建設現場の廃棄物処理の基本
建設現場から出る廃棄物は、ほぼすべてが「産業廃棄物」に分類されます。適正な処理を怠ると、排出事業者(元請業者)に法的責任が及びます。
建設業における産廃処理は、単なるコストではなく、法令遵守とプロジェクト成功の重要な要素です。不適切な処理は、工事の中止命令、罰金、さらには会社の信用失墜につながります。
⚠️ 元請業者の責任
建設工事の場合、元請業者が排出事業者となります。下請業者が直接処理業者と契約することは原則できません。元請は全体の廃棄物管理責任を負います。
建設現場から出る主な産業廃棄物
| 品目 | 具体例 | 処理費用目安 | リサイクル率 |
|---|---|---|---|
| がれき類 | コンクリート、ブロック、レンガ | 3,000〜6,000円/m³ | 99% |
| アスファルトがれき | 舗装材 | 2,000〜4,000円/m³ | 99% |
| 木くず | 建築廃材、型枠、梱包材 | 10〜30円/kg | 95% |
| 廃プラスチック | ビニールシート、配管、断熱材 | 30〜80円/kg | 85% |
| 金属くず | 鉄筋、アルミサッシ、配線 | 買取または無料 | 95% |
| ガラス・陶磁器くず | 窓ガラス、タイル、便器 | 20〜40円/kg | 70% |
| 石膏ボード | 内装材 | 15〜35円/kg | 75% |
| 混合廃棄物 | 分別できない廃材 | 50〜100円/kg | 20% |
品目別の処理のポイント
がれき類
- コンクリートがれきはリサイクル率99%と非常に高い
- 破砕後、路盤材や再生骨材として利用
- 鉄筋コンクリートは鉄筋を分離してから破砕
- アスベスト含有の場合は特管産廃として処理
木くず
- 建設業から出る木くずは産業廃棄物
- チップ化して製紙原料、ボード原料、燃料に再利用
- 防腐処理材、塗装材は分別が必要
- 釘・金具は事前に取り除く
混合廃棄物
- 分別すれば10〜30円/kgの品目が、混合だと50〜100円/kgになる
- リサイクル率も20%程度と低く、ほとんどが焼却・埋立
- 分別を徹底することで処理費用を30〜50%削減可能
建設リサイクル法の義務
建設リサイクル法(正式名:建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律)では、一定規模以上の建設工事で、特定建設資材の分別解体・リサイクルが義務付けられています。
対象工事の規模
| 工事種類 | 対象規模 |
|---|---|
| 建築物の解体工事 | 床面積80m²以上 |
| 建築物の新築・増築工事 | 床面積500m²以上 |
| 建築物の修繕・模様替え工事 | 請負金額1億円以上 |
| 建築物以外の工事(土木工事等) | 請負金額500万円以上 |
特定建設資材
- コンクリート:再生クラッシャラン等として再資源化
- コンクリート及び鉄から成る建設資材:鉄とコンクリートに分離して再資源化
- 木材:チップ化して再資源化
- アスファルト・コンクリート:再生加熱アスファルト混合物等として再資源化
届出手続き
- 事前届出:工事着手7日前までに都道府県知事へ届出
- 分別解体等の計画書を作成・添付
- 再資源化等報告書を工事完了後に提出
- 発注者への説明義務
⚠️ 違反時の罰則
建設リサイクル法に違反すると、50万円以下の罰金が科される可能性があります。また、工事の中止命令が出ることもあり、プロジェクト全体に大きな影響を及ぼします。
マニフェスト管理のポイント
マニフェスト(産業廃棄物管理票)は、廃棄物が適正に処理されたことを証明する重要な書類です。
マニフェストの基本ルール
- 交付義務者:排出事業者(元請業者)がマニフェストを交付
- 交付単位:品目ごと、運搬先ごとに分けて交付
- 保存期間:5年間の保存義務
- 報告義務:都道府県に年次報告(6月30日まで)
マニフェストの流れ
- A票:排出事業者が保管(廃棄物引き渡し時)
- B1票:運搬業者から排出事業者へ返送(運搬終了後10日以内)
- B2票:処分業者から排出事業者へ返送(運搬終了後10日以内)
- D票:処分業者から排出事業者へ返送(処分終了後10日以内)
- E票:最終処分業者から排出事業者へ返送(最終処分終了後10日以内)
電子マニフェストの導入
年間50トン以上の特別管理産業廃棄物を排出する事業者は、電子マニフェストの使用が義務化されています(2020年4月〜)。建設業でも、アスベスト含有建材を扱う大規模工事では対象となります。
電子マニフェストのメリット
- リアルタイムで処理状況を確認
- 紙の保管スペース不要
- 年次報告が不要(自動集計)
- 返送遅延が即座に分かる
現場での廃棄物管理の実務
1. 分別容器の設置
現場には最低5種類の分別容器を設置しましょう:
- コンクリートがれき:青色コンテナ
- 木くず:茶色コンテナ
- 金属くず:グレーコンテナ
- 廃プラスチック:黄色コンテナ
- その他:白色コンテナ
2. 作業員への周知
- 朝礼で分別ルールを徹底
- 分別ポスターを現場に掲示
- 外国人労働者向けに多言語対応
- 定期的な巡回チェック
3. 費用削減のコツ
- 分別の徹底:混合廃棄物を減らす
- 排出量の削減:プレカット材の使用、残材の再利用
- 複数社見積もり:処理業者3社以上から見積もり
- 定期回収契約:単発より安くなる
- 売却できるものは売却:金属くず、アルミサッシ等
建設現場の廃棄物処理費用の実例
ケース1:木造住宅解体工事(100m²)
- 木くず:2トン × 20円/kg = 40,000円
- がれき類:5m³ × 4,000円/m³ = 20,000円
- 金属くず:300kg(買取で+3,000円)
- 廃プラ等:500kg × 50円/kg = 25,000円
- 合計:約82,000円(金属買取分差引後)
ケース2:RC造ビル解体工事(500m²)
- コンクリートがれき:150m³ × 5,000円/m³ = 750,000円
- 鉄筋:15トン(買取で+150,000円)
- 混合廃棄物:3トン × 70円/kg = 210,000円
- 石膏ボード:1トン × 25円/kg = 25,000円
- 合計:約835,000円(鉄筋買取分差引後)
まとめ
建設現場の廃棄物処理は、以下の3つがポイントです:
- 分別の徹底:混合廃棄物を減らし、コスト削減
- 建設リサイクル法の遵守:届出、分別解体、再資源化
- マニフェスト管理:返送期限の確認、5年間保存
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よくある質問
Q建設現場の廃棄物は誰が排出事業者になりますか?
元請業者が排出事業者になります。下請業者が直接産廃業者に委託することは原則できません。
Q混合廃棄物を減らすメリットは?
処理費用が大幅に削減できます。分別すれば10〜30円/kgの品目が、混合廃棄物だと50〜100円/kgになります。
Q建設リサイクル法に違反するとどうなりますか?
50万円以下の罰金が科される可能性があります。また、行政処分として工事の中止命令が出ることもあります。
Q現場で出たゴミを自社で処理できますか?
産業廃棄物処理業の許可がなければ、自社処理はできません。ただし、自社工場への持ち帰り後の保管は一定条件下で可能です。