対策・浄化

原位置浄化とは|土壌を掘り出さずに浄化する技術

更新: 2025-01-1513分で読める2026年1月確認済み

原位置浄化(In-Situ Remediation)とは

原位置浄化とは、汚染された土壌や地下水を掘削・搬出せず、その場(原位置:In-Situ)で浄化する技術の総称です。土壌を掘り出す必要がないため、施設の操業を継続しながら対策できるというメリットがあります。

掘削除去に比べて、環境負荷の低減、コスト削減(条件による)、大深度汚染への対応などが可能です。ただし、浄化に数年かかる場合があり、対象物質や土質により適用可否が決まります。

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原位置浄化の主な技術

1. バイオレメディエーション(Bioremediation)

微生物の分解能力を活用して、有機汚染物質を分解・無害化する技術です。

バイオスティミュレーション(Biostimulation)

土着微生物を活性化させる方法です。

  • 手法:栄養剤(窒素、リン)、酸素供給剤を注入
  • 対象物質:石油系炭化水素(TPH)、ベンゼン、トリクロロエチレン
  • 期間:6か月~3年
  • 費用相場:1,000万円~5,000万円(1,000㎥の場合)

バイオオーグメンテーション(Bioaugmentation)

特定の分解能力を持つ微生物を外部から導入する方法です。

  • 手法:汚染物質を分解する特殊微生物を培養・注入
  • 対象物質:難分解性有機物、高濃度汚染
  • 期間:1年~3年
  • 費用相場:1,500万円~7,000万円(1,000㎥の場合)

成功事例:ガソリンスタンド跡地のベンゼン汚染

  • 汚染物質:ベンゼン(地下水濃度:基準の50倍)
  • 浄化手法:バイオスティミュレーション
  • 実施内容:酸素供給剤と栄養剤を注入、月1回のモニタリング
  • 期間:1.5年
  • 結果:基準値以下に低減
  • 費用:約800万円

2. 化学酸化法(Chemical Oxidation)

酸化剤を注入し、汚染物質を化学的に酸化分解する技術です。

使用される酸化剤

酸化剤特徴適用対象
過マンガン酸カリウム持続性が高いトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン
過酸化水素+鉄触媒(フェントン法)強力な酸化力石油系炭化水素、ベンゼン
過硫酸塩広範囲に適用可能有機塩素系化合物、石油系汚染
オゾン残留性なし揮発性有機化合物

化学酸化法の特徴

  • 浄化速度:バイオより速い(数か月~1年)
  • 対象物質:有機塩素系化合物、石油系汚染
  • 費用相場:2,000万円~8,000万円(1,000㎥の場合)
  • 注意点:土壌の有機物や鉄分が多いと酸化剤が消費される

3. 土壌ガス吸引法(SVE: Soil Vapor Extraction)

揮発性有機化合物(VOC)を真空ポンプで吸引・回収する技術です。

システム構成

  • 吸引井戸:地中に設置し、土壌ガスを吸引
  • 真空ポンプ:負圧を発生させて吸引
  • ガス処理装置:活性炭吸着または燃焼処理

適用条件

  • 対象物質:ベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン
  • 土質:透気性が高い土壌(砂質土)
  • 不適な土質:粘土質、飽和帯(地下水位以下)

費用と期間

  • 初期設置費用:500万円~2,000万円
  • 運転費用:月10万円~30万円
  • 期間:6か月~2年
  • 総費用:1,000万円~5,000万円

4. 地下水揚水処理(Pump and Treat)

汚染地下水を揚水し、地上で処理する技術です。

処理方法

  • 活性炭吸着:有機物を活性炭に吸着除去
  • エアストリッピング:揮発性物質を空気に曝露して除去
  • 膜処理:重金属や高濃度汚染に適用

費用と期間

項目費用相場
設備設置費用500万円~3,000万円
運転費用(電気代、メンテナンス)月20万円~50万円
活性炭交換費用年100万円~300万円
実施期間2年~10年

5. 原位置不溶化(In-Situ Solidification/Stabilization)

重金属汚染に対し、薬剤を注入して不溶化し、溶出を防止する技術です。

使用される薬剤

  • セメント系固化材:土壌をセメントで固める
  • リン酸カルシウム:鉛を不溶性の化合物に変換
  • 硫化剤:重金属を硫化物として固定

適用例

  • 対象物質:鉛、カドミウム、砒素、水銀
  • 期間:3か月~6か月
  • 費用相場:1,500万円~6,000万円(1,000㎥の場合)
  • 注意点:恒久的な浄化ではなく、長期的なモニタリングが必要

6. 透過性反応壁(PRB: Permeable Reactive Barrier)

地下水の流れを利用し、反応材料を充填した壁を通過させて浄化します。

反応材料

  • ゼロ価鉄:有機塩素系化合物を還元分解
  • 活性炭:有機物の吸着
  • 炭酸カルシウム:pHの調整、重金属の沈殿

費用

  • 設置費用:3,000万円~1億円
  • 維持費用:年50万円~200万円(モニタリング費用)
  • 有効期間:10年~30年

原位置浄化のメリット

1. 施設の操業を継続できる

工場やビルを稼働させながら対策が可能です。掘削除去では操業停止が必要ですが、原位置浄化では地下で浄化が進むため、地上の活動に影響しません。

2. 大深度汚染に対応できる

  • 掘削が困難な深度(10m以上)の汚染にも適用可能
  • 地下水汚染の浄化に有効

3. 環境負荷が小さい

  • 汚染土壌の運搬によるCO2排出がない
  • 掘削による騒音・振動が少ない
  • 周辺への影響を最小化

4. コスト削減(条件による)

  • 汚染範囲が広く深い場合、掘削除去より安価
  • 処理施設への搬出費用が不要

原位置浄化のデメリットと注意点

1. 浄化期間が長い

数か月~数年かかることが一般的です。掘削除去なら数週間~数か月で完了しますが、原位置浄化は時間がかかります。

2. 浄化の確実性が低い

  • 土壌の不均質性により、薬剤や微生物が届かない部分が残る可能性
  • 浄化完了の判定が難しい

3. 適用できる条件が限られる

汚染物質適用可能性
石油系炭化水素◎(バイオレメディエーション)
ベンゼン、トリクロロエチレン◎(バイオ、化学酸化、SVE)
重金属(鉛、六価クロム)△(不溶化、効果は限定的)
ダイオキシン類×(困難)

4. 維持管理が必要

  • 定期的なモニタリングが必須
  • 機器の保守・点検が必要
  • 長期的なコストが発生

原位置浄化と掘削除去の比較

比較項目原位置浄化掘削除去
浄化期間長い(数か月~数年)短い(数週間~数か月)
浄化の確実性中~低
施設の操業継続可能停止が必要
大深度汚染対応可能困難
費用(狭い範囲)高い場合も比較的安価
費用(広い範囲)安価な場合も高額
環境負荷小さい大きい(運搬によるCO2)

原位置浄化の選定基準

原位置浄化が適している場合

  • 汚染範囲が広く、深い(掘削除去が高額になる)
  • 施設の操業を継続する必要がある
  • 地下水汚染が主体
  • 対象物質が有機物(バイオ・化学酸化が適用可能)
  • 浄化に時間をかけられる

掘削除去が適している場合

  • 汚染範囲が狭く、浅い
  • 短期間で確実に浄化したい
  • 重金属汚染(特に高濃度)
  • 建物解体・再開発が予定されている

最適な浄化工法をご提案します

当社は原位置浄化と掘削除去の両方に対応しており、コストと期間のバランスを考慮した最適プランを提案します。

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まとめ

原位置浄化は、掘削せずに汚染を浄化できる有効な技術です。特に、広範囲・大深度の汚染、施設の操業継続が必要な場合に適しています。

原位置浄化を成功させるポイント

  • 汚染物質と土質に応じた適切な工法の選定
  • 詳細な汚染範囲の把握
  • 継続的なモニタリング体制の構築
  • 長期的な視点での計画策定

専門家のサポートを受けながら、最適な浄化技術を選択しましょう。

関連ガイド

よくある質問

Q原位置浄化はどんな汚染にも使えますか?
A

いいえ。汚染物質の種類、土質、汚染濃度により適用可否が決まります。重金属汚染には適用が難しく、有機塩素系化合物や石油系汚染に有効です。

Q原位置浄化と掘削除去、どちらが安いですか?
A

汚染範囲が広く深い場合は原位置浄化が安くなる傾向があります。逆に、狭い範囲・浅い深度なら掘削除去が効率的な場合もあります。

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この記事を書いた人

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現場の窓口 編集部

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参照・引用元

  • 環境省-土壌汚染対策法
  • 都道府県-土壌汚染調査報告制度
  • 国土交通省-宅地建物取引業法(重要事項説明)

※ 各省庁の公開情報および当サイト提携業者からの提供データに基づき作成しています

更新履歴

  • 20261最新情報を確認・更新
  • 2025-01-15記事作成