物処理法第19条の6)。委託先の選定は慎重に行い、定期的に処分状況を確認することが重要です。

適正処理のためのチェックリスト

  • ☑ アスベスト廃棄物の種類を正しく分類している
  • ☑ 適切な方法で梱包し、表示している
  • ☑ 必要な許可を持つ業者に委託している
  • ☑ 委託契約書を締結している
  • ☑ マニフェストを正しく交付している
  • ☑ マニフェストの返送を確認している
  • ☑ マニフェストを5年間保管している
  • ☑ 処分場を実地確認している(推奨)
  • ☑ 都道府県への年次報告を行っている

まとめ:適正処理で環境と健康を守る

アスベスト廃棄物の適正処理は、環境保全と公衆衛生を守るための重要な責務です。法令を遵守し、信頼できる処理業者に委託し、マニフェストによる追跡管理を徹底することで、安全で適正な処分が実現できます。不明点がある場合は、都道府県の産業廃棄物担当部署や専門業者に相談し、確実な処理を行いましょう。

よくある質問

Qアスベスト廃棄物の処分費用はどのくらいですか?
A

飛散性(レベル1・2)で5〜10万円/㎥、非飛散性(レベル3)で3〜5万円/㎥程度が目安です。

Q一般廃棄物として処分できますか?
A

いいえ、アスベスト廃棄物は産業廃棄物(または特別管理産業廃棄物)として処理する必要があります。

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この記事を書いた人

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現場の窓口 編集部

運営: 合同会社Radineer

解体工事・アスベスト調査・土壌汚染調査・産業廃棄物処理の一括見積もりサービスを運営。 全国2,500社以上の審査済み業者と提携し、累計15万件以上の見積もり実績があります。

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満足度

97.8%

参照・引用元

  • 厚生労働省-石綿障害予防規則
  • 環境省-大気汚染防止法(アスベスト規制)
  • 国土交通省-建築物石綿含有建材調査者制度

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