基礎知識

土壌汚染の特定有害物質26種類一覧|第一種・第二種・第三種と基準値【2026年版】

最終更新: 2026年5月22日13分で読める2026年1月確認済み

土壌汚染対策法の特定有害物質は何種類ありますか?

土壌汚染対策法の特定有害物質は2026年時点で26種類です。揮発性有機化合物(VOC)の第一種が12種類、重金属等の第二種が9種類、農薬等・PCBの第三種が5種類に分類されます。すべてに地下水経由のリスクを見る溶出量基準が設定され、第二種(重金属等)にはさらに直接摂取リスクを見る含有量基準が設定されています。

この記事の結論

土壌汚染対策法の特定有害物質は2026年時点で26種類あり、揮発性有機化合物の第一種(12種類)、重金属等の第二種(9種類)、農薬等・PCBの第三種(5種類)に分かれます。すべてに溶出量基準が、第二種にはさらに含有量基準が設定されています。実際の調査では地歴調査で対象物質を絞り込み、基準超過時は区域指定の対象となります。

この記事でわかること

  • 特定有害物質は2026年時点で合計26種類(第一種12・第二種9・第三種5)
  • 第一種はVOCで地下水経由、第二種は重金属で直接摂取リスクも考慮、第三種は農薬・PCB
  • 溶出量基準は全物質、含有量基準は第二種(重金属等)のみに設定
  • ベンゼン・トリクロロエチレンは第一種、鉛・砒素・カドミウムは第二種
  • カドミウム・トリクロロエチレン等の基準値は2021年に強化された
  • 26種類すべてではなく地歴調査で対象物質を絞り込んで分析する
  • 基準超過が判明すると要措置区域・形質変更時要届出区域に指定される

土壌汚染の特定有害物質26種類一覧とは

特定有害物質とは、土壌に含まれることで人の健康に害を及ぼすおそれがあるとして土壌汚染対策法施行令で指定された26種類の物質です。性質に応じて第一種(揮発性有機化合物)・第二種(重金属等)・第三種(農薬等)の3グループに区分され、溶出量基準・含有量基準で汚染の有無が判定されます。

「土壌汚染調査の報告書に『第二種特定有害物質の鉛が含有量基準を超過』と書かれていたが、何のことか分からない」——土地の売却や工場跡地の再開発を前に、現場の窓口にはこうした相談が数多く寄せられます。土壌汚染対策法では、人の健康に害を及ぼすおそれのある物質を「特定有害物質」として26種類、3つのグループに分けて定めています。この分類と基準値の意味を理解しておくと、報告書を自分で読み解き、業者の説明が妥当かどうかを判断できるようになります。

本記事では、環境省が告示する特定有害物質26種類を分類ごとに一覧で整理し、「溶出量基準」と「含有量基準」という2種類のものさしの違い、そしてどの物質が自分の土地の調査対象になるのかまでをわかりやすく解説します。土壌汚染対策法の全体像と合わせてご覧ください。

特定有害物質とは|26種類が3グループに分かれる理由

特定有害物質とは、土壌に含まれることで人の健康に影響を及ぼすおそれがあるとして、土壌汚染対策法施行令で指定された物質のことです。2026年時点で合計26種類が定められており、その性質によって第一種・第二種・第三種の3グループに区分されています。グループによって、汚染の広がり方も、適用される基準の種類も異なります。

3つのグループの全体像

分類 性質 物質数 主なリスク経路
第一種 揮発性有機化合物(VOC) 12種類 地下水経由の摂取
第二種 重金属等 9種類 地下水経由+土の直接摂取
第三種 農薬等・PCB 5種類 地下水経由の摂取

第一種と第三種は地下水に溶け出して広がる性質が中心であるのに対し、第二種の重金属類は地下水だけでなく、汚染された土を口や皮膚から直接取り込むリスクも考慮されます。この違いが、次に説明する基準の種類に直結します。

第一種特定有害物質(揮発性有機化合物)12種類

第一種は揮発性有機化合物(VOC)と呼ばれ、常温で蒸発しやすく、地下水に溶け込んで遠くまで移動しやすいのが特徴です。クリーニング店跡地・印刷工場・金属加工工場などで検出されやすいグループです。

第一種に含まれる12物質

  • クロロエチレン(塩化ビニルモノマー)
  • 四塩化炭素
  • 1,2-ジクロロエタン
  • 1,1-ジクロロエチレン
  • 1,2-ジクロロエチレン
  • 1,3-ジクロロプロペン
  • ジクロロメタン
  • テトラクロロエチレン(ドライクリーニング溶剤)
  • 1,1,1-トリクロロエタン
  • 1,1,2-トリクロロエタン
  • トリクロロエチレン(金属脱脂洗浄剤)
  • ベンゼン(ガソリン成分)

テトラクロロエチレンはクリーニングの溶剤、トリクロロエチレンは金属部品の脱脂洗浄、ベンゼンはガソリンや化学原料に由来します。第一種は揮発するため、土壌だけでなく地歴調査の段階で過去の使用業種を丁寧に確認することが重要です。

第二種特定有害物質(重金属等)9種類

第二種は重金属を中心とするグループで、土壌に吸着して動きにくい一方、長期にわたって残留します。第二種だけは「溶出量基準」と「含有量基準」の両方が設定されている点が大きな特徴です。

第二種に含まれる9物質

  • カドミウム及びその化合物
  • 六価クロム化合物
  • シアン化合物
  • 水銀及びその化合物(アルキル水銀を含む)
  • セレン及びその化合物
  • 鉛及びその化合物
  • 砒素(ひ素)及びその化合物
  • ふっ素及びその化合物
  • ほう素及びその化合物

自然由来でも基準を超えることがある

砒素・ふっ素・鉛などは、人為的な汚染がなくても、その土地の地質に由来して基準を超える「自然由来汚染」が起こり得ます。臨海部の埋立地や火山性地質の地域では特に注意が必要で、メッキ工場・鉛蓄電池工場の跡地などでは人為由来の高濃度汚染が見つかることもあります。

第三種特定有害物質(農薬等・PCB)5種類

第三種は農薬やPCB(ポリ塩化ビフェニル)など、特定の用途で使われてきた物質のグループです。検出される土地は限られますが、農地・果樹園跡地や旧変電設備のあった土地では確認が必要になります。

第三種に含まれる5物質

  • シマジン(除草剤)
  • チオベンカルブ(除草剤)
  • チウラム(殺菌剤)
  • ポリ塩化ビフェニル(PCB)
  • 有機りん化合物(パラチオン、メチルパラチオン等)

第三種は第一種と同じく溶出量基準のみが設定されています。PCBは変圧器・コンデンサの絶縁油に使われていたため、古い電気設備を扱っていた敷地では重点的に確認します。なお第三種は検出される土地が限定的なため、一般的な宅地の調査では分析項目から外れることも多く、地歴調査でこれらの使用履歴が確認された場合に限って分析対象に加えるのが通常の進め方です。

「溶出量基準」と「含有量基準」の違い

特定有害物質の判定には、性質の異なる2種類の基準が使われます。報告書を読むうえで最も混同しやすいポイントなので、ここを押さえておきましょう。

基準 想定するリスク 対象
溶出量基準 地下水に溶け出した汚染を飲むリスク 第一種・第二種・第三種すべて
含有量基準 汚染土を直接口や皮膚から取り込むリスク 第二種のみ

代表的な物質の基準値の目安

物質 溶出量基準 含有量基準
ベンゼン 0.01 mg/L以下 設定なし
0.01 mg/L以下 150 mg/kg以下
砒素 0.01 mg/L以下 150 mg/kg以下
ふっ素 0.8 mg/L以下 4,000 mg/kg以下

カドミウムやトリクロロエチレンの基準値は2021年に強化されており、過去の調査と現行基準では判定が変わる場合があります。最新の数値は必ず環境省の告示で確認してください。表に挙げた値はあくまで代表例であり、各物質の正確な基準値は環境省「土壌の汚染に係る環境基準について」に基づいて確認することが大切です。

どの物質が自分の土地の調査対象になるか

26種類すべてを必ず調べるわけではありません。実際の調査では、まず地歴調査(フェーズ1)でその土地の過去の用途を確認し、使用されていた可能性のある物質に絞り込んで分析します。

用途と想定物質の対応

  • クリーニング店跡地 → テトラクロロエチレン(第一種)
  • 金属加工・メッキ工場跡地 → トリクロロエチレン(第一種)、六価クロム・鉛(第二種)
  • ガソリンスタンド跡地 → ベンゼン(第一種)
  • 農地・果樹園跡地 → 鉛・砒素(第二種)、農薬類(第三種)
  • 旧変電設備のある土地 → PCB(第三種)

調査項目の絞り込みは費用に直結するため、地歴調査の精度が重要です。調査の進め方や費用感は土壌汚染調査の費用相場、全体のスケジュールは調査にかかる期間の記事も参考にしてください。

基準を超えたらどうなる|区域指定の仕組み

調査の結果、いずれかの基準を超える汚染が判明すると、都道府県知事によって土地が「要措置区域」または「形質変更時要届出区域」に指定されます。区域に指定されると、土地の形質変更(掘削など)に届出や制限がかかります。

2つの区域の違い

  • 要措置区域:健康被害のおそれがあり、汚染の除去等の措置が必要な区域
  • 形質変更時要届出区域:健康被害のおそれは低いが、土地をいじる際に届出が必要な区域

区域指定は土地の資産価値にも影響します。指定の解除には基準値以下まで浄化するなどの対応が必要です。汚染が見つかった場合の進め方は、信頼できる指定調査機関に相談し、複数社の見積もりを比較することをおすすめします。

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よくある質問

Q特定有害物質は全部で何種類ありますか?
A

土壌汚染対策法では2026年時点で26種類の特定有害物質が定められています。揮発性有機化合物の第一種が12種類、重金属等の第二種が9種類、農薬等・PCBの第三種が5種類です。

Q溶出量基準と含有量基準は何が違いますか?
A

溶出量基準は汚染物質が地下水に溶け出して飲み水を介して摂取されるリスクを評価する基準で、すべての特定有害物質に設定されています。含有量基準は汚染された土を直接口や皮膚から取り込むリスクを評価する基準で、重金属等の第二種にのみ設定されています。

Q26種類すべてを調査する必要がありますか?
A

通常は不要です。まず地歴調査でその土地の過去の用途を確認し、使用されていた可能性のある物質に絞り込んで分析します。たとえばクリーニング店跡地ならテトラクロロエチレン、ガソリンスタンド跡地ならベンゼンが重点項目になります。

Q自然由来でも基準を超えることはありますか?
A

あります。砒素・ふっ素・鉛などは人為的な汚染がなくても、その土地の地質に由来して基準を超えることがあります。臨海部の埋立地や火山性地質の地域では自然由来の基準超過が見られます。

Q基準値は変わることがありますか?
A

あります。カドミウムやトリクロロエチレンの基準値は2021年に強化されました。過去の調査結果と現行基準では判定が変わる場合があるため、最新の数値は環境省の告示で確認してください。

Q基準を超えると土地はどうなりますか?
A

基準超過が判明すると、都道府県知事により要措置区域または形質変更時要届出区域に指定されます。区域に指定されると土地の掘削などに届出や制限がかかり、資産価値にも影響します。指定の解除には基準値以下までの浄化等が必要です。

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この記事のまとめ

土壌汚染対策法の特定有害物質は2026年時点で26種類あり、揮発性有機化合物の第一種(12種類)、重金属等の第二種(9種類)、農薬等・PCBの第三種(5種類)に分かれます。すべてに溶出量基準が、第二種にはさらに含有量基準が設定されています。実際の調査では地歴調査で対象物質を絞り込み、基準超過時は区域指定の対象となります。

この記事の監修者

Y

吉田 雄一

土壌汚染調査・環境コンサルタント

土壌汚染調査技術管理者環境計量士地質調査技士

土壌汚染対策法に精通し、Phase1〜Phase3調査から浄化対策まで幅広い知見を持つ。不動産取引時の土壌調査コンサルティング実績多数。

この記事を書いた人

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現場の窓口 編集部

運営: 合同会社Radineer

解体工事・アスベスト調査・土壌汚染調査・産業廃棄物処理の一括見積もりサービスを運営。 全国2,500社以上の審査済み業者と提携し、累計15万件以上の見積もり実績があります。

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更新履歴

  • 20266最新情報を確認・更新
  • 2026-05-22記事作成