地下水調査とは
地下水調査は、地下水中の特定有害物質の濃度を測定し、地下水汚染の有無と広がりを把握する調査です。土壌汚染が地下水に溶出している場合、広範囲に汚染が拡散するリスクがあります。
地下水調査が必要なケース
- 土壌溶出量基準に不適合(汚染物質が地下水に溶け出す可能性)
- 土壌ガス調査で基準不適合
- 要措置区域または形質変更時要届出区域の指定時
- 浄化対策後のモニタリング
調査手順の詳細
1. 観測井戸の設置
設置手順
- ボーリング穿孔:地下水位より深い位置まで穿孔(通常5〜10m)
- ストレーナー管の設置:地下水位を跨ぐ位置に有孔管(ストレーナー)を設置
- フィルター材充填:ストレーナー周辺に砂利を充填(地下水流入促進)
- ベントナイト充填:地表から地下水面までベントナイト(粘土)で密閉
- 保護管設置:塩ビ管を地表に突出させ、キャップで密閉
観測井戸の構造
- 直径:50〜100mm(塩ビ管)
- 深度:地下水位より1〜2m深い位置まで
- ストレーナー長:1〜3m(地下水層の厚さに応じる)
2. 地下水位の測定
観測井戸設置後、24時間以上静置してから地下水位を測定します。
測定方法
- 水位計:電気式水位計を井戸に挿入し、地表からの深さを測定
- 地下水面の標高算定:地表標高 − 地下水深度
- 地下水流向の推定:複数の観測井戸の水位差から流向を推定
3. 地下水サンプリング
サンプリング手順
- 井戸内水の排出(パージング):井戸内に滞留した水を排出(井戸容量の3〜5倍量)
- 清浄な地下水の流入待機:30分〜1時間待機
- ベーラー(採水器)で採水:テフロン製またはステンレス製のベーラーを使用
- 容器への移し替え:分析項目に応じた専用容器に移し替え
- 保冷・輸送:クーラーボックスで4℃以下に保冷し、速やかに分析機関へ
サンプリング時の注意点
- 空気との接触を最小限にする(VOCの揮発防止)
- 容器は満水にする(VOCの揮発防止)
- 採水後48時間以内に分析開始
4. 水質分析
土壌汚染対策法で定める25項目の特定有害物質の濃度を測定します。
分析方法
- VOC:ガスクロマトグラフ質量分析法(GC/MS)
- 重金属:ICP質量分析法、原子吸光法
- 農薬類:ガスクロマトグラフ法
地下水基準と判定
地下水中の汚染物質濃度が以下の基準値を超過した場合、「地下水汚染あり」と判定されます。
| 物質名 | 地下水基準 |
|---|---|
| 鉛 | 0.01mg/L以下 |
| 六価クロム | 0.05mg/L以下 |
| ヒ素 | 0.01mg/L以下 |
| トリクロロエチレン | 0.01mg/L以下 |
| テトラクロロエチレン | 0.01mg/L以下 |
| ベンゼン | 0.01mg/L以下 |
地下水汚染が確認された場合
- 要措置区域に指定:浄化対策が義務化
- 汚染プルームの特定:地下水流向に沿って追加調査
- 浄化対策の実施:揚水浄化、原位置浄化など
- モニタリング:浄化完了まで定期的に水質測定
調査費用・期間
- 観測井戸設置:1本あたり20〜30万円
- 地下水サンプリング+分析(25項目):1地点あたり10〜15万円
- 期間:井戸設置1週間、分析1〜2週間
費用例(3地点の場合)
- 観測井戸設置:3本 × 25万円 = 75万円
- 地下水分析:3地点 × 12.5万円 = 37.5万円
- 合計:112.5万円
地下水流向・流速調査
汚染物質の移動方向を把握するため、地下水の流向・流速を測定します。
測定方法
- 複数井戸の水位差から算定:3地点以上の井戸で水位を測定し流向を推定
- トレーサー試験:井戸に無害な染料を注入し、流速を測定
- 流速計:専用機器で直接測定
よくある質問
Q地下水調査は必ず実施する必要がありますか?
土壌溶出量基準に不適合の場合は必須です。土壌含有量基準のみ不適合の場合は、地下水調査は不要です(汚染物質が地下水に溶け出さないため)。
Q観測井戸は調査後に撤去する必要がありますか?
いいえ。浄化対策後のモニタリングに使用するため、通常は撤去せず残します。ただし、土地利用の支障になる場合は撤去することもあります。
Q地下水汚染が敷地外に広がっている場合、誰が浄化費用を負担しますか?
原則として、汚染原因者(土地の過去所有者や事業者)が負担します。ただし、原因者が特定できない場合や倒産している場合は、現所有者の負担になることもあります。
Q地下水汚染の浄化期間はどのくらいかかりますか?
汚染範囲や濃度により大きく異なりますが、通常2〜10年程度です。広範囲の汚染では20年以上かかることもあります。