医療廃棄物とは
医療廃棄物は、医療機関から排出される廃棄物の総称です。その中でも「感染性廃棄物」は特別管理産業廃棄物として、厳格な処理が求められます。
医療機関では、感染症の拡大を防ぐため、廃棄物の適正な分別と処理が極めて重要です。誤った処理は、医療従事者や廃棄物処理業者の感染リスクを高めるだけでなく、医療機関の信頼を大きく損ないます。
⚠️ 重要
感染性廃棄物の判断を誤ると、感染症の拡大や法令違反につながります。判断に迷う場合は、安全側に判断して「感染性廃棄物」として処理してください。
感染性廃棄物の分類
感染性廃棄物は、形状と性質により以下のように分類され、それぞれ専用の容器に分別します。
| 分類 | 具体例 | 容器の色 | 容器の種類 |
|---|---|---|---|
| 感染性・鋭利物 | 注射針、メス、アンプル、破損したガラス器具 | 黄色 | 耐貫通性容器(プラスチック製) |
| 感染性・固形物 | 血液付着ガーゼ、手袋、マスク、カテーテル | 橙色 | 密閉可能な袋または容器 |
| 感染性・液状物 | 血液、体液、培養液 | 橙色 | 液漏れ防止容器 |
| 病理廃棄物 | 臓器、組織、血液製剤 | 橙色 | 密閉容器 |
容器の表示義務
感染性廃棄物の容器には、以下を明記する必要があります:
- 「感染性廃棄物」または「感染性」の文字
- バイオハザードマーク(国際的に認識される赤色のマーク)
- 医療機関名
処理費用の目安
感染性廃棄物の処理費用は、通常の産業廃棄物の2〜3倍かかります。
| 廃棄物の種類 | 処理費用目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 感染性廃棄物(焼却処理) | 80〜150円/kg | 最も一般的な処理方法 |
| 感染性廃棄物(溶融処理) | 100〜180円/kg | 高温で完全に溶解 |
| 注射針等の鋭利物 | 100〜200円/kg | 専用容器代込み |
| 非感染性廃棄物 | 30〜50円/kg | 通常の産廃と同等 |
クリニックの処理費用例(月額)
- 内科クリニック:感染性廃棄物20kg/月 → 月額1,600〜3,000円
- 歯科クリニック:感染性廃棄物10kg/月 → 月額800〜1,500円
- 小規模病院(50床):感染性廃棄物500kg/月 → 月額40,000〜75,000円
感染性廃棄物の判断基準
感染性廃棄物かどうかは、環境省の「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」に従って判断します。
1. 形状基準
以下の形状のものは、排出場所に関わらず感染性廃棄物です:
- 血液:血液、血清、血漿、体液(胸水、腹水等)
- 病理廃棄物:手術等で摘出された臓器、組織
- 鋭利物:注射針、メス、破損したガラス器具
- 血液等が付着した鋭利物:血液の付着したガラス製品等
2. 排出場所基準
以下の場所から排出されるものは、感染性廃棄物として扱います:
- 手術室:手術で使用したガーゼ、ドレープ等
- 集中治療室:ICU、CCU等で使用した医療材料
- 感染症病室:結核、MRSA等の感染症患者の病室
- 検査室:微生物検査に使用した培地、試験管等
3. 感染症基準
感染症法で定める一類・二類・三類感染症、新型インフルエンザ等の患者に係る廃棄物は、すべて感染性廃棄物です。
💡 判断に迷ったら
感染性かどうか判断に迷う場合は、安全側に判断して「感染性廃棄物」として処理してください。これは環境省のガイドラインでも推奨されている対応です。
マニフェストの注意点
感染性廃棄物は特別管理産業廃棄物に該当するため、通常の産業廃棄物とは別にマニフェストを交付する必要があります。
マニフェストの記載事項
- 廃棄物の種類:「感染性廃棄物」と明記
- 数量:重量(kg)で記載
- 取り扱い上の注意:「感染性あり」等
- 許可番号:収集運搬業者、処分業者の特管産廃許可番号
電子マニフェスト義務化
年間50トン以上の特別管理産業廃棄物を排出する医療機関は、電子マニフェストの使用が義務化されています(2020年4月〜)。
対象となる医療機関の目安:
- 病床数100床以上の病院
- 外来患者数200人/日以上の病院
特管産廃管理責任者の設置
感染性廃棄物を排出する医療機関は、特別管理産業廃棄物管理責任者を設置する必要があります。
資格要件(以下のいずれか):
- 医師、歯科医師、薬剤師、獣医師、保健師、助産師、看護師
- 衛生工学衛生管理者の資格を有する者
- 大学で医学、薬学、保健学等を修めて卒業した者
- 都道府県等が実施する講習会の修了者
適正処理のチェックリスト
分別段階
- ☐ 感染性廃棄物と非感染性廃棄物を明確に分別している
- ☐ 専用の容器(黄色・橙色)を使用している
- ☐ 容器にバイオハザードマークを表示している
- ☐ 鋭利物は耐貫通性容器に入れている
- ☐ 容器が7〜8割になったら密閉している
保管段階
- ☐ 専用の保管場所を設けている
- ☐ 「感染性廃棄物保管場所」の表示をしている
- ☐ 関係者以外が立ち入れないようにしている
- ☐ 他の廃棄物と混在していない
- ☐ 適切な温度管理(冷蔵保管が必要なものは冷蔵)
委託段階
- ☐ 特管産廃の許可を持つ業者に委託している
- ☐ 委託契約書を締結している
- ☐ マニフェストを交付している
- ☐ マニフェストの返送を確認している
- ☐ 年1回程度、処理施設を現地確認している
コスト削減のポイント
1. 適正な分別
感染性廃棄物と非感染性廃棄物を適正に分別することで、処理費用を30〜50%削減できます。
分別できるもの:
- 未使用の医療材料(開封前)
- 血液が付着していない点滴パック
- 薬品の空き瓶(中身を空にしたもの)
- 患者の私物(新聞、雑誌等)
2. 容器の適切な管理
- 容器に余裕を持たせすぎない(7〜8割で密閉)
- 空気を抜いて容積を減らす
- 適切なサイズの容器を選ぶ
3. 複数社見積もり
処理業者によって価格が大きく異なるため、最低3社から見積もりを取得しましょう。
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よくある質問
Q感染性廃棄物の判断が難しい場合は?
迷う場合は「感染性廃棄物」として処理するのが安全です。環境省のガイドラインでも、安全側に判断することが推奨されています。
Q歯科医院の廃棄物も感染性ですか?
血液が付着したガーゼや使用済み注射針は感染性廃棄物です。石膏模型など血液が付着していないものは通常の産廃として処理できます。
Q在宅医療の廃棄物は誰が処理しますか?
在宅医療廃棄物は市区町村によって取り扱いが異なります。医療機関が回収する場合と、患者が自治体のルールに従って処分する場合があります。
Q感染性廃棄物を分別しないとどうなりますか?
全量を感染性廃棄物として処理する必要があり、費用が2〜3倍に膨らみます。適正な分別が費用削減の鍵です。