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美容室・理容室の産業廃棄物処理【薬剤・毛髪の適正処理】

更新: 2025-03-0115分で読める2026年1月確認済み

美容室・理容室における廃棄物管理の重要性

美容室や理容室からは、化学薬剤を含む廃棄物が日常的に発生します。カラー剤、パーマ液、ブリーチ剤などの薬剤は、環境への影響が大きいため、適正な処理が法律で義務付けられています。

近年、美容業界でも環境配慮が重視されており、サステナブルサロンとしての取り組みが顧客獲得の差別化要因になっています。適切な廃棄物管理は、法令遵守だけでなく、サロンのブランド価値向上にもつながる重要なテーマです。

美容室・理容室から出る廃棄物の種類と排出量

主な廃棄物と分類

廃棄物分類月間排出量目安(個人店)処理方法
廃カラー剤廃アルカリ3〜10kg産廃処理業者へ委託
廃ブリーチ剤廃アルカリ1〜5kg産廃処理業者へ委託
廃パーマ液(1剤・2剤)廃酸・廃アルカリ2〜8kg産廃処理業者へ委託
廃トリートメント剤汚泥または廃油1〜3kg産廃処理
空き容器(プラスチック)廃プラスチック類2〜8kg産廃処理
空き容器(金属・アルミ)金属くず1〜3kg産廃処理(有価売却も可)
カット毛髪事業系一般廃棄物5〜20kg自治体のルールに従う
タオル・クロス繊維くず(一般廃棄物)2〜8kg事業系一般廃棄物
使い捨て手袋廃プラスチック類1〜3kg産廃処理
シャンプー・リンス容器廃プラスチック類1〜4kg産廃処理

店舗規模別の廃棄物排出量

個人経営サロン(スタイリスト1〜2名)

  • 月間廃棄物量:15〜40kg
  • 主要廃棄物:廃薬剤(40%)、毛髪(30%)、容器類(20%)
  • 月間処理費用:3,000〜8,000円

中規模サロン(スタイリスト3〜5名)

  • 月間廃棄物量:40〜100kg
  • 主要廃棄物:廃薬剤(45%)、毛髪(25%)、容器類(20%)
  • 月間処理費用:8,000〜20,000円

大規模サロン(スタイリスト6名以上)

  • 月間廃棄物量:100〜300kg
  • 主要廃棄物:廃薬剤(50%)、毛髪(20%)、容器類(20%)
  • 月間処理費用:2万〜5万円

廃棄物処理にかかるコストの実態

処理費用の目安(スタイリスト3名のサロン)

廃棄物種類処理単価月間処理費用
廃薬剤(カラー・パーマ等)50〜150円/kg3,000〜12,000円
廃プラ容器30〜80円/kg600〜6,400円
使い捨て手袋40〜100円/kg400〜3,000円
毛髪(事業系一般廃棄物)30〜60円/kg1,500〜6,000円
タオル・クロス30〜60円/kg600〜4,800円

月間廃棄物処理費用合計:約6,000〜32,000円
年間では7.2万〜38.4万円の処理コストがかかります。小規模サロンにとっては軽視できない経費項目です。

コスト増加の要因

  • 薬剤の過剰調合:必要量以上に調合し、余った薬剤を廃棄
  • 期限切れ在庫:使用頻度の低い薬剤を大量購入し、期限切れで廃棄
  • 分別不足:薬剤と容器を分けずに処理し、全て高額な産廃扱い
  • 業者選定ミス:美容室特化の処理業者を知らず、割高な業者と契約

法令遵守のための重要ポイント

1. 廃棄物処理法の遵守

美容室から出る薬剤は産業廃棄物として適正処理が必要です。

  • 産業廃棄物処理委託契約:処理業者と書面で契約(5年間保管義務)
  • マニフェスト交付:廃薬剤を排出する際に管理票を交付(5年間保管)
  • 許可業者への委託:都道府県知事の許可を受けた産廃処理業者のみ
  • 保管基準の遵守:廃薬剤は専用容器に密閉保管、流出防止措置

2. 下水道法・水質汚濁防止法

カラー剤やパーマ液を下水に流すことは法律で禁止されています。

下水道法違反のリスク

  • 違反内容:排水基準を超える有害物質の排出
  • 罰則:6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金
  • 改善命令:自治体から改善命令が出される可能性
  • 営業停止:悪質な場合は営業停止処分

対象となる主な薬剤成分

  • 過酸化水素(ヘアカラー2剤)
  • アンモニア(ヘアカラー1剤)
  • チオグリコール酸(パーマ液1剤)
  • 臭素酸ナトリウム(パーマ液2剤)

3. 化審法・PRTR法

一部の薬剤成分は化学物質管理の対象となります(大規模サロンの場合)。

薬剤の適正処理方法

廃薬剤の保管と処理手順

Step1: 調合時の廃棄削減

  • 必要量の計算:髪の長さ・量に応じて適正量を調合
  • 少量ずつ調合:一度に大量調合せず、足りなければ追加
  • 残薬の活用:次の客で使用できる場合は保存(ただし衛生管理徹底)

Step2: 廃薬剤の分別保管

  • 専用容器の使用:密閉できるポリ容器(10L〜20L)を用意
  • 種類別の分別:カラー剤、パーマ液、ブリーチ剤を分けて保管
  • 表示の徹底:「廃カラー剤」「廃パーマ液」とラベル貼付
  • 保管場所:直射日光を避け、換気の良い場所

Step3: 処理業者への委託

  • 定期回収契約:月1回または2ヶ月に1回の回収
  • マニフェスト交付:廃薬剤の種類・量を記録
  • 返送確認:処理業者からマニフェストが返送されるか確認

下水に流してはいけない理由

問題点影響
水質汚濁河川・海の生態系への悪影響
下水処理施設の負荷処理能力の低下、設備の損傷
法令違反罰金・営業停止のリスク
配管の腐食サロン自体の配管が傷み、修理費用が発生

コスト削減の具体的戦略

1. 薬剤使用量の最適化

薬剤の無駄を減らすことが最も効果的なコスト削減策です。

施策内容削減効果
カラーレシピの標準化髪の長さ別に必要量をマニュアル化薬剤使用量10〜15%削減
デジタルスケールの活用g単位で計量し正確に調合薬剤使用量5〜10%削減
在庫管理の徹底使用頻度の低い色は小容量購入期限切れ廃棄を50%削減
スタッフ教育適正量調合の技術研修薬剤使用量15〜20%削減

2. 処理業者の最適化

美容室専門の処理業者は、少量でも対応してくれます。

業者選定の比較

業者タイプ月間処理費用(廃薬剤10kg)特徴
一般産廃業者8,000〜15,000円少量は割高、最低料金設定あり
美容室専門業者5,000〜10,000円小規模サロン向けプランあり
複数店舗共同回収3,000〜6,000円近隣サロンと共同契約

3. 容器の分別による処理費削減

  • 完全に使い切る:容器に残った薬剤を最後まで使用
  • 容器を洗浄:水で軽くすすぎ、薬剤成分を除去
  • プラと金属に分別:アルミチューブは金属くずとして分別
  • 効果:洗浄した容器は通常の廃プラとして処理可能(処理費30〜50%削減)

4. 毛髪のリサイクル・再利用

カット後の毛髪は様々な用途にリサイクルできます。

  • 油吸着材:工場の油漏れ対策用に無料または有料で引き取る業者あり
  • 堆肥原料:農業用の肥料原料として売却(要相談)
  • 美容専門学校への寄付:練習用として無料引き取り
  • アート作品材料:アーティストへの提供

処理業者選定のポイント

美容室向け業者選定チェックリスト

  • ✓ 産業廃棄物収集運搬業許可(廃酸・廃アルカリ・廃プラ)
  • ✓ 美容室の処理実績(美容業界に特化しているか)
  • ✓ 少量排出への対応(月間10kg未満でも対応可能か)
  • ✓ 処理費用の明確性(kg単価または容器単価)
  • ✓ 回収頻度の柔軟性(月1回、2ヶ月に1回など選択可能か)
  • ✓ 専用容器の貸与(廃薬剤保管用の容器を無料貸与)
  • ✓ マニフェスト管理(電子マニフェスト対応か)
  • ✓ 緊急時の対応(臨時回収の可否)

複数店舗での共同回収

近隣の美容室と共同で処理業者と契約すると、スケールメリットでコスト削減できます。

  • 3〜5店舗で共同契約 → 各店舗の処理費用が30〜40%削減
  • 回収日をローテーション → 各店舗の負担を均等化
  • 美容組合での一括契約 → さらに大幅なコスト削減

よくあるトラブルと対処法

トラブル1:下水に流して自治体から指摘

事例:カラー剤を洗い流し、下水道局からpH異常の指摘
リスク:改善命令、場合によっては罰金
対策:薬剤の付いたクロスは水洗いせず、専用容器で保管後に産廃処理

トラブル2:処理業者が回収に来なくなった

事例:少量排出のため業者が採算が合わず回収拒否
リスク:廃薬剤が店内に溜まり、保管基準違反
対策:美容室専門業者または近隣サロンと共同契約

トラブル3:薬剤の混合による発熱・発煙

事例:異なる薬剤を同じ容器に入れて化学反応が発生
リスク:火災、有毒ガスの発生
対策:カラー剤・パーマ液・ブリーチ剤は必ず別容器で保管

環境配慮型サロンとしてのブランディング

適切な廃棄物管理は、サステナブルサロンとしての差別化につながります。

マーケティング活用例

  • 店頭・HPでのアピール:「廃薬剤の適正処理を実施」「環境に配慮したサロン」
  • オーガニックカラーの導入:植物由来の低刺激カラー剤を使用
  • サステナブル認証の取得:エコサロン認証、環境省の「エコアクション21」
  • SNSでの発信:廃棄物削減の取り組みをInstagramやTwitterで紹介
  • 顧客満足度向上:環境意識の高い顧客層を獲得

サステナブルサロンの具体例

  • 詰め替え式シャンプーの導入 → プラ容器削減
  • 節水シャワーヘッド → 水使用量30%削減
  • LED照明 → 電気代・CO2削減
  • 毛髪リサイクル → 油吸着材として寄付

まとめ:美容室の廃棄物管理で経営効率化

美容室の廃棄物管理は、法令遵守と経営効率化の両立が可能な分野です。以下のステップで取り組むことをお勧めします。

  1. 現状把握:1ヶ月間、廃薬剤の種類と量を記録
  2. 法令確認:下水道法、廃棄物処理法の該当確認
  3. 薬剤使用量の削減:適正量調合のマニュアル化
  4. 分別の徹底:カラー剤・パーマ液・容器を分別保管
  5. 業者の最適化:美容室専門業者または共同契約でコスト削減
  6. スタッフ教育:適正処理の重要性を全員で共有
  7. 環境ブランディング:サステナブルサロンとして差別化

薬剤使用量の最適化と処理業者の見直しにより、年間3〜10万円のコスト削減を実現したサロンも多数あります。適切な廃棄物管理は、経営効率化と環境配慮の両立が可能な重要テーマです。

よくある質問

Qカット後の毛髪は産業廃棄物ですか?
A

いいえ。毛髪は産業廃棄物ではなく事業系一般廃棄物として処理します。自治体のルールに従って廃棄してください。

Qカラー剤を下水に流してはいけない理由は?
A

水質汚濁の原因となり、下水道法違反になる可能性があります。また、環境への悪影響も懸念されます。

Q少量の廃薬剤も業者委託が必要ですか?
A

量に関わらず適正処理が必要ですが、少量の場合は複数店舗でまとめて処理するなど、効率的な方法を検討してください。

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この記事を書いた人

R

現場の窓口 編集部

運営: 合同会社Radineer

解体工事・アスベスト調査・土壌汚染調査・産業廃棄物処理の一括見積もりサービスを運営。 全国2,500社以上の審査済み業者と提携し、累計15万件以上の見積もり実績があります。

提携業者

2,500社以上

見積もり実績

15万件以上

満足度

97.8%

参照・引用元

  • 環境省-廃棄物処理法、マニフェスト制度
  • 都道府県-産業廃棄物処理業許可制度
  • 国土交通省-建設リサイクル法

※ 各省庁の公開情報および当サイト提携業者からの提供データに基づき作成しています

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  • 2025-03-01記事作成