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製造業の産業廃棄物処理【工場から出る廃棄物の種類と対策】

更新: 2025-02-1615分で読める2026年1月確認済み

製造業における産業廃棄物管理の重要性

製造業は日本の産業廃棄物排出量の約80%を占める最大の排出業種です。工場から出る廃棄物の適正処理は、法令遵守はもちろん、環境保護やコスト管理の観点からも非常に重要です。近年、SDGsや脱炭素社会への関心の高まりとともに、製造業における廃棄物削減とリサイクル推進の重要性はますます高まっています。

環境省の統計によると、製造業からの産業廃棄物排出量は年間約3億5,000万トンに達し、そのうち約半分が汚泥、次いで鉱さい、がれき類、金属くずと続きます。業種によって排出される廃棄物の種類や量は大きく異なり、自社の業種特性を理解した上で適切な処理体制を構築することが必要です。

製造業から出る主な廃棄物

製造業の工場からは、業種によって様々な産業廃棄物が発生します。廃棄物処理法では産業廃棄物を20種類に分類しており、製造業ではそのほぼ全てが該当する可能性があります。

業種別の主要廃棄物と年間排出量

業種主な廃棄物年間排出量目安主な処理方法
金属加工業金属くず、廃油、汚泥50〜500トン/年リサイクル、中間処理
プラスチック成形廃プラスチック、ランナー30〜300トン/年リサイクル、焼却
食品製造動植物性残さ、汚泥100〜1,000トン/年肥料化、飼料化
繊維製造繊維くず、廃油20〜200トン/年焼却、リサイクル
化学工業廃酸、廃アルカリ、汚泥100〜5,000トン/年中和、焼却、埋立
電子部品製造汚泥、廃酸、廃プラ50〜400トン/年中和、焼却、金属回収
木材加工木くず、おがくず100〜800トン/年チップ化、燃料化
印刷業紙くず、廃油、廃インク20〜150トン/年リサイクル、焼却

廃棄物種類別の詳細と処理方法

1. 金属くず(最も有価売却の可能性が高い)

金属加工業や機械製造業から大量に発生する金属くずは、適切に分別すれば有価物として売却できる重要な資源です。

  • 鉄くず:切削屑、プレス端材、廃機械部品など。買取価格10〜30円/kg
  • アルミくず:アルミサッシ、アルミ缶、ダイカスト屑など。買取価格80〜150円/kg
  • 銅くず:電線、配管、真鍮部品など。買取価格500〜900円/kg
  • ステンレスくず:タンク、配管、部品など。買取価格80〜120円/kg
  • 貴金属含有屑:電子基板、触媒など。高価買取の可能性あり

2. 廃油(適正処理が重要)

工場から出る廃油は、引火点70℃未満のものは特別管理産業廃棄物として厳格な管理が必要です。

  • 切削油・研削油:金属加工で使用。水溶性と非水溶性があり、分別が必要
  • 潤滑油・作動油:機械設備のメンテナンスで発生。再生油として買取可能な場合も
  • 洗浄油・溶剤:部品洗浄で使用。引火性が高く特管産廃になることが多い
  • 廃油処理費用:50〜150円/kg(性状により変動)

3. 汚泥(製造業で最も排出量が多い)

排水処理や製造工程で発生する汚泥は、製造業の廃棄物の中で最も排出量が多く、処理費用もかさみます。

  • 排水処理汚泥:工場排水の浄化処理で発生。含水率により処理費用が変動
  • めっき汚泥:重金属を含むため特別管理産業廃棄物。処理費用80〜200円/kg
  • 研磨汚泥:研磨・研削工程で発生。金属粉を含む
  • 脱水汚泥:含水率を下げることで処理費用を削減可能

4. 廃プラスチック類

包装材、成形不良品、製品端材など多様な廃プラスチックが発生します。単一素材に分別すればリサイクル可能です。

  • 包装材(ストレッチフィルム等):圧縮梱包してリサイクル。処理費用30〜50円/kg
  • 成形不良品・ランナー:粉砕後、再生原料として売却可能(PP、PE、PSなど)
  • 発泡スチロール:減容機で体積を1/50に削減可能。処理費用40〜80円/kg
  • 混合プラ:分別困難なもの。処理費用50〜100円/kg

5. 廃酸・廃アルカリ(化学工場で多発)

化学工業や表面処理業で発生する廃酸・廃アルカリは、pH2.0以下または12.5以上のものは特別管理産業廃棄物となります。

  • 廃酸:硫酸、塩酸、硝酸、写真定着液など
  • 廃アルカリ:苛性ソーダ、現像液など
  • 処理方法:中和処理後、排水または汚泥として処理
  • 処理費用:50〜200円/L(濃度により変動)

有価物として売却できるものの最大化

廃棄物を「ゴミ」として処理費用を払うのではなく、有価物として売却することでコスト削減が可能です。

有価売却可能な品目と買取価格相場

品目条件買取価格(2024年相場)分別のポイント
鉄くず混入物なし10〜30円/kgステンレスと分ける
アルミくず純度高い80〜150円/kg塗装付きは減額
銅くず電線、配管500〜900円/kg被覆は除去する
ステンレスSUS304等80〜120円/kg種類別に分別
真鍮くず混入物なし400〜600円/kgメッキ品は減額
段ボール濡れてない5〜10円/kg汚れたものは除外
古紙種類別分別3〜8円/kgシュレッダー紙は減額
廃油(再生可能)水分混入なし買取〜20円/L種類を混ぜない
PP/PE端材単一素材買取〜30円/kg色別に分別すると高値

製造業における廃棄物処理費用の実態

製造業の廃棄物処理費用は、業種や規模によって大きく異なります。以下は標準的な費用相場です。

処理費用の相場(2024年全国平均)

廃棄物の種類処理費用(円/kg)運搬費用(円/kg)合計目安
混合廃棄物50〜8010〜2060〜100円/kg
廃プラスチック40〜7010〜1550〜85円/kg
木くず10〜255〜1015〜35円/kg
汚泥(一般)30〜6010〜2040〜80円/kg
めっき汚泥(特管)80〜20015〜3095〜230円/kg
廃油(一般)40〜10010〜2050〜120円/kg
廃油(特管・引火性)80〜15015〜3095〜180円/kg
ガラスくず20〜4010〜1530〜55円/kg
がれき類3〜83〜56〜13円/kg

年間処理費用の目安:

  • 小規模工場(従業員20名以下):年間100〜300万円
  • 中規模工場(従業員21〜100名):年間300〜1,500万円
  • 大規模工場(従業員101名以上):年間1,500万円〜数億円

コスト削減のための具体的施策

1. 徹底した分別によるコスト削減

混合廃棄物の処理費用は単一品目の2〜3倍になります。分別を徹底することで大幅なコスト削減が可能です。

  • 分別保管スペースを工場内に複数設置
  • 廃棄物の種類ごとにラベルを貼ったコンテナを配置
  • 作業員への分別教育を定期的に実施
  • 分別チェックシートを活用して適正分別を確認

2. 発生抑制(リデュース)の推進

廃棄物の発生そのものを減らすことが最も効果的なコスト削減策です。

  • 工程改善:歩留まり向上、不良品削減により廃棄物発生を抑制
  • 原材料の見直し:廃棄物が少ない材料への変更
  • 包装材の削減:通い箱の導入、過剰包装の見直し
  • 設備メンテナンス:機械の精度向上により不良品削減

3. 再使用(リユース)・再生利用(リサイクル)の推進

  • 端材の社内リサイクル:プラスチック端材を粉砕して再利用
  • 木パレットの修理再利用:壊れたパレットを修理して繰り返し使用
  • 梱包材の再利用:段ボールや緩衝材を繰り返し使用
  • 金属スクラップの再生:自社で溶解して再利用(設備がある場合)

4. 処理業者の定期的な見直し

処理費用は業者によって20〜30%の差が出ることもあります。定期的な見積もり比較が重要です。

  • 年に1回は複数社から相見積もりを取得
  • 処理ルートの透明性を確認
  • 優良産廃処理業者認定制度(優良認定)を持つ業者を優先
  • 電子マニフェスト対応業者を選定し、管理コストも削減

5. 排出量の見える化と目標設定

  • 月次で廃棄物種類別の排出量を記録
  • 生産量あたりの原単位(廃棄物量/生産量)を算出
  • 前年比○%削減などの具体的な目標を設定
  • 削減成果を従業員と共有し、モチベーション向上

法令遵守のポイント

1. 委託契約書の締結

処理業者と書面による委託契約を締結することが法律で義務付けられています。

  • 契約書には処理業者の許可証の写しを添付
  • 委託する廃棄物の種類、数量、処理方法を明記
  • 契約書は契約終了後5年間保存

2. マニフェスト(管理票)の交付・管理

産業廃棄物を委託処理する際は必ずマニフェストを交付し、返送票を確認する義務があります。

  • 廃棄物の引き渡し時に7枚つづりのマニフェストを交付
  • B2票、D票、E票の返送を確認(期限内に返送されない場合は都道府県に報告)
  • マニフェストは5年間保存
  • 電子マニフェストの導入で管理業務を効率化

3. 保管基準の遵守

事業場内での廃棄物保管には基準があります。

  • 保管場所に「産業廃棄物保管場所」の掲示板を設置(縦横60cm以上)
  • 保管量は1日あたりの平均排出量の7日分以下
  • 飛散・流出防止措置、悪臭対策を実施
  • 種類ごとに区分して保管

特別管理産業廃棄物を排出する場合の注意点

製造業では、廃油、廃酸、廃アルカリ、めっき汚泥など、特別管理産業廃棄物を排出する場合があるため、特に注意が必要です。

特別管理産業廃棄物管理責任者の選任

  • 特管産廃を排出する場合、管理責任者の選任が義務
  • 資格:技術管理者講習の修了、環境計量士、公害防止管理者など
  • 選任後、都道府県に届出

特管産廃の委託基準

  • 特別管理産業廃棄物の許可を持つ業者に委託
  • 特別管理産業廃棄物管理票(特管マニフェスト)を使用
  • E票の返送期限は60日以内(通常産廃は180日)

ISO14001と廃棄物管理

環境マネジメントシステムISO14001を取得している工場では、廃棄物管理も環境側面の重要な項目となります。

  • 環境目標に廃棄物削減目標を設定
  • 廃棄物データの記録と定期的なレビュー
  • 法令遵守の確認とマニフェスト管理の徹底
  • 内部監査での廃棄物管理体制のチェック

まとめ

製造業における産業廃棄物の適正処理は、法令遵守、環境保護、コスト削減のすべてに関わる重要な経営課題です。分別の徹底、有価物の売却、発生抑制の推進により、年間数百万円単位のコスト削減も可能です。また、適正処理を怠ると罰則の対象となるだけでなく、企業の社会的信用を失うリスクもあります。

まずは自社の廃棄物排出状況を正確に把握し、改善余地のある部分から取り組みを始めましょう。当サイトでは、マニフェストの書き方処理フローの詳細についても解説していますので、併せてご参照ください。

よくある質問

Q金属くずの買取価格の目安は?
A

鉄くずは10〜30円/kg、アルミは80〜150円/kg、銅は500〜800円/kg程度です(相場により変動)。

Q工場の廃棄物管理責任者は必要ですか?
A

特別管理産業廃棄物を排出する場合は管理責任者の設置が義務です。通常の産廃のみなら法的義務はありませんが、担当者を決めることを推奨します。

Q廃棄物処理の社内教育は必要ですか?
A

はい。分別ルールの周知、マニフェストの取り扱い、不法投棄のリスクなどを従業員に教育することが重要です。

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この記事を書いた人

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現場の窓口 編集部

運営: 合同会社Radineer

解体工事・アスベスト調査・土壌汚染調査・産業廃棄物処理の一括見積もりサービスを運営。 全国2,500社以上の審査済み業者と提携し、累計15万件以上の見積もり実績があります。

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満足度

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参照・引用元

  • 環境省-廃棄物処理法、マニフェスト制度
  • 都道府県-産業廃棄物処理業許可制度
  • 国土交通省-建設リサイクル法

※ 各省庁の公開情報および当サイト提携業者からの提供データに基づき作成しています

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  • 2025-02-16記事作成