スクリーニング調査とは
スクリーニング調査は、正式な法定調査の前に実施する簡易的な調査で、低コストで迅速に土壌汚染のリスクを評価します。不動産取引の初期段階でのリスク把握に有効です。
スクリーニング調査の目的
- 法定調査の必要性を事前に判断
- 汚染リスクの概算評価(Hot Spotの特定)
- 不動産取引の意思決定に必要な情報を迅速に取得
- 法定調査の調査範囲・項目の絞り込み
法定調査との違い
| 項目 | スクリーニング調査 | 法定調査 |
|---|---|---|
| 法的効力 | なし | あり |
| 費用 | 10〜50万円 | 150〜400万円 |
| 期間 | 1〜2週間 | 1〜2ヶ月 |
| 精度 | 概算 | 高精度 |
| 実施機関 | 任意の業者 | 指定調査機関のみ |
スクリーニング調査の手法
1. XRF分析(蛍光X線分析)
携帯型XRF分析装置を使用し、現地で即座に重金属濃度を測定します。
特徴
- 対象物質:鉛、六価クロム、ヒ素、カドミウムなどの重金属
- 測定時間:1地点あたり2〜3分
- 精度:±10〜20%(参考値)
- メリット:非破壊、迅速、その場で結果判明
- デメリット:法的効力なし、VOCは測定不可
測定手順
- 土壌表層を平滑にする
- XRF装置を土壌に密着させる
- X線照射(30秒〜2分)
- 装置画面で濃度を確認
2. 簡易分析キット
現地で化学反応を利用し、汚染物質の有無を確認します。
種類
- 重金属検出キット:土壌を溶液に浸し、色の変化で判定
- 油分検出キット:TPH(全石油系炭化水素)の有無を確認
- pH測定キット:土壌の酸性・アルカリ性を測定
3. 簡易ボーリング調査
ハンドオーガーで深度1〜2mまで穿孔し、土壌サンプルを採取します。
- 視覚・嗅覚で異常を確認(変色、異臭、油臭)
- 代表地点のサンプルのみ分析(費用削減)
- Hot Spot(高濃度汚染地点)の推定
4. 地歴調査の簡易版
- 登記簿の閲覧(現地調査なし)
- Google Earthでの航空写真確認
- 周辺のハザードマップ確認
スクリーニング調査の実施手順
ステップ1: 事前情報収集
- 土地の利用履歴(工場、クリーニング店、ガソリンスタンド等)
- 周辺の汚染状況(自治体の公開情報)
ステップ2: 現地調査
- 目視確認(地表の変色、廃棄物の有無)
- XRF分析(重金属のスクリーニング)
- 簡易ボーリング(2〜3地点)
ステップ3: サンプル分析(必要に応じて)
- 代表地点のサンプルのみ分析機関へ送付
- 優先度の高い項目のみ分析(全25項目ではなく5〜10項目)
ステップ4: リスク評価
- 「汚染リスク高・中・低」の3段階評価
- 法定調査の推奨範囲・項目を提案
- 概算費用の算定
スクリーニング調査の活用例
1. 不動産デューデリジェンス
買収前に汚染リスクを迅速に評価し、価格交渉の材料や買収中止判断に活用します。
2. 建替え・開発計画の初期段階
開発コストの見積もりに汚染調査・浄化費用を組み込むための事前調査。
3. 法定調査の範囲絞り込み
広大な敷地で全域を法定調査するのは高額。スクリーニングで汚染リスクの高い範囲を特定し、法定調査範囲を絞り込みます。
調査費用・期間
- XRF分析のみ:10〜20万円(10地点程度)
- 簡易ボーリング+分析:30〜50万円(2〜3地点、5〜10項目)
- 期間:1〜2週間
注意点
- 法的効力はないため、最終的には法定調査が必要
- 精度が低く、見落としのリスクあり
- VOCの検出はXRFでは不可(土壌ガス調査が必要)
- 不動産取引の重要事項説明には使用できない
よくある質問
Qスクリーニング調査だけで土地取引を進めることは可能ですか?
いいえ。スクリーニング調査には法的効力がないため、不動産取引では法定調査(指定調査機関による調査)が求められます。スクリーニングは意思決定の参考情報としてのみ使用してください。
QXRF分析の精度はどの程度信頼できますか?
±10〜20%の誤差があり、参考値として扱います。基準値ギリギリの濃度では判定が難しいため、最終的には公定法(公的に認められた分析方法)での分析が必要です。
Qスクリーニング調査で「汚染リスク低」でも、法定調査で汚染が見つかることはありますか?
はい、あり得ます。スクリーニングは調査地点数が少なく、簡易的な手法のため、見落としのリスクがあります。重要な取引では、必ず法定調査を実施してください。
Qスクリーニング調査は誰でも実施できますか?
はい。法定調査と異なり、指定調査機関でなくても実施可能です。ただし、XRF装置などの専門機器が必要なため、専門業者への依頼が一般的です。