物流・倉庫業における廃棄物の課題
物流センターや倉庫からは大量の梱包材や保管資材が日々発生します。EC市場の拡大により、物流業の廃棄物発生量は年々増加しており、適切な分別とリサイクルによるコスト削減が経営上の重要課題となっています。
物流廃棄物の特徴は、量が多い、毎日発生する、種類が多様という3点です。これらの特徴を踏まえた効率的な処理体制の構築が求められます。
物流業から出る主な廃棄物
| 廃棄物 | 法的分類 | 処理方法 | 発生頻度 |
|---|---|---|---|
| 段ボール | 事業系一般廃棄物 | 有価売却(古紙回収) | 毎日・大量 |
| ストレッチフィルム | 産業廃棄物(廃プラ) | リサイクル可能 | 毎日・大量 |
| PPバンド | 産業廃棄物(廃プラ) | リサイクル可能 | 毎日・中量 |
| 発泡スチロール | 産業廃棄物(廃プラ) | 減容機で圧縮後リサイクル | 毎日・大量 |
| 木製パレット | 産業廃棄物(木くず) | リサイクルまたは産廃処理 | 定期的 |
| プラスチックパレット | 産業廃棄物(廃プラ) | リサイクル可能 | 不定期 |
| エアキャップ(プチプチ) | 産業廃棄物(廃プラ) | リサイクル可能 | 毎日・中量 |
| 緩衝材(紙製) | 事業系一般廃棄物 | 古紙回収 | 毎日 |
| 破損商品 | 種類により異なる | 内容物による | 不定期 |
段ボールの処理とリサイクル
物流業で最も大量に発生するのが段ボールです。きれいな段ボールは有価物として売却できます。
段ボール処理のポイント
- 分別保管:汚れた段ボールと分ける(汚れたものは産廃扱い)
- 圧縮保管:潰してベール(梱包)にまとめる
- プレス機の導入:大量発生する倉庫では梱包機が効率的
- 定期回収契約:古紙回収業者と契約すれば買取してくれる
段ボールの買取価格
| 品質 | 買取単価 | 備考 |
|---|---|---|
| 上白(新品同様) | 3〜8円/kg | 印刷なし、汚れなし |
| 段ボール(一般) | 2〜6円/kg | 通常の使用済み段ボール |
| 雑紙(混合) | 1〜3円/kg | 汚れあり、雑多な紙類 |
※相場は古紙市況により変動します
ストレッチフィルムとPPバンドの処理
これらは産業廃棄物(廃プラスチック類)として処理しますが、分別すればリサイクル可能でコスト削減できます。
プラスチック梱包材の処理方法
- ストレッチフィルム:専用回収袋に集めて圧縮、リサイクル業者へ
- PPバンド:種類別(透明・色付き)に分別して回収
- 混合禁止:異物混入はリサイクル単価を下げる原因に
処理費用の比較
| 処理方法 | 費用相場 | 特徴 |
|---|---|---|
| 混合廃棄物として処理 | 50,000〜70,000円/㎥ | 最も高コスト |
| 廃プラとして分別処理 | 30,000〜45,000円/㎥ | 中コスト |
| 種類別リサイクル | 15,000〜25,000円/㎥ | 最も低コスト |
発泡スチロールの処理と減容機
発泡スチロールは体積が大きく運搬コストがかさむ廃棄物です。減容機の導入で劇的にコスト削減できます。
減容機の種類と効果
| 方式 | 圧縮率 | 導入費用 | ランニングコスト |
|---|---|---|---|
| 溶融式 | 1/50〜1/90 | 100〜300万円 | 電気代月1〜3万円 |
| 圧縮式 | 1/10〜1/30 | 50〜150万円 | 電気代月5千〜1万円 |
| 破砕式 | 1/5〜1/10 | 30〜80万円 | 電気代月3千〜8千円 |
減容機導入のメリット
- 運搬費削減:体積が1/50になれば運搬回数も1/50に
- 保管スペース削減:倉庫内の廃棄物保管場所を削減
- インゴット売却:溶融式で作ったインゴットは買取対象(5〜15円/kg)
- 作業効率化:手作業での梱包作業が不要に
投資回収期間の試算例
前提条件:月間発泡スチロール排出量 10㎥の倉庫
- 現状処理費:70,000円/㎥ × 10㎥ = 70万円/月
- 減容機導入後:圧縮して0.2㎥、インゴット売却で15,000円の収入
- 削減効果:約68.5万円/月
- 減容機費用:150万円(溶融式)
- 投資回収:約2.2ヶ月
パレットの処理とリユース
物流業で大量に使用されるパレットは、処理方法の選択で大きくコストが変わります。
パレットの処理方法と費用
| パレット種類 | 処理方法 | 費用相場 | おすすめ度 |
|---|---|---|---|
| 木製パレット(良品) | リペア業者に売却 | -50〜100円/枚(買取) | ★★★ |
| 木製パレット(破損) | 木くずとして処理 | 8,000〜15,000円/㎥ | ★★ |
| プラスチックパレット(良品) | 中古市場で売却 | -200〜500円/枚(買取) | ★★★ |
| プラスチックパレット(破損) | 廃プラとして処理 | 30,000〜50,000円/㎥ | ★ |
リターナブルパレットの活用
使い捨てパレットからリターナブル(通い)パレットに切り替えることで、廃棄物を根本から削減できます。
- JPR(日本パレットレンタル):月額制でパレットを借りる
- デポジット方式:取引先とパレットを循環利用
- 自社所有:プラスチック製を購入し長期使用
物流業向け廃棄物処理の費用相場
| 廃棄物 | 単位 | 処理費用 | コスト削減策 |
|---|---|---|---|
| 段ボール(有価売却) | kg | -2〜6円(収入) | きれいに保管、圧縮 |
| ストレッチフィルム | ㎥ | 30,000〜45,000円 | 分別リサイクル |
| 発泡スチロール | ㎥ | 50,000〜80,000円 | 減容機導入 |
| 木製パレット | ㎥ | 8,000〜15,000円 | リペア業者に売却 |
| 混合廃棄物 | ㎥ | 50,000〜70,000円 | 分別徹底 |
廃棄物削減のベストプラクティス
1. 発生抑制(リデュース)
- 過剰梱包の削減:必要最小限の梱包材使用
- リターナブル資材の導入:通い箱、通いパレットの活用
- 簡易包装の推進:取引先と協議して梱包基準を見直し
2. 再使用(リユース)
- 段ボールの再利用:きれいなものは社内で再使用
- 緩衝材の再利用:入荷時の緩衝材を出荷時に再利用
- パレットのメンテナンス:修理して長期使用
3. リサイクル推進
- 分別の徹底:材質別に分けて保管
- 従業員教育:正しい分別方法を全員が理解
- リサイクル業者との連携:定期回収契約で効率化
大型物流センター向けの廃棄物管理システム
効率的な廃棄物管理のポイント
- 廃棄物保管場所の設計:動線を考慮した配置
- 圧縮機・減容機の配置:作業効率を考えた設置場所
- 計量システム:排出量を可視化して削減目標を設定
- 定期回収スケジュール:業者との調整で保管量を最小化
廃棄物管理の成功事例
事例:大手EC物流センター(延床面積20,000㎡)
課題:月間廃棄物処理費600万円、保管スペース圧迫
対策:
- 発泡スチロール溶融減容機の導入(3台)
- 段ボール自動梱包機の導入
- プラスチック類の徹底分別
- リターナブル通い箱の導入
効果:
- 月間処理費を210万円削減(35%減)
- 廃棄物保管スペースを60%削減
- 作業時間を1日あたり3時間削減
- 投資回収期間:14ヶ月
法令遵守と許可業者の選定
物流業で注意すべき法令
- 廃棄物処理法:産業廃棄物の適正処理義務
- マニフェスト制度:産廃処理の委託時に交付義務
- 保管基準:高さ制限、飛散防止措置など
- 容器包装リサイクル法:大規模事業者は再商品化義務
処理業者選定のポイント
- □ 産業廃棄物収集運搬業・処分業の許可保有
- □ 対象の廃棄物種類が許可に含まれている
- □ 定期回収の対応可否
- □ 夜間・休日の回収対応可否(24時間稼働倉庫の場合)
- □ リサイクル施設の有無
- □ 処理施設の見学が可能
- □ 電子マニフェスト対応
- □ 優良産廃処理業者認定の有無
よくあるトラブルと対処法
ケース1:回収業者が来ない日があり廃棄物が溢れた
対処法:予備の回収業者を確保しておく。繁忙期は回収頻度を増やす契約にする。
ケース2:段ボールが汚れて買取不可になった
対処法:保管場所を屋内にし、雨濡れを防ぐ。汚れたものは最初から分けて保管。
ケース3:分別が現場で徹底されない
対処法:分別容器を分かりやすく配置し、写真付きの掲示物を設置。定期的に教育研修を実施。
まとめ:物流廃棄物管理の3ステップ
- 分別の徹底:材質別に分けてリサイクル率を向上
- 設備投資:減容機・圧縮機で処理費を大幅削減
- リターナブル化:使い捨てから循環利用へ転換
物流業の廃棄物は量が多いからこそ、適切な管理でコスト削減効果が大きくなります。まずは現状の排出量を把握し、優先順位をつけて対策を進めましょう。
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よくある質問
Q段ボールは産業廃棄物ですか?
物流業から出る段ボールは事業系一般廃棄物です。きれいなものは有価物として古紙回収業者に売却できます。
Qパレットの処理費用は?
木製パレットは木くずとして8,000〜15,000円/㎥程度です。リサイクル業者への売却やリペア再利用も検討してください。
Q発泡スチロールの減容機は効果がありますか?
はい。体積を1/50程度に圧縮でき、運搬費と処理費を大幅に削減できます。圧縮後はインゴットとして有価売却も可能です。