法律・手続き

アスベスト除去工事の届出・許可申請ガイド|工事計画届・特定粉じん排出等作業届

更新: 2025-01-1514分で読める2026年1月確認済み

アスベスト除去工事に必要な届出の全体像

アスベスト除去工事を行う際には、複数の法律に基づく届出・許可申請が必要です。労働安全衛生法、大気汚染防止法、建設リサイクル法など、それぞれ異なる目的と提出先、期限が設定されています。届出を怠ると罰則が科されるだけでなく、工事の中止を命じられる可能性もあるため、確実な手続きが求められます。

⚠️ 重要な注意点

届出が必要な工事を無届で開始すると、労働安全衛生法違反で6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金、大気汚染防止法違反で3ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。2022年4月以降は規制が強化され、違反事例への取締りも厳しくなっています。

1. 工事計画届(労働安全衛生法)

労働基準監督署に提出する届出で、労働者の安全確保が目的です。アスベスト除去工事の中でも、特に飛散リスクが高い作業について事前審査を受けます。

対象となる工事

対象作業 詳細 届出要否
レベル1(吹付け材)の除去 耐火建築物・準耐火建築物での吹付けアスベスト除去 必須
レベル1(吹付け材)の封じ込め・囲い込み 耐火建築物・準耐火建築物での対策工事 必須
レベル2(保温材等)の除去 一定規模以上の作業(作業面積50㎡以上など) 条件により必須
レベル3(成形板等)の除去 非飛散性アスベスト建材 不要

提出書類と手続き

  • 提出先:工事現場を管轄する労働基準監督署
  • 提出期限工事開始14日前まで
  • 審査期間:14日間(この間は工事着手不可)
  • 手数料:無料

必要書類一覧

  1. 工事計画届(様式第20号または第21号)
  2. 建物の配置図・平面図・立面図
  3. 作業場所の詳細図(隔離範囲、負圧除じん装置の位置等)
  4. 工程表(準備~撤去までの日程)
  5. アスベスト事前調査結果報告書(含有分析結果含む)
  6. 作業計画書(作業手順、安全対策の詳細)
  7. 産業廃棄物処理委託契約書の写し

💡 計画変更が必要なケース

工事中に当初の計画から変更が生じた場合(除去範囲の拡大、工法の変更等)は、変更届の提出が必要です。軽微な変更でも事前に労働基準監督署に相談することをおすすめします。

2. 特定粉じん排出等作業実施届出書(大気汚染防止法)

都道府県または政令指定都市に提出する届出で、周辺環境への飛散防止が目的です。2014年の法改正により、レベル2(保温材・断熱材等)も対象に追加されました。

対象となる作業

作業の種類 対象建材 作業内容
特定粉じん排出等作業 レベル1(吹付け材) 除去・封じ込め・囲い込み
特定粉じん排出等作業 レベル2(保温材・断熱材・耐火被覆材) 除去・封じ込め・囲い込み
石綿含有成形板等の除去 レベル3(成形板等) 届出不要(ただし作業基準の遵守は必要)

提出書類と手続き

  • 提出先:都道府県(または政令指定都市)の環境部局
  • 提出期限工事開始14日前まで
  • 手数料:無料
  • 作業完了後:作業完了報告書の提出が必要(完了後14日以内)

届出書の記載事項

  • 発注者・元請業者・作業実施者の情報
  • 建物の所在地・用途・構造
  • 特定建築材料の種類・使用箇所・面積
  • 作業の種類(除去・封じ込め・囲い込み)
  • 作業期間(開始日・終了予定日)
  • 作業方法(隔離、負圧、湿潤化等の措置)
  • 廃棄物処理の方法

⚠️ 2023年10月からの規制強化

2023年10月より、事前調査結果の報告対象が拡大されました。建築物の解体・改修工事(請負金額100万円以上または床面積80㎡以上)を行う場合、石綿事前調査結果報告システムへの電子報告が義務付けられています。届出とは別の手続きですが、忘れずに実施してください。

3. 建設リサイクル法届出

一定規模以上の解体・新築工事では、建設リサイクル法に基づく届出も必要です。アスベスト除去工事単独では該当しないことが多いですが、建物解体と合わせて行う場合は対象となります。

対象工事の規模

工事の種類 規模基準
建築物の解体 床面積の合計 80㎡以上
建築物の新築・増築 床面積の合計 500㎡以上
建築物の修繕・模様替え(リフォーム等) 請負代金の額 1億円以上
建築物以外の工作物(土木工事等) 請負代金の額 500万円以上

提出書類と手続き

  • 提出先:都道府県または市町村(自治体により異なる)
  • 提出期限工事開始7日前まで
  • 手数料:無料

4. その他の関連届出・報告

石綿作業主任者の選任報告

レベル1・2の除去作業を行う場合、石綿作業主任者の選任と労働基準監督署への報告が必要です。作業開始前までに「石綿作業主任者選任報告書」を提出します。

建設業許可(該当する場合)

請負金額が500万円以上の工事は、建設業法に基づく建設業許可(解体工事業または建築工事業)が必要です。許可を持たない業者が工事を請け負うと、建設業法違反となります。

特別管理産業廃棄物管理責任者の設置

飛散性アスベスト(廃石綿等)を排出する事業場では、特別管理産業廃棄物管理責任者の設置が義務付けられています。資格者の配置と管理体制の整備が求められます。

届出スケジュールの立て方

複数の届出期限があるため、計画的なスケジュール管理が重要です。

推奨タイムライン

工事開始前 実施事項 備考
30日前 事前調査の完了・分析結果の取得 分析に1〜2週間かかる場合あり
20〜25日前 届出書類の作成・内容確認 自治体との事前協議を推奨
14日前 工事計画届・特定粉じん排出等作業届の提出 必着(郵送の場合は余裕を持つ)
7日前 建設リサイクル法届出(該当する場合) 解体工事と合わせて実施する場合
着工日 工事開始・標識の掲示 現場に届出書の写しを備え付け

💡 電子申請の活用

一部の自治体では、電子申請システムを導入しています。郵送や持参の手間が省け、受付状況も確認できるため、利用可能な場合は積極的に活用しましょう。ただし、添付書類のファイル形式や容量制限に注意が必要です。

届出に関するよくある質問

Q1: 届出書の控えはもらえますか?

はい、提出時に受付印を押した控えがもらえます。郵送の場合は、返信用封筒(切手貼付)を同封すれば返送してもらえます。この控えは工事現場に備え付けが必要です。

Q2: 届出内容に誤りがあった場合はどうなりますか?

提出後に誤りが判明した場合、速やかに訂正届または補正書類を提出します。軽微な誤りであれば電話連絡で済む場合もありますが、重要事項の変更は再審査が必要になることもあります。

Q3: 複数の現場で同時に工事する場合、届出は1つでいいですか?

いいえ、現場ごとに個別の届出が必要です。同じ建物内でも階や区画が異なる場合は、複数の届出が必要になることがあるため、管轄官庁に確認してください。

届出を円滑に進めるためのチェックリスト

  • ☑ 事前調査が完了し、分析結果が出ている
  • ☑ アスベストのレベル(1・2・3)と使用箇所を把握している
  • ☑ 工事の種類(除去・封じ込め・囲い込み)を決定している
  • ☑ 必要な届出の種類を把握している(工事計画届・特定粉じん届等)
  • ☑ 提出先と提出期限を確認している
  • ☑ 必要書類がすべて揃っている(図面、分析結果、契約書等)
  • ☑ 石綿作業主任者を選任している
  • ☑ 廃棄物処理業者との契約が完了している
  • ☑ 工程表が作成されている
  • ☑ 近隣住民への事前説明を実施している

まとめ:確実な届出で安全な工事を

アスベスト除去工事の届出は、労働者と周辺環境を守るための重要な手続きです。複数の法律が関係し、提出先や期限も異なるため、計画的に準備を進めることが大切です。不明点がある場合は、早めに労働基準監督署や自治体の環境部局に相談し、確実な届出を行いましょう。

よくある質問

Qレベル3の除去工事でも届出は必要ですか?
A

2022年4月以降、レベル3も事前調査結果の報告は必要ですが、工事計画届・特定粉じん排出等作業届は原則不要です。

Q届出を怠った場合の罰則は?
A

労働安全衛生法違反で6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金、大気汚染防止法違反で3ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。

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この記事を書いた人

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現場の窓口 編集部

運営: 合同会社Radineer

解体工事・アスベスト調査・土壌汚染調査・産業廃棄物処理の一括見積もりサービスを運営。 全国2,500社以上の審査済み業者と提携し、累計15万件以上の見積もり実績があります。

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参照・引用元

  • 厚生労働省-石綿障害予防規則
  • 環境省-大気汚染防止法(アスベスト規制)
  • 国土交通省-建築物石綿含有建材調査者制度

※ 各省庁の公開情報および当サイト提携業者からの提供データに基づき作成しています

更新履歴

  • 20261最新情報を確認・更新
  • 2025-01-15記事作成