産廃処分費が高騰している理由
最終処分場(埋立地)の逼迫、海外への廃プラスチック輸出規制(チャイナショック以降)、そして人件費や燃料費の高騰により、産廃処分費は年々上昇トレンドにあります。
2025年現在、産業廃棄物の処分費用は以下の要因により上昇を続けています。
価格上昇の主な要因
- 最終処分場の残余容量減少:全国の産業廃棄物最終処分場の残余容量は年々減少しており、新規の処分場建設も地域住民の反対などにより困難な状況です。残余年数は全国平均で約18年と推計されています。
- 廃プラスチック輸出規制:2018年以降の中国の廃プラスチック輸入禁止(チャイナショック)に続き、東南アジア諸国も規制を強化。国内処理需要が急増し、処理費用が高騰しました。
- 人件費の上昇:収集運搬や選別作業に従事する人材の確保が困難になり、人件費が上昇。これが処分費に転嫁されています。
- 燃料費・エネルギーコスト:原油価格の高騰により、運搬費用や焼却処理のエネルギーコストが増加しています。
- 環境規制の強化:排ガス規制や水質規制の強化により、処理施設の設備投資コストが増大しています。
主要品目の処分費目安(2025年版)
地域や処理業者によって幅がありますが、2025年現在の処分費用の目安は以下の通りです。東京都・大阪府・愛知県の大都市圏を基準としています。
| 廃棄物の種類 | 処理方法 | 単価(円/kg) | 単価(円/m³) | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 廃プラスチック類(リサイクル可) | リサイクル | 3〜10 | - | 単一素材で分別されている場合 |
| 廃プラスチック類(汚れあり) | 焼却処理 | 20〜40 | - | 食品残渣付着、複合素材など |
| 木くず(チップ化可能) | リサイクル | 8〜20 | - | 防腐剤未使用、釘等除去済み |
| 木くず(リサイクル不可) | 焼却処理 | 30〜50 | - | 防腐剤処理済み、混合材 |
| がれき類(コンクリート) | 破砕・再生 | - | 3,000〜6,000 | 再生砕石として利用 |
| がれき類(アスファルト) | 破砕・再生 | - | 2,500〜5,000 | 再生アスファルトとして利用 |
| 石膏ボード | 管理型埋立 | 15〜30 | - | 硫化水素発生のため管理型処分場必須 |
| 金属くず(鉄) | 有価物 | -5〜5 | - | 市況により買取または処分費 |
| 金属くず(非鉄) | 有価物 | -50〜-10 | - | 銅・アルミは高価買取 |
| ガラス・陶磁器くず | 埋立 | 10〜25 | - | 安定型または管理型処分場 |
| 汚泥(無機性) | 脱水・埋立 | 30〜60 | - | 含水率により変動大 |
| 汚泥(有機性) | 焼却処理 | 50〜80 | - | 特別管理産廃に該当する場合あり |
| 混合廃棄物 | 選別・処理 | 50〜100 | - | 選別コスト大。可能な限り分別を |
注意:上記は目安であり、実際の費用は廃棄物の性状、数量、運搬距離、地域などにより大きく変動します。必ず複数の処理業者から見積もりを取得してください。
地域差による価格の違い
産業廃棄物の処分費用は、地域によって大きな差があります。主な要因は以下の通りです。
| 地域区分 | 価格水準 | 主な理由 | 該当地域 |
|---|---|---|---|
| 大都市圏 | 高い(1.2〜1.5倍) | 処分場不足、人件費高、運搬距離増 | 東京、大阪、名古屋など |
| 地方都市 | 標準 | 処分場が比較的近い | 札幌、福岡、広島など |
| 山間部・離島 | 非常に高い(2〜3倍) | 運搬距離が長い、処分場が遠い | 山間部、沖縄、離島など |
運搬費の計算方法
産業廃棄物の処理費用は、「処分費」と「運搬費」を合計した金額になります。運搬費は以下の要素で計算されます。
運搬費の計算要素
- 距離:排出場所から処分場までの距離(片道または往復)
- 車両タイプ:2トン車、4トン車、10トン車など
- 作業内容:積込み作業の有無、待機時間など
- 頻度:定期回収(月1回、週1回など)か、スポット対応か
運搬費の目安(東京都の場合)
| 車両サイズ | 基本料金(片道20km以内) | 追加距離料金(10kmごと) |
|---|---|---|
| 2トン車 | 15,000〜25,000円 | 3,000〜5,000円 |
| 4トン車 | 25,000〜40,000円 | 5,000〜8,000円 |
| 10トン車 | 50,000〜80,000円 | 10,000〜15,000円 |
定期契約の場合、月額固定料金プランを提供する業者もあります。スポット対応より15〜30%程度安くなることが一般的です。
コストダウンの切り札は「徹底分別」
様々なゴミが混ざった「混合廃棄物」として出すと、選別コストがかかるため単価が跳ね上がります(50〜100円/kgなど)。現場で発生段階から分別することで、有価物として買い取ってもらえる可能性すら生まれます。
分別によるコスト削減効果
実際の事例を見てみましょう。建設現場で発生した廃棄物を「混合廃棄物」として処理した場合と、分別した場合の比較です。
| 廃棄物の種類 | 数量 | 混合廃棄物の場合 | 分別した場合 | 削減額 |
|---|---|---|---|---|
| 木くず | 1,000kg | 80,000円(80円/kg) | 15,000円(15円/kg) | -65,000円 |
| 廃プラスチック | 500kg | 40,000円(80円/kg) | 5,000円(10円/kg) | -35,000円 |
| 金属くず | 300kg | 24,000円(80円/kg) | -1,500円(-5円/kg、買取) | -25,500円 |
| がれき類 | 2m³ | 160,000円(80円/kg換算) | 8,000円(4,000円/m³) | -152,000円 |
| 合計 | - | 304,000円 | 26,500円 | -277,500円(91%削減) |
この事例では、分別によって約91%のコスト削減を実現しています。現場での分別作業には人件費がかかりますが、それを差し引いても大幅なコスト削減が可能です。
効果的な分別のコツ
- 発生時点で分別:作業後にまとめて分別するより、発生時に分けておく方が効率的
- 分別容器を用意:木くず、プラスチック、金属、がれき類など、種類ごとに収集容器を設置
- 作業員への教育:分別方法を明確にし、現場作業員に周知徹底する
- リサイクル可能なものを優先:金属くずやきれいな廃プラスチックは有価物になる可能性大
- 付着物の除去:プラスチック容器の食品残渣など、付着物を除去するだけでリサイクル可能になることも
価格推移と今後の見通し
過去5年間の主要品目の処分費用の推移を見ると、全体的に上昇傾向にあります。
廃プラスチック類の価格推移(焼却処理)
- 2020年:15〜30円/kg
- 2021年:18〜33円/kg
- 2022年:20〜35円/kg
- 2023年:22〜38円/kg
- 2024年:23〜40円/kg
- 2025年:20〜40円/kg(価格が安定化)
2025年は、処理施設の増設や技術革新により、一部で価格の安定化または下落が見られます。ただし、長期的には上昇傾向が続くと予想されています。
コスト削減の具体的な方法
処分費用を抑えるための実践的な方法をまとめます。
- 複数業者からの相見積もり:3社以上から見積もりを取得し、価格を比較する
- 年間契約の活用:スポット契約より年間契約の方が15〜30%安くなる
- 排出量の削減:リデュース(発生抑制)が最も効果的
- リサイクル率の向上:分別を徹底し、有価物として売却できるものを増やす
- 処理業者の選定見直し:優良認定業者や地域密着型業者は割安な場合も
- 排出頻度の最適化:少量多頻度より、ある程度まとめての排出が効率的
- 自社処理の検討:大量排出事業者は、破砕機などの設備導入でコスト削減可能
よくある質問
Q「産廃税」とは何ですか?
多くの自治体で、産業廃棄物の最終処分場への搬入量に応じて課税される法定外目的税です。処分費とは別に加算される場合があるため、地域の条例を確認する必要があります。税率は1トンあたり1,000円前後が一般的で、都道府県により異なります。2025年現在、27都道府県で産廃税が導入されています。
Q見積もりが相場より異常に安い業者は大丈夫?
不法投棄リスクがあります。処分費は原価が決まっているため、相場を大きく下回ることは通常あり得ません。最終処分先がどこになっているか必ず確認してください。相場の半額以下の見積もりは特に注意が必要です。許可証の確認、処分場の実地確認、マニフェストの確実な返送確認を徹底してください。
Q処分費用の値上げを通知されました。妥当な値上げ幅はどのくらいですか?
年率5〜10%程度の値上げは、燃料費や人件費の上昇を考慮すると妥当な範囲です。ただし、20%以上の大幅な値上げの場合は、他社との相見積もりを取って比較することをお勧めします。値上げの根拠(燃料費、人件費、処分場料金の上昇など)を業者に確認し、納得できる説明があるか確認してください。
Qマニフェスト料金は処分費に含まれますか?
紙マニフェストの場合、マニフェスト用紙代(1枚数十円〜100円程度)は排出事業者が負担します。処分費とは別です。電子マニフェストの場合、JWNET加入料(年間数万円)と利用料(1件数十円)が必要です。処分業者によっては、これらの費用を処分費に含めて請求する場合もあるため、見積もり時に確認してください。
Q少量排出事業者でも相見積もりは必要ですか?
はい、排出量に関わらず相見積もりは推奨されます。特に初めて取引する業者の場合、価格が適正かどうかを判断するために3社程度から見積もりを取ることが重要です。また、価格だけでなく、許可の有無、マニフェストの管理体制、処分場の信頼性なども比較検討してください。
Q運搬費と処分費は別々に請求されますか?
業者によって異なります。「運搬費+処分費」と明細を分けて請求する業者もあれば、一括で「処理費」として請求する業者もあります。見積もり時に内訳を明示してもらうことで、適正価格かどうかの判断がしやすくなります。特に運搬距離が長い場合、運搬費が処分費を上回ることもあるため、内訳の確認は重要です。