フェーズ1調査(地歴調査)とは
フェーズ1調査は、土地の過去の利用履歴を調査し、土壌汚染のおそれを判定する書面調査です。現地でのサンプリングは行わず、文献やヒアリングで汚染リスクを評価します。
調査の目的
- 土地の過去50年以上の利用履歴の把握
- 有害物質の使用・保管状況の確認
- フェーズ2調査の必要性判定
- 調査範囲・項目の絞り込み
調査手順の詳細
1. 登記簿謄本の取得・分析
- 土地の所有権移転履歴(過去の所有者・企業名)
- 地目の変遷(宅地、工場用地、農地など)
- 抵当権設定状況(金融機関との取引歴)
2. 空中写真の時系列分析
1945年以降の米軍撮影写真から最新の衛星写真まで、10年ごとの土地利用状況を確認します。
- 建物の配置変化
- 工場・倉庫の有無
- 屋外タンク・煙突の存在
- 周辺の土地利用状況
3. 住宅地図の確認
- 過去の建物名称・事業所名
- 周辺の工場・クリーニング店の位置
- ガソリンスタンド・修理工場の有無
4. ヒアリング調査
以下の関係者から情報を収集:
- 現所有者・管理者:施設の利用状況、薬品の使用・保管状況
- 近隣住民:過去の工場操業状況、異臭・変色の記憶
- 自治体:公害苦情履歴、廃棄物処理状況
5. 現地踏査
サンプリングは行いませんが、以下を目視確認:
- 地表の変色・異臭
- 廃棄物の投棄跡
- 地下タンクの痕跡
- 排水溝・配管の錆び
汚染リスクの判定基準
以下の条件に該当する場合、「土壌汚染のおそれあり」と判定し、フェーズ2調査が必要です。
| 判定項目 | 汚染リスク |
|---|---|
| 有害物質使用特定施設の存在 | 高リスク |
| 工場・クリーニング店の操業履歴 | 中〜高リスク |
| 農地での農薬使用履歴 | 中リスク |
| 埋立地・盛土の履歴 | 中リスク |
| 宅地のみの利用履歴 | 低リスク |
調査費用・期間
- 費用:30〜50万円(調査範囲により変動)
- 期間:2〜4週間
- 報告書:A4版30〜50ページ程度
報告書に記載される内容
- 調査対象地の概要(所在地、面積、現況)
- 調査方法と資料リスト
- 土地利用履歴の時系列表
- 空中写真の比較図
- ヒアリング結果の要約
- 汚染リスク評価と次段階(フェーズ2)の推奨調査範囲
よくある質問
Qフェーズ1調査だけで土壌汚染の有無は分かりますか?
いいえ。フェーズ1は書面調査のため、汚染の有無を確定することはできません。汚染リスクを評価し、フェーズ2(土壌サンプリング)の必要性を判定するための調査です。
Q50年以上前の土地利用履歴も調べる必要がありますか?
はい。土壌汚染は長期間残留するため、戦前の工場操業履歴も重要です。特に1945年の米軍撮影写真は、戦前の土地利用を知る貴重な資料です。
Qフェーズ1調査の結果「汚染リスクなし」と判定されたら安心ですか?
完全ではありません。書面調査では把握できない地下での汚染や、記録に残っていない土地利用もあり得ます。不動産取引では、念のためフェーズ2調査を実施することを推奨します。
Qフェーズ1調査を省略してフェーズ2に進むことは可能ですか?
可能ですが推奨されません。フェーズ1で汚染リスクを評価することで、フェーズ2の調査範囲・項目を効率的に絞り込むことができ、総費用を抑えられます。