許可申請関連

運行管理者とは

読み方: うんこうかんりしゃ

最終更新:2025年1月

運行管理者とは、貨物自動車運送事業において、運行の安全を確保するために選任が義務付けられている国家資格者。点呼、乗務割作成、運転者の指導監督などを担う。

運行管理者とは、トラック運送事業者において運行の安全を確保するための業務を行う責任者です。貨物自動車運送事業法に基づく国家資格であり、一般貨物自動車運送事業(緑ナンバー事業)を営むためには、必ず運行管理者を選任しなければなりません。

【運行管理者の法的根拠】 運行管理者制度は、貨物自動車運送事業法第18条および貨物自動車運送事業輸送安全規則に規定されています。事業用自動車の運行の安全の確保に関する業務を統括する者として、その責任と権限が法律で定められています。運行管理者がいなければ緑ナンバー(一般貨物自動車運送事業許可)を取得することはできません。

【運行管理者の選任基準】 運行管理者の必要人数は、営業所が管理する事業用自動車の台数によって決まります。

・1〜29台:1名以上 ・30〜59台:2名以上 ・60〜89台:3名以上 ・以降、30台増えるごとに1名追加

また、各営業所には、運行管理者の業務を補助する「運行管理補助者」を選任することができます。ただし、補助者が実施できる点呼は全体の3分の2までに制限されています。

【運行管理者の主な業務】 運行管理者は、以下の業務を行う義務があります。

1. 点呼の実施 ・乗務前点呼:アルコール検知、健康状態確認、運行指示 ・乗務後点呼:運行状況の確認、異常の有無の確認 ・中間点呼:長距離運行時に実施

2. 乗務割(勤務割)の作成 ・運転者の拘束時間、運転時間、休息期間を考慮 ・改善基準告示(自動車運転者の労働時間等の改善のための基準)の遵守 ・連続運転時間(4時間以内)の管理

3. 過労運転の防止 ・運転者の健康状態、疲労度の把握 ・十分な休息期間の確保 ・交替運転者の配置検討

4. 運転者に対する指導・監督 ・安全運転教育の実施 ・新任運転者、事故惹起者への特別指導 ・適性診断の受診管理

5. 運行記録の管理 ・運転日報の確認・保管 ・デジタルタコグラフ(デジタコ)データの管理 ・乗務記録の分析と活用

6. 事故報告・事故防止対策 ・事故発生時の報告 ・事故分析と再発防止策の策定 ・ヒヤリハット情報の収集・活用

【改善基準告示への対応】 運行管理者は、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(改善基準告示)を遵守した乗務割を作成する必要があります。2024年4月からの改正により、トラック運転者の拘束時間・運転時間の上限が以下のように変更されました。

・1日の拘束時間:原則13時間以内(最大15時間、週2回まで14時間超可) ・1日の休息期間:継続11時間以上を基本とし、継続9時間を下回らない ・1ヶ月の拘束時間:原則284時間以内 ・1年の拘束時間:原則3,300時間以内 ・連続運転時間:4時間以内(30分以上の休憩を挟む)

【運行管理者資格の取得方法】 運行管理者になるには、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。

1. 運行管理者試験に合格する ・試験実施:年2回(3月・8月頃) ・試験科目:貨物自動車運送事業法、道路運送車両法、道路交通法、労働基準法など ・出題形式:30問(筆記試験) ・合格基準:総得点60%以上かつ各分野で正答必要 ・合格率:約30〜35%

2. 実務経験による取得 ・事業用自動車の運行管理に関して5年以上の実務経験 ・その間に運行管理者基礎講習および一般講習を5回以上受講 (基礎講習1回以上を含む)

【運行管理者試験の対策】 試験対策としては、以下のアプローチが効果的です。

・運行管理者基礎講習の受講(試験前に受講すると理解が深まる) ・過去問の反復練習(過去5年分程度) ・法令の条文を読み込む(特に貨物自動車運送事業法) ・実務経験がない場合は、運送会社での実習やインターンも有効

【運行管理者の責任と罰則】 運行管理者には重い責任があり、業務上の義務違反は以下の処分・罰則の対象となります。

・運行管理者資格者証の返納命令 ・事業者への車両停止処分 ・事業停止処分、許可取消し ・重大事故時の刑事責任(業務上過失致死傷等)

特に、飲酒運転を見逃した場合や、過労運転を強いた場合は、運行管理者個人も刑事責任を問われる可能性があります。

【運行管理者の継続的な義務】 選任された運行管理者は、以下の義務があります。

・2年ごとに一般講習を受講(選任届出後の最初の講習は翌年度末まで) ・事故を起こした事業者の運行管理者は特別講習を受講 ・営業所への常駐(兼任は一定条件下でのみ可能)

【運行管理者の求人・転職市場】 運行管理者資格は、運送業界で非常に需要の高い資格です。ドライバー経験がなくても取得でき、事務職としてのキャリアパスが開けます。資格手当として月額1〜3万円程度を支給する事業者も多く、転職市場でも有利に働きます。

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運行管理者に関するよくある質問

Q.運行管理者試験の難易度はどのくらいですか?

A.運行管理者試験(貨物)の合格率は約30〜35%で、国家資格としては中程度の難易度です。出題範囲が広いため、3〜6ヶ月程度の学習期間を確保することをおすすめします。運行管理者基礎講習を受講してから試験に臨むと、実務的な理解が深まり合格率が上がります。

Q.運行管理者になるにはドライバー経験が必要ですか?

A.ドライバー経験は必須ではありません。運行管理者試験に合格すれば、ドライバー経験がなくても運行管理者になれます。実務経験ルートで取得する場合は、事業用自動車の運行管理業務(運転業務ではなく管理業務)に5年以上従事する必要があります。

Q.運行管理者と整備管理者は兼任できますか?

A.はい、運行管理者と整備管理者は同一人物が兼任することができます。ただし、それぞれの業務を適切に遂行できることが条件です。小規模な営業所では、経営者自身が両方の資格を取得して兼任するケースも多く見られます。

Q.運行管理者は複数の営業所を兼務できますか?

A.原則として、運行管理者は選任された営業所に常駐する必要があり、複数の営業所の兼務はできません。ただし、同一敷地内にある営業所間など、一定の条件を満たす場合に限り兼務が認められることがあります。詳細は管轄の運輸局にご確認ください。

Q.運行管理者の資格に有効期限はありますか?

A.運行管理者資格者証に有効期限はありません。一度取得すれば生涯有効です。ただし、選任されている運行管理者は2年に1回の一般講習を受講する義務があります。講習を受講しないと、運行管理者資格者証の返納を命じられる可能性があります。

執筆
運送業界向けコスト削減DB編集部
運送業界向けコスト削減DB編集部
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