建物滅失登記とは
建物を解体したら、「建物滅失登記」を法務局に申請する義務があります。解体後1ヶ月以内に申請する必要があり、怠ると10万円以下の過料が科される可能性があります。
建物滅失登記とは、建物を解体・焼失などにより物理的に存在しなくなった事実を、不動産登記簿に記録するための手続きです。不動産登記法第57条により、建物が滅失した日から1ヶ月以内に申請することが義務付けられています。
⚠️ 申請しないと罰則があります
建物滅失登記を期限内に申請しない場合、不動産登記法第164条により、10万円以下の過料が科される可能性があります。また、登記簿上に建物が残ったままだと、以下のような問題が発生します:
- 固定資産税が課税され続ける
- 土地の売却ができない(建物付きとして扱われる)
- 新築の建築確認申請ができない
- 住宅ローンの借り換え・抵当権設定ができない
建物滅失登記が必要なケース
- 解体工事により建物を取り壊した場合(最も一般的)
- 火災などで建物が焼失した場合
- 自然災害(地震・台風など)で建物が倒壊した場合
- 建物の一部を解体して別の建物として扱う場合(減築など)
申請期限と流れ
| ステップ | 内容 | 期限・所要時間 |
|---|---|---|
| 1. 解体工事完了 | 解体業者から「建物取壊証明書」を受け取る | 解体完了後すぐ |
| 2. 必要書類の準備 | 証明書類を揃える | 1〜3日 |
| 3. 申請書の作成 | 法務局指定の様式で作成 | 1〜2日 |
| 4. 法務局へ申請 | 管轄の法務局に提出(郵送可) | 解体後1ヶ月以内 |
| 5. 登記完了 | 登記完了証を受け取る | 申請から1〜2週間 |
必要書類の詳細
1. 建物滅失登記申請書
法務局の窓口またはウェブサイトで入手できる所定の様式です。記載事項は以下の通り:
- 登記の目的:「建物滅失」
- 建物の所在地(地番)
- 家屋番号
- 取壊し年月日
- 申請人の氏名・住所
💡 ポイント:地番と住居表示は異なります。登記簿謄本で地番を確認してください。
2. 建物取壊証明書(解体業者が発行)
解体工事を行った業者が作成する証明書です。解体業者の商号、代表者名、印鑑が押印されたものが必要です。
記載内容:
- 建物の所在地
- 建物の種類・構造
- 取壊し年月日
- 解体業者の商号・所在地
- 代表者氏名・印鑑
3. 解体業者の資格証明書(登記事項証明書または代表者事項証明書)
解体業者が法人の場合、会社の登記事項証明書(履歴事項全部証明書)が必要です。発行から3ヶ月以内のものを用意してください。
※個人事業主の場合は不要です。
4. 解体業者の印鑑証明書
解体業者が法人の場合は会社の印鑑証明書、個人事業主の場合は個人の印鑑証明書が必要です。こちらも3ヶ月以内に発行されたものを用意してください。
5. 建物の位置図(案内図)
取り壊した建物の所在地を示す地図です。住宅地図のコピーに建物の位置を赤枠で囲んで示すのが一般的です。Googleマップの印刷でも可能です。
6. 申請人の本人確認書類(窓口申請の場合)
運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど。郵送申請の場合は不要です。
7. 委任状(代理人が申請する場合)
土地家屋調査士などの専門家に依頼する場合や、相続人の一人が代表して申請する場合に必要です。
自分で申請する場合の手順
ステップ1:管轄法務局を調べる
建物の所在地を管轄する法務局を確認します。法務局のウェブサイトで「管轄のご案内」から検索できます。
ステップ2:申請書を作成する
法務局のウェブサイトから申請書の様式をダウンロードし、記入例を参考に作成します。記入は手書きでもパソコンでも可能です。
💡 記入のコツ
- 地番は登記簿謄本で確認(住居表示ではありません)
- 取壊し年月日は解体工事が完了した日
- 申請人欄は所有者(登記名義人)の情報を記載
- 押印は認印で可(実印不要)
ステップ3:解体業者から書類を受け取る
解体工事完了後、解体業者に以下の書類を依頼します:
- 建物取壊証明書
- 登記事項証明書(発行から3ヶ月以内)
- 印鑑証明書(発行から3ヶ月以内)
⚠️ 注意:解体契約時に、これらの書類を無償で提供してもらえるか確認しましょう。一部の業者は有償の場合があります。
ステップ4:法務局に申請する
窓口申請:管轄法務局の窓口に書類を持参します。不備があればその場で指摘してもらえます。
郵送申請:書類一式を管轄法務局に郵送します。返信用封筒(切手貼付)を同封すると、登記完了証を郵送してもらえます。
ステップ5:登記完了
申請から1〜2週間で登記が完了します。登記完了証が交付されます。
土地家屋調査士に依頼する場合
費用相場
| 地域 | 報酬相場 |
|---|---|
| 東京都23区 | 4〜6万円 |
| 政令指定都市 | 3.5〜5万円 |
| 地方都市 | 3〜4.5万円 |
※上記は報酬額のみ。登記事項証明書・印鑑証明書の取得代行を依頼する場合は、実費(1通数百円)と手数料が別途かかります。
依頼するメリット
- 時間の節約:平日に法務局へ行く必要がない
- 確実性:専門家が書類を作成するため、不備による再申請のリスクがない
- 複雑なケースに対応:相続登記が済んでいない、共有名義など複雑な場合も対応可能
- アドバイス:次の建築計画などについて専門的な助言がもらえる
依頼するデメリット
- 費用がかかる:3〜6万円の報酬が必要
- 業者選びが必要:信頼できる土地家屋調査士を探す手間
よくあるトラブルと対処法
ケース1:解体業者と連絡が取れなくなった
問題:解体工事は完了したが、業者が倒産・廃業して必要書類がもらえない。
対処法:
- 解体業者が法人の場合:法務局で閉鎖事項証明書を取得し、それを添付して申請
- 解体業者が個人の場合:上申書を作成し、工事写真や契約書などの証拠書類を添付して申請
- 専門家(土地家屋調査士)に相談することを推奨
ケース2:相続登記が済んでいない
問題:被相続人名義のまま建物を解体してしまった。
対処法:
- 原則として、相続人全員の同意のもと、相続人の一人が代表して申請可能
- 相続登記を先に済ませる必要はない(建物滅失登記は可能)
- ただし、土地の売却などを予定している場合は、同時に相続登記も進めるべき
ケース3:共有名義の建物を解体した
問題:複数人の共有名義だが、全員の同意は取れている。
対処法:
- 共有者の一人が代表して申請可能
- 他の共有者の委任状があればスムーズ(なくても可能)
- 申請書には代表者の情報のみ記載すればOK
建物滅失登記後にすべきこと
1. 固定資産税の確認
建物滅失登記が完了すると、法務局から市区町村の税務課に通知されます。翌年度から建物の固定資産税は課税されなくなります。
⚠️ 注意:土地の固定資産税は、住宅用地の特例(1/6軽減)がなくなるため、最大6倍に上がります。
2. 新築の準備(建て替えの場合)
建物滅失登記が完了すると、同じ敷地に新しい建物を建築できます。建築確認申請の際には、建物滅失登記が完了していることが条件となる場合があります。
3. 土地の売却手続き(売却する場合)
更地になった土地を売却する場合、買主や不動産業者から「建物滅失登記が完了していること」を求められます。登記完了証のコピーを準備しておきましょう。
費用まとめ
| 項目 | 自分で申請 | 専門家に依頼 |
|---|---|---|
| 登録免許税 | 0円 | 0円 |
| 登記事項証明書 | 600円 | 600円 |
| 印鑑証明書 | 450円 | 450円 |
| 郵送費 | 1,000円程度 | — |
| 専門家報酬 | — | 3〜6万円 |
| 合計 | 約2,000円 | 約3.2〜6.2万円 |
チェックリスト
✅ 建物滅失登記の手続きチェックリスト
- □ 解体工事完了後、解体業者から「建物取壊証明書」を受け取った
- □ 解体業者の登記事項証明書(3ヶ月以内)を受け取った
- □ 解体業者の印鑑証明書(3ヶ月以内)を受け取った
- □ 管轄法務局を確認した
- □ 建物滅失登記申請書を作成した
- □ 建物の位置図を準備した
- □ 法務局に申請した(解体後1ヶ月以内)
- □ 登記完了証を受け取った
- □ 翌年度の固定資産税が正しく計算されているか確認した
まとめ
建物滅失登記は、自分で申請すれば実費2,000円程度、専門家に依頼しても3〜6万円程度で完了します。申請自体は難しくありませんが、平日に法務局へ行く時間が取れない場合や、相続登記が済んでいないなど複雑なケースでは、土地家屋調査士に依頼する方が確実です。
いずれにせよ、解体後1ヶ月以内に申請することが法律で義務付けられているため、早めに準備を進めましょう。
よくある質問
Q建物滅失登記は誰がしますか?
建物の所有者(登記名義人)が申請します。
Q解体業者が建物滅失登記をしてくれますか?
解体業者は「建物取壊証明書」を発行しますが、登記申請自体は行いません。