土壌汚染調査・対策には多額の費用がかかる
土壌汚染調査・対策には、調査で数百万円、対策工事で数千万円から数億円の費用がかかることがあります。特に中小企業にとっては、これらの費用負担が経営を圧迫するケースも少なくありません。
そこで、国や自治体は土壌汚染対策を促進するため、各種の補助金・融資制度を用意しています。本記事では、2025年最新の支援制度を詳しく解説し、申請方法や活用事例を紹介します。
1. 土壌汚染対策基金による助成制度(国)
独立行政法人環境再生保全機構(ERCA)が運営する土壌汚染対策基金は、中小企業者等が土壌汚染調査・対策を行う際の費用を助成する国の制度です。
助成対象者
- 中小企業者:製造業その他は従業員300人以下または資本金3億円以下、卸売業は従業員100人以下または資本金1億円以下、小売業・サービス業は従業員50〜100人以下または資本金5,000万円以下
- 個人事業主
- 一定の要件を満たす法人:汚染原因者でない土地所有者等
重要:汚染原因者本人は原則として助成対象外です。ただし、無過失で汚染された土地を相続・購入した場合は対象となる場合があります。
助成内容
| 対象費用 | 助成率 | 上限額 |
|---|---|---|
| 土壌汚染状況調査費用 | 費用の3/4以内 | 1,000万円 |
| 土壌汚染対策工事費用 | 費用の3/4以内 | 1億円 |
| モニタリング費用 | 費用の3/4以内 | 500万円 |
具体例:調査費用が400万円の場合、助成額は300万円(400万円×3/4)、自己負担は100万円
申請の流れ
- 事前相談:環境再生保全機構に相談(電話・メール)
- 申請書類の準備:
- 助成金交付申請書
- 事業計画書(調査・対策の内容、費用見積もり)
- 土地の登記事項証明書
- 中小企業者であることを証明する書類(登記簿謄本、決算書等)
- 汚染原因者でないことを証明する書類
- 申請:調査・対策の着手前に申請(着手後の申請は不可)
- 審査・交付決定:1〜2ヶ月程度
- 調査・対策の実施
- 実績報告・助成金受領:完了後、実績報告書を提出し、助成金を受領
注意:申請前に調査・対策に着手してしまうと助成対象外になります。必ず事前に相談・申請を行ってください。
利子補給制度
金融機関から融資を受けて土壌汚染対策を実施する場合、支払利子の一部を補給する制度もあります。
- 補給率:支払利子の1/2以内
- 対象融資額:5,000万円以内
- 補給期間:5年以内
2. 自治体の独自支援制度
都道府県や市区町村が独自に設けている補助金・融資制度があります。以下は主要自治体の例です。
東京都
東京都中小企業者向け土壌汚染対策助成金
- 対象:都内の中小企業者
- 助成内容:
- 調査費用:上限100万円(助成率1/2)
- 対策費用:上限500万円(助成率1/3)
- 問い合わせ:東京都環境局環境改善部
大阪府
大阪府土壌汚染対策資金融資制度
- 対象:府内の中小企業者
- 融資額:5,000万円以内
- 金利:年1.0%(固定、2025年度)
- 融資期間:10年以内(据置期間2年以内)
- 問い合わせ:大阪府環境農林水産部
神奈川県
神奈川県環境保全資金融資制度
- 対象:県内の中小企業者
- 融資額:8,000万円以内
- 金利:年1.2〜1.5%
- 問い合わせ:神奈川県環境農政局
愛知県
愛知県土壌汚染対策資金融資制度
- 融資額:7,000万円以内
- 金利:年1.1%
- 問い合わせ:愛知県環境局
| 自治体 | 制度名 | 補助/融資 | 上限額 |
|---|---|---|---|
| 東京都 | 中小企業者向け助成金 | 補助金 | 調査100万円、対策500万円 |
| 大阪府 | 土壌汚染対策資金 | 融資 | 5,000万円 |
| 神奈川県 | 環境保全資金 | 融資 | 8,000万円 |
| 愛知県 | 土壌汚染対策資金 | 融資 | 7,000万円 |
地方自治体の制度は変更される場合があるため、最新情報は各自治体の環境部局に確認してください。
3. 日本政策金融公庫の融資制度
日本政策金融公庫(国民生活事業・中小企業事業)では、環境対策資金として土壌汚染対策費用の融資を行っています。
融資制度の概要
- 対象:中小企業者、個人事業主
- 融資限度額:
- 国民生活事業:7,200万円
- 中小企業事業:7億2,000万円
- 金利:年1.1〜2.5%程度(融資制度・返済期間により異なる)
- 返済期間:20年以内(据置期間2年以内)
メリット
- 民間金融機関より低金利
- 長期返済が可能
- 無担保・無保証人での融資も可能(一定の条件)
4. 民間金融機関の環境対応融資
一部の地方銀行・信用金庫では、土壌汚染対策を含む環境対応融資商品を提供しています。
- 特徴:環境配慮企業への優遇金利、CSR評価の向上
- 融資条件:金融機関により異なる
補助金・融資を活用した成功事例
事例1:中小製造業A社(東京都)
状況:工場廃止に伴い土壌汚染調査を実施。重金属汚染が発覚し、対策費用3,000万円が必要に。
活用した支援:
- 土壌汚染対策基金:対策費用の3/4(2,250万円)を助成
- 自己負担750万円
結果:自己負担を750万円に抑え、土地を売却して事業転換に成功
事例2:個人事業主B氏(大阪府)
状況:相続した土地にガソリンスタンド跡地があり、土壌汚染が判明。対策費用1,200万円。
活用した支援:
- 大阪府の融資制度:1,200万円を年利1.0%、10年返済で融資
- 月々の返済額:約10万円
結果:低金利融資により、月々の負担を抑えながら対策を完了。土地を賃貸として活用し、返済資金を確保
事例3:中小飲食チェーンC社(神奈川県)
状況:店舗建設予定地でクリーニング店跡地の汚染が発覚。調査費300万円、対策費800万円。
活用した支援:
- 神奈川県環境保全資金:1,100万円を融資
- 低金利(年1.2%)により、総利息負担を抑制
結果:計画通りに店舗をオープンし、売上で返済
補助金・融資申請の注意点とポイント
1. 必ず着手前に申請する
調査・対策に着手してしまうと、ほとんどの補助金は対象外になります。まずは相談・申請を行い、交付決定を受けてから着手してください。
2. 複数の制度を組み合わせる
国の助成と自治体の融資を組み合わせることで、自己負担をさらに軽減できる場合があります。
- 例:土壌汚染対策基金で対策費用の3/4を助成(残り1/4を自己負担)→ 残りの1/4を自治体の融資で賄う
3. 計画的に申請準備を進める
申請から交付決定まで1〜2ヶ月かかるため、調査・対策のスケジュールに余裕を持たせることが重要です。
4. 専門家に相談する
指定調査機関や環境コンサルタントに、補助金・融資の活用についても相談することで、最適な資金計画を立てられます。
申請に必要な書類(土壌汚染対策基金の場合)
共通書類
- 助成金交付申請書(所定様式)
- 事業計画書(調査・対策の内容、スケジュール、費用見積もり)
- 土地の登記事項証明書(全部事項証明書)
- 公図、地積測量図
- 土地の取得経緯を示す書類(売買契約書、相続関係書類等)
中小企業者の場合
- 登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
- 直近3期分の決算書
- 中小企業者であることの誓約書
個人事業主の場合
- 確定申告書(直近3年分)
- 事業内容を示す書類
よくある質問
Q1. 大企業は補助金を受けられませんか?
土壌汚染対策基金の助成は中小企業者等が対象です。大企業は原則として対象外ですが、自治体の制度によっては大企業も対象となる場合があります(例:東京都の一部の融資制度)。
Q2. 汚染原因者でも補助金を受けられますか?
原則として汚染原因者は対象外です。ただし、以下の場合は対象となる可能性があります:
- 汚染された土地を無過失で相続・購入した場合
- 汚染原因が前所有者や第三者にあることが明確な場合
Q3. 補助金申請のタイミングは?
調査・対策の実施前に申請が必要です。着手後の申請は受け付けられません。まずは環境再生保全機構または自治体に相談し、申請手続きを確認してください。
Q4. 任意調査でも補助金の対象になりますか?
土壌汚染対策基金は、法定調査(土壌汚染対策法に基づく調査)が対象です。任意調査は原則として対象外ですが、自治体の制度によっては任意調査も対象となる場合があります。
Q5. 融資の審査は厳しいですか?
土壌汚染対策のための融資は、一般の事業融資より審査が厳しい傾向があります。以下の点が重視されます:
- 対策計画の妥当性(過剰でも過少でもない適切な対策)
- 返済能力(事業の収益性、担保の有無)
- 土地の将来的な活用計画
まとめ:補助金・融資を活用して負担を軽減
土壌汚染調査・対策には多額の費用がかかりますが、国や自治体の補助金・融資制度を活用することで、負担を大幅に軽減できます。
重要なポイント:
- 必ず着手前に申請する
- 複数の制度を組み合わせる
- 計画的に準備を進める
- 専門家に相談する
当サービスでは、補助金・融資の活用に詳しい指定調査機関とマッチングし、資金計画の相談から申請サポートまで、ワンストップで支援します。まずは無料相談からお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせ先:
- 環境再生保全機構(土壌汚染対策基金):TEL 044-520-9706
- 日本政策金融公庫:全国の支店窓口
- 各都道府県の環境部局:自治体ウェブサイトで確認
よくある質問
Q大企業は補助金を受けられませんか?
土壌汚染対策基金の助成は中小企業者等が対象です。大企業は一般的に対象外ですが、自治体の制度によっては対象となる場合があります。
Q補助金申請のタイミングは?
調査・対策の実施前に申請が必要です。事前に機構または自治体に相談し、申請手続きを確認してください。