手続き・届出

【2026年】解体工事の騒音・振動規制|特定建設作業の届出と85dB基準を解説

最終更新: 2026年5月28日12分で読める2026年1月確認済み

解体工事に騒音・振動の届出は必要ですか?

指定地域内でブレーカーや削岩機などを使う特定建設作業を行う場合は、騒音規制法・振動規制法に基づき、作業開始の7日前までに市区町村への届出が必要です。市街地の解体ではほとんどのケースで該当し、敷地境界で騒音85デシベル・振動75デシベルの基準や作業時間の制限も守る必要があります。

この記事の結論

解体工事の騒音・振動は騒音規制法・振動規制法で規制され、ブレーカー作業などは「特定建設作業」として作業開始7日前までの届出が義務。敷地境界で騒音85dB・振動75dBの基準と作業時間・日数の制限があり、違反すると改善勧告・命令や罰則の対象になります。

この記事でわかること

  • 騒音は騒音規制法、振動は振動規制法で規制される(2本立て)
  • 指定地域内で特定建設作業を行う場合、作業開始7日前までに市区町村へ届出が必要
  • 規制基準は敷地境界で騒音85デシベル・振動75デシベル
  • 第1号区域は午後7時〜午前7時、第2号区域は午後10時〜午前6時の作業が禁止
  • 違反時は改善勧告・改善命令、命令違反で罰則の対象
  • 低騒音型重機・防音養生・事前の近隣挨拶でトラブルを予防できる

解体工事の騒音・振動規制とは

特定建設作業とは、建設工事として行われる作業のうち、著しい騒音または振動を発生する作業として政令で定めるものをいい、指定地域内で行う場合は届出と規制基準の遵守が義務付けられます。

解体工事の騒音・振動はなぜ法律で規制されるのか

解体工事で発生する騒音と振動は、近隣トラブルの最大の原因です。建物を取り壊す際にはコンクリートを砕くブレーカーや重機が稼働し、住宅密集地では隣家の生活に大きな影響を与えます。こうした生活環境の悪化を防ぐため、日本では「騒音規制法」と「振動規制法」という2本の法律で、工事現場から出る音と揺れに明確な上限を設けています。

騒音規制法と振動規制法の2本立て

騒音は騒音規制法(昭和43年法律第98号)、振動は振動規制法(昭和51年法律第64号)がそれぞれ担当します。どちらも、都道府県知事や市長が指定した「指定地域」の中で、著しい騒音・振動を出す一定の作業を「特定建設作業」と定め、届出・規制基準・作業時間の制限を課す仕組みです。解体工事はこの特定建設作業に該当することが多く、施主も基本を知っておく必要があります。

近隣トラブルを未然に防ぐ法的な枠組み

規制の目的は、工事を止めることではなく、近隣住民の生活と工事を両立させることにあります。基準や作業時間を守らない業者は行政指導や罰則の対象となり、結果として工事の中断や施主の信用低下につながります。法律を理解しておけば、業者が適切に届出と対策を行っているかを施主自身がチェックでき、トラブルの芽を早期に摘めます。詳しくは近隣トラブル回避のガイドもあわせてご覧ください。

📊 データソース: 本記事はe-Gov法令検索「騒音規制法」およびe-Gov法令検索「振動規制法」の条文に基づいて作成しています。

特定建設作業とは何か

特定建設作業とは、建設工事として行われる作業のうち、著しい騒音または振動を発生する作業として政令で定めるものを指します(騒音規制法第2条第3項・振動規制法第2条第3項)。解体工事ではコンクリートの破砕や基礎の撤去で大きな音や揺れが出るため、多くの現場がこの特定建設作業に当てはまります。該当する作業を指定地域内で行う場合、後述する届出と基準遵守の義務が発生します。

騒音の特定建設作業(8種類)

騒音規制法施行令の別表第2では、くい打機・びょう打機、削岩機、空気圧縮機、コンクリートプラント、バックホウ、トラクターショベル、ブルドーザーなど計8種類が騒音の特定建設作業として定められています。解体現場では、削岩機や一定規模以上のバックホウを用いた取り壊し作業が代表例です。ただし、いずれも一定の出力・規格以下のものや、1日のうちに作業場所を移動する小規模作業は除外されるなど細かな条件があります。

振動の特定建設作業(4種類)

振動規制法施行令の別表第2では、くい打機を使用する作業、鋼球を使用して建築物を破壊する作業、舗装版破砕機を使用する作業、ブレーカーを使用する作業の4種類が定められています。解体工事で最も関係が深いのが「ブレーカーを使用する作業」で、コンクリート基礎やRC造の取り壊しで頻繁に使われます。なお、1日に作業地点が50mを超えて移動する作業は特定建設作業から除かれます。

解体工事で届出が必要になるケース

すべての解体工事に届出が必要なわけではありません。届出義務が生じるのは、「指定地域内」で「特定建設作業」を行う場合に限られます。この2つの条件を満たすかどうかが判断の分かれ目です。住宅地や商業地の多くは指定地域に含まれるため、市街地での解体工事は届出が必要になるケースが大半だと考えておくとよいでしょう。

指定地域に含まれるかどうかの確認

指定地域は、都道府県知事(政令市・特別区では市長・区長)が、住居や病院・学校の保護が必要な区域などを基準に指定します。第1号区域(住居系で特に静穏が求められる区域)と第2号区域(その他の区域)に区分され、区分によって作業時間の制限が変わります。自分の土地がどの区域かは、工事現場を管轄する市区町村の環境担当課で確認できます。多くの市街地はいずれかの区域に含まれます。

ブレーカー・削岩機を使う解体は要注意

木造住宅でも基礎コンクリートの撤去にはブレーカーや削岩機を使うため、指定地域内なら届出が必要になることがほとんどです。RC造や鉄骨造の解体ではさらに大型の重機が稼働するため、ほぼ確実に該当します。届出は施工する解体業者が代行するのが一般的ですが、施主としても「届出を出しているか」を契約前に確認しておくと安心です。解体の流れ全体は解体工事のトラブル対策ガイドも参考になります。

特定建設作業実施届出書の提出方法

届出は「特定建設作業実施届出書」を市町村長に提出して行います(騒音規制法第14条・振動規制法第14条)。騒音と振動の両方に該当する場合は、それぞれの法律に基づく届出が必要です。提出を怠ったり虚偽の届出をしたりすると罰則の対象になるため、業者任せにせず手続きの存在を理解しておきましょう。

提出先と期限(作業開始の7日前まで)

提出先は工事現場を管轄する市区町村で、提出期限は特定建設作業を開始する日の7日前までと法律で定められています。災害など緊急やむを得ない場合を除き、この7日前ルールは厳守が必要です。届出を受けて、市区町村は必要に応じて作業方法の改善などを業者に求めることがあります。スケジュールに余裕をもって業者へ依頼することがトラブル回避につながります。

届出書の主な記載事項と添付書類

届出書には、氏名・住所、建設工事の目的に係る施設または工作物の種類、特定建設作業の場所と実施期間、作業の種類・使用機械、騒音振動の防止方法などを記載します。添付書類として、作業場所の付近見取図や工程表が求められます。記載内容は専門的なため、通常は解体業者が作成・提出を代行します。施主は控えの写しを受け取り、届出が完了していることを確認しておくとよいでしょう。

騒音・振動の規制基準と作業時間の制限

特定建設作業には、音と振動の大きさの上限、そして作業できる時間帯・日数の制限が課されます。これらは届出をすれば何をしてもよいというものではなく、作業中ずっと守るべき遵守事項です。基準を超えると市区町村から改善勧告や命令が出される可能性があります。

敷地境界での基準(騒音85dB・振動75dB)

規制基準として、騒音は敷地の境界線で85デシベルを超えてはならないとされています。振動についても、敷地境界で75デシベルを超えてはならないと定められています。85デシベルは、間近で聞く電車の高架下や騒々しい工場内に相当する大きさで、これを上回ると周辺の生活環境に著しい支障が生じるとされる水準です。業者は低騒音・低振動型の機械を使うなどして基準内に収める義務があります。

作業時間・日数・休日の制限(区域別)

作業可能な時間帯や日数は区域によって異なります。代表的な制限は次の通りです。

項目 第1号区域(住居系など) 第2号区域(その他)
禁止される時間帯 午後7時〜翌午前7時 午後10時〜翌午前6時
1日の作業時間の上限 10時間以内 14時間以内
連続日数 同一場所で連続6日以内 同一場所で連続6日以内
日曜・休日 作業禁止 作業禁止

上記は法律が定める原則で、災害その他非常時を除き、夜間・休日の作業は認められません。地域の実情に応じて市区町村がさらに細かい運用を設けている場合もあるため、具体的な内容は管轄窓口で確認してください。

基準に違反した場合の罰則と行政指導

規制基準や作業時間を守らない場合、行政による段階的な対応が取られます。いきなり罰金が科されるわけではなく、まず改善の勧告、次に命令という順序を踏むのが原則です。とはいえ命令に従わなければ罰則が適用され、業者の信用にも傷がつきます。

改善勧告と改善命令

騒音・振動が規制基準を超えて周辺の生活環境を損なっていると認められる場合、市町村長は作業方法の改善や作業時間の変更を勧告できます。勧告に従わないときは、さらに改善命令を出すことが可能です。命令は法的拘束力を持ち、これを無視して作業を続けることはできません。施主としては、近隣から苦情が出た段階で業者と速やかに対策を協議することが重要です。

罰則の内容

改善命令に違反した場合、罰金などの罰則が科されることがあります。また、特定建設作業の届出を怠った場合や虚偽の届出をした場合にも、過料などの対象となります。罰則は基本的に作業を行う事業者(解体業者)に向けたものですが、違法な工事は中断・遅延を招き、最終的に施主の不利益にもつながります。法令を守る業者を選ぶことが、結果的に施主自身を守ることになります。

近隣トラブルを防ぐための実務ポイント

法律を守ることは大前提ですが、それだけでは近隣との関係は守れません。基準内の騒音・振動であっても、住民にとっては不快に感じられるからです。法令遵守に加えて、丁寧なコミュニケーションと配慮が円満な工事のカギを握ります。

事前の近隣挨拶と工事説明

工事開始前には、両隣・向かい・裏の家を中心に、工期・作業時間・連絡先を記した案内を持って挨拶に回るのが基本です。あらかじめ「いつ・どれくらいの期間・どんな音が出るか」を伝えておくだけで、住民の心理的な負担は大きく下がります。優良な解体業者は挨拶回りに同行したり、近隣説明を代行したりしてくれます。業者選びの際はこうした対応力も確認しましょう。

低騒音・低振動型の重機と養生の活用

近年は国土交通省が指定する低騒音型・低振動型建設機械が普及しており、これらを使うことで現場の音と揺れを大きく抑えられます。あわせて防音パネルや防音シートによる養生を行えば、敷地外への騒音漏れをさらに低減できます。見積もり時に「低騒音型重機を使うか」「防音養生はどうするか」を確認することで、近隣トラブルのリスクを下げられます。解体工事ガイド一覧無料一括見積もりもご活用ください。

📊 参考: 規制基準・作業時間・届出の詳細は、工事現場を管轄する市区町村の環境担当課、および環境省「大気環境・自動車対策(騒音・振動)」の情報をご確認ください。地域により運用が異なる場合があります。

現場の窓口 編集部

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よくある質問

Q木造住宅の解体でも騒音・振動の届出は必要ですか?
A

指定地域内でブレーカーや削岩機を使って基礎を撤去する場合は、木造住宅でも特定建設作業に該当し、作業開始7日前までの届出が必要になることがほとんどです。多くの市街地は指定地域に含まれます。

Q届出は施主と業者のどちらが行いますか?
A

法律上の届出義務者は作業を実施する者ですが、実務では解体業者が「特定建設作業実施届出書」の作成と提出を代行するのが一般的です。施主は控えの写しを受け取り、届出完了を確認しておくと安心です。

Q解体工事の騒音の上限は何デシベルですか?
A

特定建設作業の規制基準では、敷地の境界線で騒音は85デシベル、振動は75デシベルを超えてはならないとされています。これを超えると市区町村から改善勧告や命令を受ける可能性があります。

Q夜間や日曜日に解体工事をしてもよいですか?
A

特定建設作業は、第1号区域では午後7時〜翌午前7時、第2号区域では午後10時〜翌午前6時の作業が禁止され、日曜・休日の作業も原則認められません。災害など非常時を除き夜間・休日作業はできません。

Q届出をせずに工事をするとどうなりますか?
A

届出を怠ったり虚偽の届出をしたりすると過料などの対象になります。また規制基準違反で改善命令に従わない場合は罰金などの罰則が科されることがあります。罰則は主に業者向けですが、工事の中断で施主も不利益を被ります。

Q近隣から騒音の苦情が来たらどうすればよいですか?
A

まず業者と速やかに対策を協議し、低騒音型重機への切り替えや防音養生の強化、作業時間の調整などを検討します。基準内であっても誠実な説明と配慮が信頼回復につながります。早めの対応が長期化を防ぎます。

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この記事のまとめ

解体工事の騒音・振動は騒音規制法・振動規制法で規制され、ブレーカー作業などは「特定建設作業」として作業開始7日前までの届出が義務。敷地境界で騒音85dB・振動75dBの基準と作業時間・日数の制限があり、違反すると改善勧告・命令や罰則の対象になります。

この記事の監修者

Y

吉田 雄一

解体工事施工管理・環境コンサルタント

建設業経営審査 1級解体工事施工技士建設リサイクル法認定講習修了

建設業界で15年以上の経験を持ち、全国2,500社以上の解体業者ネットワークを構築。年間15万件以上の見積もりデータに基づく市場分析の専門家。

この記事を書いた人

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現場の窓口 編集部

運営: 合同会社Radineer

解体工事・アスベスト調査・土壌汚染調査・産業廃棄物処理の一括見積もりサービスを運営。 全国2,500社以上の審査済み業者と提携し、累計15万件以上の見積もり実績があります。

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更新履歴

  • 20266最新情報を確認・更新
  • 2026-05-28記事作成