自動車業向け

自動車整備業の産業廃棄物処理【廃油・廃タイヤ・廃バッテリーの処理】

更新: 2025-02-2816分で読める2026年1月確認済み

自動車整備業における廃棄物管理の特徴

自動車整備工場からは、リサイクル価値の高い廃棄物が多数発生します。廃油、廃バッテリー、廃タイヤ、金属部品など、適切に分別・処理すれば、処理費用を削減するだけでなく、有価物として売却収益を得ることも可能です。

一方で、フロン類や未展開エアバッグなど、法令に基づく特別な管理が必要な廃棄物もあります。自動車リサイクル法、フロン排出抑制法、廃棄物処理法など、複数の法規制への対応が求められる業種です。

自動車整備業から出る廃棄物の種類と排出量

主な廃棄物と分類

廃棄物分類月間排出量目安(月間50台整備)処理方法
廃エンジンオイル廃油100〜200L再生油として買取可能
廃ATF・ミッションオイル廃油30〜80L再生処理または買取
廃LLC(冷却水)廃アルカリ50〜120L再生処理
廃ブレーキフルード廃油10〜30L産廃処理
廃タイヤ廃ゴム(産業廃棄物)50〜150本リサイクル・燃料化
廃バッテリー鉛蓄電池(金属くず)15〜40個鉛リサイクル(買取)
オイルフィルター金属くず+廃油30〜80個油抜き後に産廃処理
エアコンフィルター廃プラスチック類10〜30個産廃処理
金属部品(マフラー等)金属くず50〜150kg有価売却可能
廃触媒金属くず5〜15個高価買取(白金族含有)
ウエス(油付着)汚泥または廃油20〜60kg産廃処理
バンパー・樹脂部品廃プラスチック類20〜80kg産廃処理またはリサイクル

業態別の廃棄物特性

一般整備工場(車検・点検メイン)

  • 主要廃棄物:廃オイル(40%)、廃タイヤ(30%)、金属部品(20%)
  • 特徴:定期的な排出で処理業者との契約が容易
  • 月間処理費用:3〜8万円(買取収益で相殺可能)

板金塗装工場

  • 主要廃棄物:廃塗料、廃シンナー、金属くず、廃プラ部品
  • 特徴:引火性廃油(特管産廃)の取扱いが多い
  • 月間処理費用:8〜15万円

タイヤショップ

  • 主要廃棄物:廃タイヤが90%以上
  • 特徴:大量排出のため処理費用の交渉余地あり
  • 月間処理費用:5〜12万円(月間200本処理の場合)

解体業(自動車リサイクル業)

  • 主要廃棄物:シュレッダーダスト、廃油、廃バッテリー、エアバッグ
  • 特徴:自動車リサイクル法に基づく引取業・フロン類回収業の登録が必要
  • 月間処理費用:30〜100万円(規模により大きく変動)

廃棄物処理にかかるコストと収益

処理費用と買取価格の目安(月間50台整備の工場)

廃棄物単価月間処理費用/収益
廃エンジンオイル無料〜10円/L(買取)0円 または -1,000〜-2,000円(収益)
廃タイヤ(乗用車)300〜500円/本15,000〜75,000円
廃タイヤ(トラック)1,000〜2,000円/本大型車の場合は高額
廃バッテリー10〜30円/kg(買取)-3,000〜-12,000円(収益)
オイルフィルター10〜30円/個300〜2,400円
鉄くず(マフラー等)10〜30円/kg(買取)-500〜-4,500円(収益)
アルミくず(ホイール)50〜100円/kg(買取)-2,500〜-10,000円(収益)
廃触媒500〜5,000円/個(買取)-2,500〜-75,000円(収益)
ウエス(油付着)40〜80円/kg800〜4,800円
廃LLC20〜50円/L1,000〜6,000円

月間正味処理費用:約1万〜7万円(買取収益を差し引いた後)
適切な分別と業者選定により、処理費用を収益に転換することも可能です。

廃触媒の高価買取

自動車用触媒には白金、パラジウム、ロジウムなどの貴金属が含まれており、高価買取の対象です。

触媒の種類買取価格(相場)
ガソリン車用触媒(小型)500〜1,500円/個
ガソリン車用触媒(大型・高級車)2,000〜10,000円/個
ディーゼル車用触媒(DPF含む)3,000〜15,000円/個
ハイブリッド車用触媒5,000〜30,000円/個

注意:貴金属相場により価格は大きく変動します。複数の買取業者から見積もりを取ることをお勧めします。

法令遵守のための重要ポイント

1. フロン排出抑制法(旧フロン回収・破壊法)

カーエアコンのフロン類を回収する事業者は、第一種フロン類充填回収業者の登録が必要です。

フロン類回収の義務

  • 登録:都道府県知事への登録(有効期限5年)
  • 回収証明書の交付:フロン類回収後に車両所有者へ交付
  • 引渡義務:回収したフロン類を30日以内にフロン類破壊業者等へ引渡し
  • 記録保存:回収量・引渡量を記録し、3年間保存
  • 年次報告:毎年度の回収量・引渡量を都道府県知事へ報告

罰則:違反した場合、50万円以下の罰金

2. 自動車リサイクル法

使用済み自動車を解体する場合、引取業・フロン類回収業・解体業の登録が必要です。

  • 引取業:使用済み自動車を引き取る業務
  • フロン類回収業:エアコンのフロン類を回収する業務
  • 解体業:使用済み自動車を解体する業務(環境大臣の許可)
  • 破砕業:解体自動車を破砕する業務(都道府県知事の許可)

3. 廃棄物処理法

  • 産業廃棄物処理委託契約:廃油、廃タイヤ等の処理業者と書面契約(5年保管)
  • マニフェスト交付:産業廃棄物を排出する際に管理票を交付(5年保管)
  • 保管基準の遵守:廃油・廃タイヤは屋根のある場所で保管、流出防止措置
  • 電子マニフェスト:加入事業者数が増加中、ペーパーレス化で管理効率向上

4. 消防法(危険物の貯蔵)

ガソリンや軽油などの危険物を一定量以上貯蔵する場合、消防法の規制を受けます。

危険物指定数量規制内容
ガソリン200L以上指定数量以上で危険物貯蔵所の許可必要
軽油1,000L以上指定数量以上で危険物貯蔵所の許可必要
廃エンジンオイル6,000L以上指定数量以上で危険物貯蔵所の許可必要

コスト削減と収益化の戦略

1. 廃バッテリーの高価買取業者の選定

廃バッテリーは鉛の再生資源として価値があります。

高価買取のポイント

  • 複数業者から見積もり:鉛相場により買取価格が変動(10〜30円/kg)
  • ケース付きで売却:プラスチックケースも買取対象
  • 液漏れ防止:バッテリー液が漏れると買取価格が下がる
  • 定期回収契約:まとめて回収してもらうと効率的

収益例:月間30個(平均15kg/個)→ 4,500〜13,500円の収益

2. 廃タイヤの処理費用削減

廃タイヤは処理費用がかかる廃棄物ですが、削減の余地があります。

戦略内容削減効果
複数業者の見積もり比較地域の処理業者3社以上から見積もり1本あたり50〜100円削減
大量排出の交渉月間100本以上なら単価交渉1本あたり100〜150円削減
タイヤメーカーの回収制度ブリヂストン、ミシュラン等の回収ルート低価格または無料回収の場合も
リサイクル業者への直送中間業者を経由せず直接契約1本あたり100〜200円削減

3. 金属くずの分別と売却

鉄、アルミ、ステンレス、銅など、金属は種類ごとに分別すると高価買取になります。

金属種類買取価格対象部品例
鉄くず10〜30円/kgマフラー、ブレーキディスク、鉄ホイール
アルミくず50〜100円/kgアルミホイール、エンジンブロック
ステンレスくず40〜80円/kgマフラー(ステンレス製)
銅くず500〜800円/kg配線、ラジエーター
真鍮くず400〜600円/kg各種金具

4. 廃オイルの無料回収または買取

きれいな廃エンジンオイルは再生油の原料として需要があります。

  • 無料回収:多くの処理業者が無料で回収(処理費用ゼロ)
  • 有価買取:不純物の少ない廃油は5〜15円/Lで買取
  • 分別保管:ガソリンエンジンオイルとディーゼルオイルを分ける
  • 混入物の除去:水やクーラント液を混ぜない

処理業者選定のポイント

自動車整備業向け業者選定チェックリスト

  • ✓ 産業廃棄物収集運搬業許可の保有(廃油、廃プラ、金属くず等)
  • ✓ 廃タイヤの処理単価(乗用車用・トラック用を確認)
  • ✓ 廃バッテリーの買取価格(鉛相場連動か固定価格か)
  • ✓ 金属くずの買取価格(鉄・アルミ・銅の分別買取)
  • ✓ 廃触媒の買取実績(貴金属相場への対応)
  • ✓ 回収頻度(週1回、月2回など)
  • ✓ 緊急回収の可否(オイル漏れ等のトラブル時)
  • ✓ フロン類回収業者の紹介(フロン回収業登録がない場合)

ワンストップ業者 vs 専門業者

方式メリットデメリット
ワンストップ業者
(全廃棄物を1社へ)
管理が簡単、マニフェスト1枚で済む各品目の単価が割高になる傾向
専門業者の組み合わせ
(廃棄物ごとに最適業者)
各品目で最安値・最高買取を実現管理が煩雑、複数のマニフェスト管理

推奨:小規模工場はワンストップ業者、月間100台以上整備する工場は専門業者の組み合わせでコスト削減を追求

よくあるトラブルと対処法

トラブル1:フロン類回収証明書の未交付

事例:エアコン修理時にフロン類を回収したが、証明書を発行しなかった
リスク:法令違反、50万円以下の罰金
対策:フロン類回収作業を記録し、必ず証明書を交付・保管

トラブル2:未展開エアバッグの不適切処理

事例:未展開のエアバッグを通常の廃棄物として処理
リスク:火薬類として爆発の危険、処理業者が受取拒否
対策:必ず展開処理後に廃棄、または専門業者へ委託

トラブル3:廃油の流出事故

事例:廃油タンクから廃油が漏れて側溝に流入
リスク:土壌汚染、水質汚濁防止法違反、高額な浄化費用
対策:廃油タンクは防油堤内に設置、定期点検を実施

環境配慮で顧客満足度向上

適切な廃棄物管理は、環境配慮型工場としてのブランド価値を高めます。

マーケティング活用例

  • 店頭表示:「廃タイヤ・廃バッテリーの適正処理を実施」ポスター掲示
  • ホームページでのアピール:リサイクル率や環境配慮の取り組みを紹介
  • エコアクション21認証:環境経営システムの認証取得
  • ISO14001認証:国際環境規格の取得(大手企業取引に有利)

まとめ:自動車整備業の廃棄物管理で収益改善

自動車整備業の廃棄物管理は、処理費用の削減と有価物の売却収益の両面からアプローチできる分野です。以下のステップで取り組むことをお勧めします。

  1. 現状把握:1ヶ月間、廃棄物の種類と量を記録
  2. 法令確認:フロン回収業登録、自動車リサイクル法の該当確認
  3. 分別の徹底:金属は種類別、オイルは不純物を混入させない
  4. 業者の最適化:廃タイヤ、廃バッテリー、金属くずで複数業者比較
  5. 触媒買取の強化:貴金属買取業者と契約し高価買取を実現
  6. マニフェスト管理:電子マニフェストへの移行を検討
  7. 環境認証の取得:エコアクション21やISO14001で差別化

適切な分別と業者選定により、処理費用から収益に転換した整備工場も多数あります。廃棄物管理は、コスト削減と環境配慮の両立が可能な重要な経営課題です。

よくある質問

Q廃タイヤは無料で処理できますか?
A

一般的には処理費用がかかります。1本あたり300〜500円程度ですが、大量の場合は交渉可能です。

Q使用済みオイルフィルターの処理は?
A

金属くずと廃油の複合物として産廃処理します。油を十分に抜いてから処理に出してください。

Qエアバッグの処理はどうしますか?
A

未展開のエアバッグは火薬類を含むため、専門の処理業者に委託する必要があります。

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この記事を書いた人

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現場の窓口 編集部

運営: 合同会社Radineer

解体工事・アスベスト調査・土壌汚染調査・産業廃棄物処理の一括見積もりサービスを運営。 全国2,500社以上の審査済み業者と提携し、累計15万件以上の見積もり実績があります。

提携業者

2,500社以上

見積もり実績

15万件以上

満足度

97.8%

参照・引用元

  • 環境省-廃棄物処理法、マニフェスト制度
  • 都道府県-産業廃棄物処理業許可制度
  • 国土交通省-建設リサイクル法

※ 各省庁の公開情報および当サイト提携業者からの提供データに基づき作成しています

更新履歴

  • 20261最新情報を確認・更新
  • 2025-02-28記事作成