土壌ガス調査とは
土壌ガス調査は、土壌中の気体(土壌ガス)を採取し、揮発性有機化合物(VOC)の濃度を測定する調査です。土壌汚染対策法の第一種特定有害物質(11項目)の調査に使用されます。
対象物質(第一種特定有害物質)
- トリクロロエチレン(TCE)、テトラクロロエチレン(PCE)
- ベンゼン、ジクロロメタン
- クロロエチレン、四塩化炭素
- 1,2-ジクロロエタン、1,1-ジクロロエチレン
- 1,2-ジクロロエチレン、1,3-ジクロロプロペン
- 1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン
調査方法の詳細
1. 調査地点の設定
フェーズ2調査と同様、10m × 10mメッシュ単位で調査地点を設定します。
2. 土壌ガスサンプリング
サンプリング手順
- 穿孔:ハンドオーガーで深度0.8〜1.0mまで穿孔
- 採取管の設置:ステンレス製またはテフロン製の採取管を挿入
- 孔内の清浄化:シリンジで孔内の空気を数回吸引・排出
- ガス採取:専用バッグ(テドラーバッグ)に土壌ガスを採取
- 密封・保管:バルブを閉じ、速やかに分析機関へ輸送
サンプリング時の注意点
- 雨天時は避ける(土壌が湿潤だとガス採取困難)
- 採取管周辺を粘土で密閉(外気の混入防止)
- 採取後24時間以内に分析開始
3. 分析方法
ガスクロマトグラフ質量分析法(GC/MS)
最も高精度な分析方法で、ppbレベル(10億分の1)の微量汚染も検出可能です。
分析手順
- テドラーバッグから土壌ガスをGC/MSに注入
- ガスクロマトグラフで物質を分離
- 質量分析計で物質を同定・定量
- 濃度を算定(vol ppm単位)
基準値と判定
土壌ガス中のVOC濃度が以下の基準値を超過した場合、「基準不適合」と判定されます。
| 物質名 | 土壌ガス基準 |
|---|---|
| トリクロロエチレン | 0.2 vol ppm以下 |
| テトラクロロエチレン | 0.2 vol ppm以下 |
| ベンゼン | 0.05 vol ppm以下 |
| ジクロロメタン | 0.2 vol ppm以下 |
基準不適合だった場合の対応
- 土壌溶出量調査:当該地点の土壌をサンプリングし溶出量を測定
- 地下水調査:地下水汚染の有無を確認
- 詳細調査(フェーズ3):汚染範囲を確定
土壌ガス調査のメリット・デメリット
メリット
- 高感度:微量汚染も検出可能
- 非破壊:舗装面でも調査可能(穿孔のみ)
- 迅速:サンプリングは1地点10分程度
デメリット
- 地下水位が高い場合、調査困難
- 雨天時は調査不可
- 粘土質土壌では透気性が低くガス採取困難
調査費用・期間
- 費用:1地点あたり3〜5万円(サンプリング+分析)
- 期間:サンプリング1日、分析1〜2週間
- 10地点の場合:30〜50万円
調査できないケース
以下の場合、土壌ガス調査が実施できません。
- 地下水位が地表面から1m以内(土壌ガス層がない)
- 舗装が厚すぎる(穿孔困難)
- 地下埋設物が多数存在(穿孔位置の制約)
この場合、土壌溶出量調査に切り替えます。
よくある質問
Qなぜ土壌ガスで調査するのですか?土壌を直接調べる方が確実では?
VOCは揮発性が高く、土壌ガスとして土壌間隙に存在します。土壌ガス調査の方が高感度で、広範囲のスクリーニングに適しています。ただし、基準不適合の場合は土壌溶出量調査も実施します。
Q土壌ガス調査で「検出せず」でも土壌汚染の可能性はありますか?
はい。地下水位が高い場合や粘土質土壌の場合、ガスが採取できず、汚染を見落とす可能性があります。このため、土壌溶出量調査との併用が推奨されます。
Qテドラーバッグとは何ですか?
テドラーバッグは、土壌ガスを採取・保管するための特殊な袋です。テフロン製で、VOCが袋に吸着・透過しにくい特性があり、正確な濃度測定が可能です。
Q土壌ガス調査は自分でできますか?
いいえ。法定調査では、環境大臣が指定した「指定調査機関」のみが実施できます。専用機器と技術が必要で、誤った手順では正確な結果が得られません。