鉄骨造・RC造の解体費用は木造の2〜3倍
鉄骨造や鉄筋コンクリート造(RC造)の建物は、木造に比べて解体費用が高額になります。重機の種類、廃材の処分費、工期の長さなど、あらゆる点でコストがかかるためです。
本記事では、鉄骨造・RC造の解体費用の詳細、構造別の特徴、工法の違い、実際の解体事例まで徹底解説します。大型物件の解体を検討されている方は、ぜひ最後までお読みください。
構造別の特徴と解体難易度
建物の構造によって、解体の難易度や必要な工法は大きく異なります。まずは各構造の特徴を理解しましょう。
軽量鉄骨造(S造)の特徴
軽量鉄骨造は、厚さ6mm未満の鋼材を使用した構造で、主に2階建て以下の住宅や小規模店舗に採用されています。
- 解体難易度: 中程度(木造より高く、重量鉄骨より低い)
- 主な用途: プレハブ住宅、アパート、小規模店舗
- 特徴: ボルト接合が多く、部材の切断が比較的容易
- 工期: 30坪程度で2〜3週間
重量鉄骨造の特徴
厚さ6mm以上の鋼材を使用した構造で、中規模ビルや工場に多く採用されています。
- 解体難易度: 高い(大型重機と専門工具が必須)
- 主な用途: 事務所ビル、工場、大型倉庫
- 特徴: 溶接接合が多く、ガス切断や大型カッターが必要
- 工期: 200坪程度で4〜8週間
- メリット: 鉄くずの売却益で費用を相殺できることがある
鉄筋コンクリート造(RC造)の特徴
鉄筋とコンクリートを一体化させた構造で、マンションや中高層ビルに最も多く採用されています。
- 解体難易度: 非常に高い(最も時間と費用がかかる)
- 主な用途: マンション、中高層オフィスビル、病院
- 特徴: コンクリートの破砕に大型ブレーカーが必要
- 工期: 500坪程度で2〜3ヶ月
- 注意点: 粉塵・騒音・振動対策が必須
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の特徴
鉄骨の骨組みに鉄筋コンクリートを組み合わせた構造で、高層ビルや大規模建築物に採用されています。
- 解体難易度: 最高レベル(RC造と重量鉄骨の両方の手間)
- 主な用途: 高層オフィスビル、大規模商業施設
- 特徴: コンクリート破砕と鉄骨切断の両方が必要
- 工期: 500坪程度で3〜4ヶ月以上
- 費用: 全構造の中で最も高額
構造別の坪単価比較表(2025年相場)
建物の構造によって解体費用は大きく異なります。以下は2025年時点の坪単価相場です。
| 構造 | 坪単価(税別) | 200坪の場合の概算 | 工期目安 |
|---|---|---|---|
| 木造 | 3.5万円〜5.0万円 | 700万円〜1,000万円 | 2〜4週間 |
| 軽量鉄骨造 | 5.0万円〜7.0万円 | 1,000万円〜1,400万円 | 3〜5週間 |
| 重量鉄骨造 | 6.0万円〜8.0万円 | 1,200万円〜1,600万円 | 4〜8週間 |
| RC造 | 8.0万円〜12.0万円 | 1,600万円〜2,400万円 | 8〜12週間 |
| SRC造 | 10.0万円〜15.0万円 | 2,000万円〜3,000万円 | 12週間以上 |
📊 データソース: 上記の坪単価は、国土交通省「建設工事費デフレーター」および複数の解体業者への市場調査(2024年10月〜12月実施)に基づく概算値です。実際の費用は立地条件、建物の状態、工事の難易度により変動します。
なぜ鉄骨・RC造は高額なのか?
鉄骨造やRC造の解体費用が木造の2〜3倍になる理由を詳しく解説します。
1. 必要な重機の違い
木造は小型の重機で解体できますが、鉄骨やRCはコンクリートブレーカー、鉄筋カッター、大型クレーンなど専用の大型機械が必要です。
- 木造: 小型油圧ショベル(バックホー)、ミニブレーカー
- 鉄骨造: 中型油圧ショベル、ガス切断機、大型カッター
- RC造・SRC造: 大型油圧ショベル(圧砕機付き)、コンクリートブレーカー、ワイヤーソー
大型重機のレンタル費用は1日あたり5万円〜20万円と高額で、これが工期分だけかかるため、総費用が大きく膨らみます。
2. 工期の長さ
木造住宅は1〜2週間で解体できますが、RC造のビルは2〜3ヶ月かかることも珍しくありません。
コンクリートの破砕には時間がかかり、さらに鉄筋を1本1本切断する必要があるため、作業が長期化します。工期が長い分、以下の費用が増大します。
- 人件費(作業員の日当×工期)
- 重機レンタル費
- 仮設設備の維持費(足場、養生シートなど)
- 現場管理費
3. 廃棄物処理費の違い
コンクリートがらや鉄くずは、木材に比べて重量が大きく、運搬・処分にかかる費用も跳ね上がります。
| 廃材種類 | 処分単価 | 備考 |
|---|---|---|
| 木くず | 3,000円〜5,000円/トン | 比較的安価 |
| コンクリートがら | 4,000円〜8,000円/トン | 重量が大きく運搬費も高額 |
| 鉄くず | 逆有償(買取) | 30,000円〜50,000円/トンで買取される場合も |
| 混合廃棄物 | 8,000円〜15,000円/トン | 分別が不十分な場合 |
ただし、鉄骨造やSRC造の場合、鉄くずを有価物として売却できるため、解体費用から差し引くことができます。大規模な鉄骨造ビルでは、100万円以上の売却益が見込めることもあります。
4. 騒音・振動対策
RC造の解体では、コンクリートを破砕する際に大きな騒音と振動が発生します。そのため、以下のような対策が必要です。
- 防音シート・防音パネルの設置: 30万円〜100万円
- 低騒音型重機の使用: 通常重機より1.5倍〜2倍のレンタル費
- 作業時間の制限: 夜間・早朝作業ができず工期が延びる
- 振動計測: 近隣への影響を測定するための機器設置
- 散水設備: 粉塵飛散防止のための散水装置
都市部の密集地では、これらの対策費用だけで100万円以上かかることもあります。
解体工法の違い
鉄骨造・RC造の解体には、建物の構造や立地条件に応じて様々な工法が使われます。
圧砕工法(あっさいこうほう)
油圧ショベルのアタッチメントに圧砕機(クラッシャー)を取り付けてコンクリートを破砕する工法です。
- メリット: 騒音が比較的少ない、粉塵が少ない、効率が良い
- デメリット: 大型重機が必要、重機が入れない場所では使えない
- 適用: RC造ビル、コンクリート建造物全般
- 費用: 坪8万円〜12万円程度
カッター工法
ダイヤモンドカッターやワイヤーソーでコンクリートを切断する工法です。
- メリット: 精密な切断が可能、振動が少ない、騒音が少ない
- デメリット: 時間がかかる、コストが高い
- 適用: 部分解体、近隣への配慮が必要な現場
- 費用: 坪10万円〜15万円程度
ブレーカー工法
油圧ブレーカーでコンクリートを打撃破砕する従来型の工法です。
- メリット: 確実に破砕できる、汎用性が高い
- デメリット: 騒音が大きい、振動が大きい、粉塵が多い
- 適用: 郊外の大型物件、周囲に民家が少ない現場
- 費用: 坪7万円〜10万円程度
ワイヤーソー工法
ダイヤモンドビーズを装着したワイヤーでコンクリートを切断する高度な工法です。
- メリット: 超低騒音、無振動、精密な切断が可能
- デメリット: 非常に高コスト、特殊な技術が必要
- 適用: 高層ビル、病院や学校などの稼働中建物の隣接現場
- 費用: 坪15万円〜20万円以上
大型物件の解体事例
実際の解体事例から、費用と工期の目安を把握しましょう。
事例1: 3階建て鉄骨造事務所ビル(東京都品川区)
- 延床面積: 280坪
- 構造: 重量鉄骨造(一部RC基礎)
- 解体費用: 1,960万円(坪単価7.0万円)
- 工期: 6週間
- 工法: ガス切断+圧砕工法
- 特記事項: 鉄くずの売却益120万円を差し引き、実質1,840万円
事例2: 5階建てRC造マンション(大阪府大阪市)
- 延床面積: 520坪
- 構造: 鉄筋コンクリート造
- 解体費用: 5,720万円(坪単価11.0万円)
- 工期: 12週間
- 工法: 圧砕工法+カッター工法(騒音対策のため)
- 特記事項: アスベスト除去費用350万円が別途発生。近隣対策費(防音パネル設置)80万円
事例3: 平屋建て工場(重量鉄骨造・埼玉県川口市)
- 延床面積: 450坪
- 構造: 重量鉄骨造
- 解体費用: 2,925万円(坪単価6.5万円)
- 工期: 5週間
- 工法: ガス切断工法
- 特記事項: 郊外で騒音規制が緩く、低コスト工法を選択可能。鉄くず売却益280万円を差し引き、実質2,645万円
見積もり依頼時の注意点
鉄骨造・RC造の解体は高額なため、見積もり依頼時に以下の点に注意しましょう。
1. 図面の準備
可能な限り建物の設計図面(構造図、平面図)を用意しましょう。図面があると、以下のメリットがあります。
- 正確な見積もりが可能になる
- 隠れた構造(地下ピット、配管など)を事前に把握できる
- アスベスト使用箇所の予測ができる
- 追加費用のリスクが減る
図面がない場合でも、建物の写真(外観・内観)や建築確認申請書があると、より精度の高い見積もりが得られます。
2. 構造の確認方法
建物の構造を正確に把握することは、適正な見積もりを得るために重要です。
- 建築確認申請書を確認: 「構造」欄に記載があります(S造、RC造など)
- 登記事項証明書を取得: 法務局で取得でき、構造が記載されています
- 外観から判断: 柱や梁の太さ、窓の配置などから専門家が判断できます
- 現地調査を依頼: 解体業者に無料現地調査を依頼し、構造を確認してもらう
3. 専門業者の選び方
鉄骨造・RC造の解体には専門的な技術と経験が必要です。業者選びでは以下を確認しましょう。
- 解体工事業の登録・許可: 建設業許可(解体工事業)または解体工事業登録を持っているか
- RC造の施工実績: 同規模のRC造・鉄骨造の解体実績が豊富か
- 保有重機: 大型圧砕機、カッターなど必要な重機を保有しているか
- 近隣対策の経験: 都市部での施工経験、騒音・振動対策の実績
- 保険加入状況: 建設工事保険、賠償責任保険に加入しているか
4. 相見積もりは必須
RC造・鉄骨造の解体は金額が大きいため、必ず3社以上から見積もりを取りましょう。
- 同じ条件で見積もりを依頼する
- 内訳を詳しく確認する(本体工事費、廃棄物処分費、諸経費など)
- 追加費用が発生する条件を確認する
- 鉄くずの売却益がどう扱われるか確認する
- 最安値だけで選ばず、実績と信頼性も重視する
費用を抑えるポイント
- 鉄くずの売却益を確認: 鉄骨造・SRC造の場合、鉄くずを業者が買い取ることで費用が安くなる場合があります。見積もり時に「鉄くず売却益をどう扱うか」を必ず確認しましょう。
- 複数社から相見積もり: RC造の解体は業者によって得意・不得意があり、見積もり額に200万円以上の差が出ることもあります。必ず3社以上から見積もりを取りましょう。
- 補助金の活用: 旧耐震基準の建物(1981年5月以前の建築確認)や、特定の危険建築物の解体には、自治体の補助金制度が使えることがあります。解体前に市区町村の窓口に確認しましょう。
- 閑散期を狙う: 解体工事の繁忙期(3月、9月)を避け、閑散期(1月、8月など)に依頼すると、見積もり額が安くなる場合があります。
- 自分でできる作業は自分で: 建物内の残置物撤去、庭木の伐採などを自分で行うと、10万円〜50万円程度のコスト削減になります。
工期の目安
構造によって工期も大きく異なります。
- 木造住宅(30坪): 1〜2週間
- 軽量鉄骨(50坪): 2〜3週間
- 重量鉄骨(200坪): 4〜8週間
- RC造ビル(300坪): 8〜10週間
- RC造マンション(500坪): 10〜12週間
- SRC造高層ビル(1000坪以上): 3〜6ヶ月
工期は天候、近隣対策の内容、アスベスト除去の有無などにより変動します。余裕を持ったスケジュールを組みましょう。
まとめ
鉄骨造・RC造の解体は、木造と比べて2倍〜3倍の費用がかかりますが、構造に応じた適切な工法を選び、複数の業者から見積もりを取ることで、費用を抑えることが可能です。
特に大型物件の解体では、業者の経験と技術力が仕上がりと費用に大きく影響します。実績豊富な専門業者を選び、事前に十分な打ち合わせを行いましょう。
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よくある質問
QRC造の解体で追加費用が発生するケースは?
地中埋設物(旧基礎、地下タンクなど)が見つかった場合、アスベストが発見された場合、近隣対策(防音シートなど)が必要になった場合などで追加費用が発生します。契約前に追加費用の条件を確認しておきましょう。
Q鉄骨造とRC造、どちらが解体費用が高いですか?
RC造の方が高額です。コンクリートの量が多く、重機での破砕作業に時間がかかるためです。鉄骨造は鉄くずの売却益で費用を相殺できる場合もあります。
Q高層ビルの解体はさらに高額になりますか?
はい。5階建て以上の高層ビルでは、重機が届かない部分を手作業で解体したり、足場を組む必要があるため、坪単価は15万円以上になることもあります。また、近隣への配慮(振動・騒音対策)も必須です。
Q鉄筋コンクリートのマンションを解体する際の注意点は?
区分所有マンションの場合、全区分所有者の同意が必要です。また、アスベストが使用されている可能性が高いため、事前調査が必須です。さらに、近隣住民への説明会なども必要になることが多いです。
Q鉄くずの売却益はどのくらいになりますか?
鉄くずの買取価格は市況により変動しますが、2024〜2025年では1トンあたり3〜5万円程度が目安です。大規模な鉄骨造ビルでは、数十万円〜100万円以上の売却益になることもあります。