基礎知識

産業廃棄物の処理フローと法令遵守のポイント

更新: 2025-01-1222分で読める2026年1月確認済み

産業廃棄物の処理フローは?

排出→分別→収集運搬→中間処理(破砕・焼却等)→最終処分(埋立)の流れ。各段階でマニフェストによる追跡管理が必要です。

この記事の結論

産業廃棄物処理は、排出→分別→収集運搬→中間処理→最終処分の順で行います。各段階でマニフェストによる追跡管理が必要。委託する場合は許可業者との書面契約が義務です。

この記事でわかること

  • 産業廃棄物は法定20種類
  • 処理フローは排出→分別→運搬→中間処理→最終処分
  • 委託には書面契約とマニフェストが必須
  • 処分場は安定型・管理型・遮断型の3種類
  • 委託先の実地確認は年1回以上推奨
  • 不適正処理は排出事業者も責任を問われる

産業廃棄物の処理フローと法令遵守のポイントとは

産業廃棄物処理とは、事業活動に伴って発生した廃棄物を法令に基づき適正に処理することです。廃棄物処理法で20種類が指定され、許可を持つ処理業者への委託または自社処理が義務付けられています。

産業廃棄物処理の全体フロー

産業廃棄物の処理は、排出から最終処分まで大きく分けて5つのステップで進みます。各段階で排出事業者と処理業者が適切に役割を果たし、法令を遵守することが不可欠です。

処理フローの概要図(テキスト表)

ステップ 主な実施者 主な作業内容 法的義務
1. 排出・分別 排出事業者 廃棄物を20種類に分別 分別義務、帳簿記録
2. 保管 排出事業者 事業場内で一時保管 看板設置、保管基準遵守
3. 収集運搬 収集運搬業者 処理施設まで運搬 許可取得、マニフェスト管理
4. 中間処理 中間処理業者 焼却、破砕、圧縮など 許可取得、処理基準遵守
5. 最終処分 最終処分業者 埋立処分 許可取得、維持管理基準遵守

ステップ1:排出・分別

産業廃棄物は法律で定められた20種類に正確に分別する必要があります。混合廃棄物は処理費用が高額になるだけでなく、処理業者の選定も困難になります。

産業廃棄物の20種類

分類 具体例 主な排出業種
燃え殻 石炭がら、焼却炉の残灰 製造業、電力業
汚泥 排水処理汚泥、建設汚泥 建設業、製造業
廃油 潤滑油、切削油、灯油 製造業、運輸業
廃酸 硫酸、塩酸、写真定着液 製造業、化学工業
廃アルカリ 苛性ソーダ、現像液 製造業、化学工業
廃プラスチック類 ビニール、発泡スチロール 製造業、建設業
がれき類 コンクリートがら、アスファルトがら 建設業、解体業
金属くず 鉄くず、アルミくず、銅線 製造業、建設業
ガラス・陶磁器くず ガラスくず、タイル、レンガ 建設業、製造業
木くず 建築廃材、伐採材、おがくず 建設業、製造業

※その他10種類:紙くず、繊維くず、動植物性残さ、ゴムくず、鉱さい、ばいじん、動物のふん尿、動物の死体、汚泥のコンクリート固形化物、これらの処理物

特別管理産業廃棄物の取り扱い

爆発性、毒性、感染性など、人の健康や生活環境に被害を及ぼすおそれのある廃棄物は、特別管理産業廃棄物として厳格な管理が必要です。

  • 廃油:引火点70℃未満の揮発油類
  • 廃酸・廃アルカリ:pH2.0以下またはpH12.5以上のもの
  • 感染性産業廃棄物:医療機関から排出される血液・体液付着物
  • 特定有害産業廃棄物:PCB含有物、水銀含有物、石綿含有物など

ステップ2:保管

排出事業者の敷地内で一時保管する際には、廃棄物処理法で定められた保管基準を遵守する必要があります。

保管基準の詳細

項目 基準内容 罰則
看板設置 廃棄物の種類、管理者名、連絡先を明記した看板を設置 30万円以下の罰金
囲いの設置 周囲に囲いを設け、保管場所を明確に区分 30万円以下の罰金
飛散・流出防止 屋根、シートなどで飛散・流出を防止 改善命令、3年以下の懲役または300万円以下の罰金
保管高さ 屋外保管の場合、囲いの高さを超えない 30万円以下の罰金
保管期間 長期保管は禁止(目安:3ヶ月以内) 改善命令

ステップ3:収集運搬

都道府県知事の許可を持つ収集運搬業者に委託し、マニフェストを交付して適正な運搬を確保します。

収集運搬の許可制度

収集運搬業者は、排出場所と処分場所の両方の都道府県で許可を取得している必要があります。例えば、東京都で排出した廃棄物を埼玉県の処分場に運ぶ場合、東京都と埼玉県の両方の許可が必要です。

運搬時の基準

  • 廃棄物が飛散・流出しないよう荷台にシート掛け
  • 廃棄物の種類ごとに区分して運搬
  • 車両に産業廃棄物収集運搬車である旨の表示
  • 許可証の写しとマニフェストを車両に備え付け

ステップ4:中間処理

中間処理は、廃棄物の減量化、無害化、資源化を目的として行われます。最終処分場の延命やリサイクル推進のため、多くの産業廃棄物が中間処理を経ます。

主な中間処理方法と特徴

処理方法 対象廃棄物 処理効果 処理費用相場(トン単価)
焼却 廃プラスチック、木くず、紙くず 体積を約1/20に減量、熱エネルギー回収 30,000円〜50,000円
破砕 がれき類、廃プラスチック、木くず 減容化、再資源化の前処理 5,000円〜15,000円
脱水 汚泥 含水率を下げて減量化 10,000円〜20,000円
中和 廃酸、廃アルカリ pHを中性に調整して無害化 15,000円〜30,000円
溶融 焼却灰、汚泥 高温で溶かして無害化・減容化 40,000円〜80,000円
圧縮・梱包 廃プラスチック、紙くず 体積を減らして運搬効率向上 3,000円〜10,000円

リサイクル(再資源化)

廃棄物を原材料として再利用することで、最終処分量を削減し、循環型社会の形成に貢献します。

  • がれき類:破砕して再生砕石として道路の路盤材に利用
  • 廃プラスチック:ペレット化してプラスチック製品の原料に
  • 金属くず:溶解して新しい金属製品に
  • 木くず:チップ化してバイオマス燃料や堆肥に

ステップ5:最終処分

中間処理後も残る廃棄物は、最終処分場で埋立処分されます。最終処分場は廃棄物の性状により3種類に分類されます。

最終処分場の種類と特徴

処分場タイプ 受入可能な廃棄物 構造 処分費用相場(トン単価)
安定型 安定5品目(廃プラ、ゴムくず、金属くず、ガラスくず、がれき類)のみ 遮水シートなし(雨水浸透可) 3,000円〜8,000円
管理型 汚泥、燃え殻、ばいじんなど有機物・有害物質を含む廃棄物 遮水シート、浸出水処理施設を完備 8,000円〜20,000円
遮断型 有害物質を高濃度に含む特別管理産業廃棄物 コンクリート構造物で完全遮断 50,000円〜150,000円

最終処分場の維持管理

最終処分場は埋立終了後も長期間の維持管理が必要です:

  • 浸出水の水質検査(月1回以上)
  • 周辺地下水の水質検査(年1回以上)
  • 埋立終了後も廃止までの間、継続的な監視(通常20〜30年)

法令遵守のチェックリスト

産業廃棄物の適正処理を確保するため、排出事業者が確認すべき事項:

  1. 処理業者が適切な許可を持っているか(許可証のコピーを入手)
  2. 許可の有効期限が切れていないか
  3. 許可品目が委託する廃棄物と一致しているか
  4. 委託契約書を締結しているか(法的義務)
  5. マニフェスト伝票を正しく交付・保管しているか
  6. 返送票が期限内に返ってきているか
  7. 処理費用が安すぎないか(不法投棄のリスク)
  8. 処理施設の実地確認を行っているか(年1回推奨)
  9. 最終処分先まで確認しているか

排出事業者の責任

廃棄物処理法では、排出事業者に最終処分まで責任を負う「排出事業者責任」の原則が定められています。

排出事業者が負う主な責任

  • 処理業者の選定責任:適切な許可を持つ業者を選ぶ義務
  • 処理状況の確認責任:マニフェストによる確認、実地確認
  • 措置命令のリスク:委託先が不法投棄した場合、排出事業者にも原状回復命令が出される可能性

措置命令に違反した場合、5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金(法人の場合は3億円以下)という重い罰則が科されます。

よくある質問

Q産業廃棄物と一般廃棄物の違いは?
A

産業廃棄物は事業活動に伴って発生した廃棄物のうち、法律で定められた20種類を指します。一般廃棄物は産業廃棄物以外のすべての廃棄物(家庭ごみ、事業系一般廃棄物など)です。同じ種類のゴミでも、家庭から出れば一般廃棄物、事業所から出れば産業廃棄物となる場合があります。

Q委託契約書は必須ですか?
A

はい、必須です。排出事業者は処理業者(収集運搬業者・処分業者)と書面による委託契約を締結することが廃棄物処理法で義務付けられています。契約書には処理方法、数量、料金、有効期間などを明記する必要があり、契約書の作成を怠ると措置命令の対象となる可能性があります。

Q産業廃棄物の20種類とは何ですか?
A

(1)燃え殻、(2)汚泥、(3)廃油、(4)廃酸、(5)廃アルカリ、(6)廃プラスチック類、(7)紙くず、(8)木くず、(9)繊維くず、(10)動植物性残さ、(11)動物系固形不要物、(12)ゴムくず、(13)金属くず、(14)ガラス・コンクリート・陶磁器くず、(15)鉱さい、(16)がれき類、(17)動物のふん尿、(18)動物の死体、(19)ばいじん、(20)上記の産業廃棄物を処分するために処理したもの、の20種類です。

Q特別管理産業廃棄物とは何ですか?
A

爆発性、毒性、感染性など、人の健康または生活環境に被害を生ずるおそれがある性状を有する産業廃棄物のことです。引火点70℃未満の廃油、pH2.0以下の廃酸、pH12.5以上の廃アルカリ、感染性産業廃棄物、PCB含有物、石綿含有産業廃棄物などが含まれます。特別管理産業廃棄物は通常の産業廃棄物よりも厳格な処理基準と管理が求められます。

Q処分場の3つのタイプの違いは?
A

【安定型】:安定5品目(廃プラスチック、ゴムくず、金属くず、ガラスくず、がれき類)のみを埋立。遮水シートなしで雨水が浸透する構造。【管理型】:汚泥、燃え殻など有機物や有害物質を含む廃棄物を遮水シートと浸出水処理施設で管理しながら埋立。【遮断型】:有害物質を高濃度に含む特別管理産業廃棄物をコンクリート構造物で完全に遮断して埋立。処分費用は安定型が最も安く、遮断型が最も高額です。

Q中間処理を経ずに直接最終処分することは可能ですか?
A

はい、可能です。ただし、中間処理を経ることで廃棄物の減量化ができ、最終処分費用を大幅に削減できます。また、最終処分場の残余容量が全国的に逼迫しているため、可能な限り中間処理を経てリサイクルや減量化を行うことが推奨されています。

Q自社で産業廃棄物を処理することはできますか?
A

はい、自社で処理することは可能です。ただし、処理施設の設置には都道府県知事の許可が必要で、処理基準を遵守する必要があります。小規模な施設でも届出が必要な場合があります。また、自社処理の場合でもマニフェストの交付は不要ですが、処理記録の作成・保管は必要です。

Q処理施設の実地確認はどのくらいの頻度で行うべきですか?
A

法律で明確な頻度は定められていませんが、少なくとも年1回、できれば半年に1回の頻度で処理施設を訪問し、適正処理が継続されているか確認することが推奨されます。初回委託時や、委託内容に大きな変更があった場合は必ず実地確認を行ってください。実地確認を怠り、委託先が不法投棄した場合、排出事業者に措置命令が出される可能性があります。

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この記事のまとめ

産業廃棄物処理は、排出→分別→収集運搬→中間処理→最終処分の順で行います。各段階でマニフェストによる追跡管理が必要。委託する場合は許可業者との書面契約が義務です。

この記事を書いた人

R

現場の窓口 編集部

運営: 合同会社Radineer

解体工事・アスベスト調査・土壌汚染調査・産業廃棄物処理の一括見積もりサービスを運営。 全国2,500社以上の審査済み業者と提携し、累計15万件以上の見積もり実績があります。

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参照・引用元

  • 環境省-廃棄物処理法、マニフェスト制度
  • 都道府県-産業廃棄物処理業許可制度
  • 国土交通省-建設リサイクル法

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  • 20261最新情報を確認・更新
  • 2025-01-12記事作成