重金属土壌汚染とは
重金属土壌汚染は、鉛・カドミウム・六価クロムなどの重金属が土壌に蓄積し、人体や生態系に悪影響を及ぼす汚染です。特に鉛とカドミウムは、工場跡地や農地で高頻度で検出されます。
鉛汚染のリスクと発生源
健康被害
- 神経系への影響(特に子供の発達障害)
- 貧血、腎臓障害
- 妊婦の場合、胎児への影響
主な発生源
- 活版印刷工場:鉛の活字を使用
- 蓄電池工場:鉛バッテリーの製造
- 塗料工場:鉛を含む塗料の製造(1970年代以前)
- 射撃場:鉛弾の使用
- 自動車整備工場:鉛バッテリーの廃棄
カドミウム汚染のリスクと発生源
健康被害
- イタイイタイ病(骨軟化症):富山県神通川流域で発生
- 腎臓障害(腎機能低下)
- 発がん性(肺がん)
主な発生源
- 亜鉛製錬所:亜鉛鉱石にカドミウムが含まれる
- メッキ工場:カドミウムメッキ
- 電池工場:ニッカド電池の製造
- 顔料工場:カドミウムイエローなどの顔料
土壌汚染対策法の基準値
| 物質 | 土壌溶出量基準 | 土壌含有量基準 |
|---|---|---|
| 鉛 | 0.01mg/L以下 | 150mg/kg以下 |
| カドミウム | 0.003mg/L以下 | 45mg/kg以下 |
調査方法
フェーズ2調査
- 土壌サンプリング:10m × 10mメッシュ単位で採取
- 溶出試験:土壌を水で溶出し、溶出量を測定
- 含有量試験:土壌を酸で溶解し、総量を測定
- 分析方法:ICP質量分析法、原子吸光法
分析費用
- 鉛・カドミウム分析:1試料あたり1〜2万円
- 10地点の場合:10〜20万円
浄化対策の種類と費用
1. 掘削除去
汚染土壌を掘削し、産業廃棄物処理施設で処分します。
- 適用:高濃度汚染、狭い範囲の汚染
- 費用:500〜2,000万円/100m³
- 期間:2〜6ヶ月
- メリット:確実な除去、短期間で完了
- デメリット:高額、土地の掘削跡が残る
2. 不溶化処理
薬剤を土壌に混合し、重金属を化学的に固定化します。
- 適用:広範囲の汚染、掘削困難な場所
- 費用:200〜800万円/100m³
- 期間:1〜3ヶ月
- メリット:低コスト、土地利用可能
- デメリット:汚染物質は残存、長期モニタリング必要
不溶化剤の種類
- リン酸系薬剤(鉛に有効)
- 硫化物系薬剤(カドミウムに有効)
- セメント系固化材
3. 封じ込め
汚染土壌を遮水シートや舗装で覆い、拡散を防止します。
- 適用:低濃度汚染、暫定対策
- 費用:100〜500万円/100m²
- 期間:1〜2ヶ月
- メリット:低コスト、迅速
- デメリット:土地利用に制限、半永久的な管理必要
自然由来の重金属汚染
工場操業履歴がなくても、自然由来で鉛・カドミウムが基準値を超えるケースがあります。
自然由来の判定基準
- 周辺の地層でも同様の濃度が検出される
- 地層が自然状態で乱されていない
- 汚染の垂直分布が自然状態と一致
自然由来の場合の対応
- 都道府県への報告は必要
- 浄化義務は免除される場合あり
- 「自然由来特例区域」に指定される
農地の重金属汚染
農地でのカドミウム汚染は、米の食品基準(0.4mg/kg以下)を超えるリスクがあります。
対策
- 湛水管理:水田を常に湛水状態に保ち、カドミウムの吸収抑制
- 客土:清浄な土壌を表層に被覆
- 低吸収品種の栽培:カドミウムを吸収しにくい米品種
重金属汚染の事例
事例1: 蓄電池工場跡地(鉛汚染)
- 汚染範囲:1,200m²、深度2m
- 最高濃度:鉛5,000mg/kg(基準値の33倍)
- 対策:掘削除去 2,400m³
- 費用:8,000万円
事例2: メッキ工場跡地(カドミウム汚染)
- 汚染範囲:3,000m²、深度1.5m
- 最高濃度:カドミウム200mg/kg(基準値の4.4倍)
- 対策:不溶化処理 4,500m³
- 費用:3,500万円
よくある質問
Q鉛とカドミウム、どちらが危険ですか?
どちらも深刻な健康被害をもたらします。鉛は神経系への影響が大きく、特に子供の発達障害のリスクがあります。カドミウムは腎臓障害やイタイイタイ病を引き起こします。
Q重金属汚染は自然に分解されますか?
いいえ。重金属は自然分解されず、土壌中に半永久的に残留します。浄化対策を実施しない限り、汚染は継続します。
Q自然由来の重金属汚染でも浄化が必要ですか?
自然由来と認定された場合、浄化義務が免除されることがあります。ただし、都道府県への報告は必要で、土地利用に一定の制限がかかる場合があります。
Q重金属汚染土壌の処分先はどこですか?
管理型産業廃棄物最終処分場で処分されます。高濃度汚染の場合は、遮断型処分場での処分が必要です。処分費用は1トンあたり2〜5万円程度です。